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中古マンション最新トレンド
中古マンション価格全エリアで連続上昇 2015年7月調査
2015年8月20日
地方から東京都心への資金流入も強まっている
都心部のタワーマンション価格が急騰している要因として、地方の富裕層による相続税対策の需要も挙げられます。この動きも強まっており、弱まる兆しがありません。
東京都内の中古マンション成約物件(野村不動産アーバンネット取扱)のうち、購入者の住所が首都圏以外の割合は6%に及びます。海外在住者の4%と合わせると、およそ1割が首都圏の外からの需要ということになります。
地方から東京都心への資金の流れが加速している背景には、土地の価格(相続税評価額)の格差があります。土地の相続税評価額は路線価を基に評価されますが、都心と地方都市では、文字通り桁違いの差があります。 (図4参照)。
本来、評価額が高いほど相続税額も膨らんでしまうはずです。しかし、「小規模宅地の評価減の特例」を使う場合は、路線価の単価が高いほど節税効果があります。この特例は、一定の条件に合う居住用や事業用の土地を相続すると、評価額が大幅に低くなるというものですが、対象となる面積に上限があるのです。親の自宅に同居していた人などが引き継ぐ特定居住用宅地は330m2まで8割の減額、賃貸住宅などの貸付事業用宅地は200m2まで5割減です。
たとえば、地方都市では1,000m2の土地で、評価額が1億円ということがあります(1m2あたり10万円)。ここに小規模宅地の評価減の特例を適用しても、1億円のうち、8割減となるのは330m2=3,300万円分のみです。全体の評価額は「3,300万円×(100-80)%+6,700万円=7,360万円」で、3割減にもなりません。
一方東京では、1億円で330m2以下(評価額1m2あたりおよそ100万円)の土地もあります。この場合、相続税評価額は「1億円×(100-80)%=2,000万円」となります。土地全体が評価減の対象ですから、評価額を8割減に圧縮できるのです。
評価額の圧縮率は違いますが、賃貸マンションを買う場合でも考え方は同じです。地方都市の中心市街地の最高路線価のオフィスよりも、東京都心部のタワーマンションのほうが路線価が高いことは珍しくありません。相続税評価額の圧縮効果は、現金よりも不動産、不動産の中でも、単価の高い方が効果が高くなります。こうしたことから、いわゆるタワーマンションの相続税圧縮効果とあいまって、路線価の低い地方都市から東京都心部やその周辺に資産を移す動きが加速しているのです。
海外からの投資と同様、地方在住者が東京都内で購入した物件の成約価格は全体平均よりおよそ4割高になっています。
エリアや物件による動きの違いに注意
このように東京都心部の不動産マーケットは、自分で住むためのマイホームを購入する実需層とは異なるプレイヤーによって引っ張られています。まだまだ上昇の圧力は弱まっていないとはいえ、都心部全体が等しく強含みの傾向を続けているわけではありません。
都心3区ないしは5区の中でも、海外の投資家目線や地方の富裕層の目線にかなう物件は限られています。港区の隣り合うマンションでも、片や複数の投資家から申込みが重なるのに、もう片方はなかなか買手がつかないこともあります。
これと同様の動きは、東京五輪の会場予定地に近い湾岸エリアのタワーマンションにも起きています。実需向けの色合いが強いにもかかわらず、都心の投資マーケットの動きに踊らされて実力以上の「高値に挑戦」をしている物件が、なかなか売れずに滞留しているケースは珍しくありません。新築マンションの供給予定も多いだけに、やや危うい感じはします。
こうしたエリアで、背伸びをして無理に購入してしまうと、火傷をするおそれもあるかもしれません。
一方で、投資家の需要がほとんど見られない「ミドルエリア」、つまり東京23区西側の環状6号線から環状8号線に挟まれたあたりは、都区部でも純粋な実需ゾーンといえます。価格は上昇していますが、坪単価で10万円程度の上昇に止まっていますから、サラリーマン層でもまだまだ購入可能な範囲です。
今後、東京五輪に向けて不動産価格は緩やかに上昇していくと思われますので、条件の良い中古マンションを選ぶには、今がチャンスといえるのではないでしょうか。エリアの違い、物件の違いを冷静に見極めるようにしてください。
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