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保証期間の延長で、さらにサービス内容が充実の方向に

検査・保証サービスは、2014年までに大手中堅の仲介会社のなかで出揃った感がありましたが、2015年に入って、各社で差別化の動きが出てきました。 早い段階で検査・保証サービスを始めた仲介会社では、これまでの実績や利用者の声を踏まえてサービス内容を充実させています。従来、保証期間は住宅設備で1年間というのが一般的でした。しかし、保証期間を2年、また築年数に応じて最長5年に延長するところが出て来たのです。

これまでの検査・保証サービスでも、1年間は無料サービスとして行い、1年を過ぎた段階で買主の選択によって有償サービスに移行することはできました。た だ、比較的築年数の新しい中古マンションの場合、1年以内に不具合が出ることはそれほど多くありません。保証期間が延長されることによって、保証でカバーされる範囲が広がったといえるでしょう。

仲介会社によるサービスが充実するのは売主、買主双方にとって好ましいことです。ただ、仲介会社によって保証内容が少しずつ異なることに注意してください。

まず、保証対象は、大きく住宅設備と建物に分かれ、どちらか一方、または両方をカバーしているところがあります。中古マンションについては住宅設備を対象にしているケースが多いのですが、大手仲介会社でも専有部分の瑕疵（雨漏り・給排水管の故障など）に限っている例もあります。

また検査を実施するのが、第三者機関の専門家の場合と、仲介会社の営業担当者の場合があります。検査保証料は、仲介会社の無料サービスがほとんどですが、 なかには有償になっている例もあるようです。その他、事前の補修の有無、保証期間は何年か、などの違いがありますので、図2を参考に提供されるサービスの 内容をチェックしてみてください。

「インスペクション」が義務付けになる？

新聞報道（日経新聞2015年4月27日付記事）によると、政府与党は、中古住宅の劣化状態を調べるインスペクション（住宅診断・検査）を徹底させ、仲介会社に対して契約に先立つ重要事項説明での説明を義務付ける方針を示したとのこと。2016年の通常国会で宅建業法を改正して実施される予定のようです。近い将来、中古住宅の取引においてインスペクションが当たり前になってくるかもしれません。

気になるのは、誰がインスペクションの主体（依頼者）となりその費用を負担するのか、また保証が付くのか、という点です。国土交通省が 2015年3月に発表した「中古住宅市場活性化ラウンドテーブル報告書」では図3のようなタイプが示されています。1の売主が依頼するのは、現状で民間仲 介会社が実施している検査・保証サービスの検査の手順と同様です。

専門家の間では、2や3の買主が依頼者となる方式を普及するのが望ましいという意見が少なくありません。米国では3の契約後に買主が実施する方式が多いとされているからです。買主サイドでチェックするほうが、検査の客観性が保たれるという考え方のようです。

ただ、買主が検査を行う場合、日本における現状の中古住宅取引の実態にそぐわないおそれも出て来ます。2のケースでは、買い付け申し込みを出してから契約までに行うので、検査をして結果が出るまで取引がストップしてしまうからです。他に複数の申し込みが入り、検査を求めない買主がいれば、そちらの交渉を優先する可能性が高いでしょう。

3の契約後に買主が検査をする場合は、検査によって不具合が見つかった場合に契約を白紙撤回されるリスクがあり、売主にとっては大きなロスにもなります。このような契約形態を希望する買主は敬遠され、取引交渉で不利になるおそれもあるでしょう。

仮に、買主による検査が法律で義務付けられれば、こうした懸念は減るかもしれません。また、民間が先行して実施している現在の「検査・保証サービス」との 兼ね合いがどうなるのかは不透明です。中古住宅の購入について、より良い制度となるよう今後の政策の動きも注視していきましょう。

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