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中古マンション最新トレンド
2016年のマンション購入環境は?
2015年12月22日
インバウンド投資からふつうのマイホーム取得まで、
多様な層が参加した2015年のマーケット
2015年の中古マンション市場を特徴づけたもの、それは、外国人による「インバウンド投資」だったと言ってよいでしょう。特に東京では、富裕層とサラリーマン層も高額帯のマンション購入に動き、価格は上昇を続けました。過去2年間の動きと比較しながら見てみましょう。
まず、2013年は"アベノミクス効果"で中古マンションの成約件数がぐんと伸び、価格がじわじわと上がり始めた年でした。翌2014年は、4月の消費税率アップの影響もあり、成約件数は大きく落ち込みました。通常は、売れ行きが落ちると価格も下がりますが、2014年は価格は上がり続けました。成約物件数が2014年にマイナスになっているのに対して、単価は一貫してプラスを続けています(図1参照)。
これが何を意味するかというと、高額な物件の取引が多かったということです。2014年の東京は、資産家や富裕層を中心に動いたマーケットだったといえます。
さて、2015年に入ると、外国人によるインバウンド投資と富裕層の相続税対策によって中古マンションの売れ行きは回復しました。2014年と違うのは、外国人投資家や富裕層だけではなく、サラリーマン層を含めてまんべんなく市場に参加するようになったことです。そして、価格は一本調子で上がり続けました。
ただし価格の動きについては、こうした総論ではなく、地域の違いに注意しないと売却や購入のタイミングを見誤ってしまいます。東京における中古マンション市場は、少なくとも、次の3つのエリアに分けることができます。
○中心部:都心3区または5区/JR山手線内側/環状六号線(山手通り)内側
○ミドルエリア:城南・城西地区/環状七号線・八号線の内側
○郊外:多摩地区・市部/ミドルエリアの外側~国道16号線くらいまで
それぞれの価格動向を示したのが図2です。都心3区は2013年1月から2015年10月までの3年弱の間に40%近く値上がりしています。ミドルエリアの城南地区は同20%強、郊外の多摩地区は10%以下です。
果たして、こうした価格の動きは2016年にどうなっていくのでしょうか。それを予測する前に、まずは2015年に起きた不動産関連の5大ニュースを振り返っておきましょう。
2015年・不動産業界5大ニュース
1.住宅ローンの史上最低金利更新 超低金利が続く
ネットバンク系では変動型が0.5%台、信託銀行では2年固定型が0.3%台という過去最低の金利に下げる優遇キャンペーンを繰り広げました。次々に記録を塗り替え、この先どうなるか気になるところでしょう。
2.中古物件情報の「囲い込み問題」
春には、中古住宅の物件情報の「囲い込み問題」が大手経済誌で取り上げられ、波紋を呼びました。これは、売主から媒介依頼を受けた不動産会社が、自社で買い手を見つけることを優先し、他社が連れてくる購入希望者に物件情報を出し惜しみし、これにより、売主に不利益が出るおそれがあるという問題です。いわゆる「両手取引」の負の側面がクローズアップされたもので、"不動産仲介業"とは何か? について、改めて考えさせられるきっかけになりました
こうした問題を受けて、2016年から不動産流通機構「レインズ」に「ステータス管理」機能が導入されることになりました。これは、売り出し物件がどのような状態にあるかを売主自身が閲覧できる仕組みです。
3.空き家問題
人口の減少に伴って住宅ストックが世帯数を大幅に上回り、空き家が増加しています。その中でも倒壊の恐れや衛生・景観上の問題がある空き家が社会問題化しています。これに対して、自治体が改修や建て替え、取り壊しの行政指導、固定資産税の住宅用地特例からの除外などを行える「空き家特別措置法」が制定されました。空き家の活用対策は、2016年から本格的に始まるでしょう。
4.民泊問題
「民泊」とは、個人の家や住戸を外国人旅行者などに宿泊施設として貸すことです。空き家や賃貸住宅の空室対策としても注目されていますが、旅館業法に抵触するおそれや、文化の異なる外国人利用者のマナーなどが問題になっています。
ただ、新しい仕組みが取り入れられるときには様々なトラブルがつきものです。インターネットで宿泊者を募集するマッチングサイトの代表的な存在である「Airbnb(エアビーアンドビー)」は、世界中に利用者がいて、すでにひとつのビジネスモデルとして定着しています。
政府も、2020年の東京五輪に向けてホテル不足が深刻化する状況を緩和するため、国際特区や一定のルールの下に認めていく方向に進んでいます。今後、「民泊」の仕組みも徐々に整備されてくるのではないでしょうか。
5.マンションの杭問題
10月に横浜のマンションで、棟と棟の間をつなぐ渡り廊下の手すりに2cmの段差ができたことが問題になり、原因を調査した結果、建物を支える基礎杭が固い地盤まで届いていないものがあり、その事実を隠してゼネコンの下請け会社が杭データを偽装していたことが発覚しました。
実は、傾斜の原因と杭との因果関係は必ずしも技術的に明確になっていません。問題の所在がそもそもの設計なのか、施工精度なのか、監理なのか、データ偽装なのか、それによって耐震性にどんな影響が出るのか、まだまだ決着はついていない状態です。こうした問題点が整理され、国土交通省の見解が出されるまでは、まだ少し時間がかかるでしょう。
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