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中古マンション最新トレンド
インバウンドの陰り、中古マンション価格への影響は?
2016年2月19日
野村不動産アーバンネットが発表した2016年1月1日時点の「実勢価格調査」を基に、最新の住宅地・中古マンション価格動向を紹介しましょう。これは、対象となる住宅地(土地)と中古マンションをピックアップして、それぞれの実勢価格を3ヵ月ごとに定点観測し、「変動率」で表したデータです。公的地価調査に比べて調査時点から発表までの期間が短く、リアルタイムの不動産市場の動きを知るうえで役立ちます。
※調査地点は東京都・神奈川県・埼玉県・千葉県の当社営業エリアに限定されたものですので、都県全体の傾向を表すものではありません。
中古マンション価格、住宅地価格ともに変動率プラスを維持
今回の首都圏における価格変動率は、住宅地と中古マンションともに前回比プラス0.5%となりました。全体平均を見る限り、じわじわと上昇する傾向が続いていると受け止められます。
ただ、個々の調査地点では、前回(2015年10月)に比べて「値上がり」した、「横ばい」、「値下がり」した地点が混在し、この割合が少しずつ変化しているのです。
図2は、首都圏エリアの中古マンションについて、「値上がり(上昇)」「横ばい」「値下がり(下落)」地点の割合(シェア)の推移を示しています。「値上がり」が減少して、「横ばい」と「値下がり」が若干ずつ増えています。
実は東京都区部では、「値上がり」か「横ばい」の地点のみという状態が2年間続いていました。しかし、今回の調査で久しぶりに、「値下がり」がいくつかの地点で発生しました。ひとつの転換点に差し掛かってきたと言えるかもしれません。
また、住宅地地価では「横ばい」地点が減って「値上がり」と「値下がり」の地点が増えました。地点によって、価格が上がったり下がったりする調整が入ってきたのではないかと考えられます。
都心部のタワーマンション・ブームにやや陰り
次に、エリア別の価格変動率を見てみましょう。相場に変化の兆しが表れていることが、より鮮明にわかります(図3参照)。なかでも注目したいのは、前回まで好調だった都区部の中古マンションで、プラスの幅がガクンと縮小していることです。値上がり傾向にブレーキがかかり始めているといえるでしょう。
その理由の一つが、中国の成長率鈍化や原油安など、世界経済の不透明感が増していることから、インバウンド投資にやや陰りが見え始め、都心部のタワーマンションを中心に「行き過ぎた値上がり」に調整が入ってきたことです。
ただし、都心部すべてが頭打ちになってきたわけではありません。人気エリアでは、値上がりしている物件もまだまだあります。これまでタワーマンションに隠れて注目度が低く、価格も抑え気味だった中高層マンションのうち、立地やグレードの面でプレミアム感のある物件が見直されているわけです。
極端な例ですが、40階建ての超高層タワーは坪800万円、そのすぐ隣の中程度の規模の高層マンションは坪400万円という事例もありました。こうしたケースで、価格が高くなりすぎた超高層タワーに調整が入って値下がりし、価格が低く抑えられていた高層マンションのほうが値上がりするという現象が起きているのです。
都心周辺のミドルエリアの中古マンションは、都心部ほど極端に上昇したところはほとんどないため、ごく一部で調整が入るケースを除いて、全体としてはじわじわと上がり続けている状況です。
準郊外の土地は需要が回復傾向に
住宅地については、都心部と、その周辺の都区部南西部で坪200万円を超えるエリアでは、買い手が建売業者に限られる状況になっています。50坪で1億円以上になるため、土地を買って家を建てようという個人の需要がついていけなくなっているからです。その結果、住宅地地価の動きは、「建売住宅としての区画割がしやすい」「建物価格はほとんど考慮されない」など、建売業者の論理に左右されるようになっています。
これに対して、坪100万円台で土地を購入できる準郊外では、マイホーム建築を希望する個人の土地需要が増えています。住宅展示場の来場者も増加し、住宅メーカーから不動産仲介会社へ「家を建てたい人向けの土地を探してほしい」というオーダーも増えています。
マンション価格が上昇し、一戸建て価格と拮抗してきているため、土地・戸建てへの需要が回復傾向になっていると言えるでしょう。
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