中古マンション最新トレンド

超低金利が継続中、特色ある住宅ローンが続々登場

2015年12月 4日

住宅ローンの金利引き下げ競争が続いています。金利以外にも、税制特例を活用するものや共働き夫婦にうれしいものなど、新サービスも出てきています。金融機関選びのヒントになる住宅ローンの最新事情を紹介します。

2年固定が0.35％、10年固定が0.8％...史上最低をさらに更新

住まいを買いたいと考えている人にとって、今の低金利がいつまで続くのかはとても気になるところでしょう。実は今年（2015年）1月、住宅ローンの金利引き下げ競争が過熱していることを受けて、主要行や一部の地銀に金融庁の調査が入ったというニュースが駆け巡っていました。

この調査をきっかけに金利の低下圧力は弱まるかと思われました。しかし、その後も超低金利状態は続き、2015年11月には史上最低が更新されています。なかでも信託銀行の金利の低さが突出しています（以下、金利は全て2015年11月現在の水準）。

たとえば信託銀行Ａでは、固定金利期間選択型2年タイプが0.35％です。以前にも「2年固定＝0.35％」という表示はありましたが、それは1％台後半の全期間固定金利とのミックス・プランの場合でした。今回は、2年固定単独での金利で、変動型の最低水準である0.675％の半分近いレベルです。さらに、3年・5年固定で0.5％以下、10年固定でも1％を下回る過去最低水準になっています。

図1.信託銀行の住宅ローン金利水準（ノムコム「中古マンション最新トレンド」）

信託銀行の金利が低い理由は、おもに銀行間の競争にあります。住宅ローンの融資件数ではいわゆる「メガバンク」といわれる都市銀行が高いシェアを占めています。信託銀行は都市銀行に比べて支店の数や営業担当者が少ないため、金利の低さで魅力を出さないと住宅ローンの新規申し込みが取れないという背景があるのでしょう。

また信託銀行は、信託や不動産売買など多様な収益事業があります。たとえ住宅ローン自体の採算性が悪くても、住宅ローンをきっかけに取引口座を作ってもらうことによって、関連取引を含めて全体として利益を確保できるわけです。

贈与税の特例とセットでおトクなローンも登場

他のサービスと組み合わせることによって、さらなる金利優遇を実施する新しいサービスも出ています。

信託銀行Ａでは、「教育資金贈与信託」の口座を開くと、金利を0.1％引き下げるサービスを扱っています。これは「教育資金一括贈与の特例」（1,500万円まで非課税で子や孫に贈与できる特例）を活用したものです。

都市銀行Ｂでは、「住宅取得資金等贈与の特例」を活かし、親からの援助を受けて住宅を取得する場合には金利を0.05％引き下げ、さらに事務手数料も無料にするキャンペーンが実施されています。

いずれも税制特例を活用した新トレンドといえるかもしれません。これらの優遇措置のポイントは「親からの贈与」を絡めることです。銀行側としては、親の資産状況も把握できるため、新たなビジネスチャンスを広げられるという狙いもあるのではないでしょうか。

実は、最近の傾向として、金融機関の融資姿勢が柔軟になってきたと感じています。従来なら、本人の年収や返済能力のみで審査し、基準を下回る場合は融資承認が下りないケースがほとんどでした。しかしこのところ、本人の年収が低くても、親に資産があり、将来相続を受ける可能性が高いなどの場合には、総合的に判断して前向きに融資を検討するという姿勢に変わってきているのです。