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60代、住まいの「縮小買いかえ」で人生を豊かに
2016年4月12日
60歳以上の購入理由は「家への不満」がトップで増加傾向
仕事をリタイアしたあとは、静かに子や孫を見守る"ご隠居"というのが昔のシニア層のイメージでした。ここ数年の税制改正なども踏まえると、今のシニア世代は子や孫への住宅資金や教育資金の贈与というかたちで、資産を若い世代に移転して経済活性化につなげる役割も担っているといえるかもしれません。
そういった後方支援的な要素もありますが、現在の60歳以上の方は自ら主役としてアクティブなセカンドライフを送っている人が少なくありません。日中のフィットネスジム、パブリックのスポーツ施設などを覗いてみても、年配の方々で意外に盛況だったりします。
そんな活発な動きは、住まい選びの行動にも表れています。
図1は、野村不動産アーバンネットの仲介で住まいを購入した60歳以上の方の購入理由を示したグラフです。もっとも多いのが「家への不満」、つまり、現在の住宅への不満を解消し、積極的に生活を改善するためです。しかも、その割合は徐々に増え、2015年時点では50%近くに達します。
一般的にシニア層に多いと思われがちな「高齢化への備え」は、20%前後と低めです。「相続」に関わる動機も増えていますが、10%以下にとどまっています。新たな生活に向けて前向きに住みかえているのが、60歳以上のシニア層といえるでしょう。
「縮小買いかえ」で余裕資金を生み出す
60歳以上の方の住みかえ先も、いわゆる高齢者向け施設に移るのではなく、一般の住宅が多いようです。しかもそれは「高齢者=戸建て志向」とは限りません。むしろ最近ではマンション志向が強まっているといえます。野村不動産アーバンネットのデータでは70%以上がマンションです。
それは、60歳以上の場合、「家に対する不満」は狭さではなく、「庭や家が広すぎて使いこなせない」という理由が多いからです。子どもが独立して夫婦二人しかいないのに、4LDKの一戸建てのままで使ってない無駄な部屋が多い、2階にはほとんど上がらない、庭の手入れが面倒、といった声が背景にあります。そのため、バリアフリーで管理も楽なマンションに目が向いているのでしょう。
マンションを選ぶ際には「広さを削り、その分都心に近い利便性の高いところに移りたい」という志向が増えてきます。
図2は、購入した住宅の坪単価を、年齢層別と住宅種類別に示したものです。すべての種類で60歳未満より60歳以上のほうが高くなっています。60歳以上は60歳未満に比べて、より地価の高い都心寄りのエリアに購入しています。
それほど利便性を追求せず、スペースを縮小することに重点をおけば、余裕資金を生み出すことも可能です。
たとえば、床面積100m2、4LDKの郊外の一戸建てで、2階の2部屋はすでに役割を終え、使っていないとしましょう。各部屋6畳の場合、2部屋で約20m2(約6坪)です。その分を縮小し、80m2の中古マンションに買いかえます。
実際には、子どもが独立して夫婦二人になったとしても、それなりに荷物が多いために、急に4LDKから2LDKには縮小できないかもしれません。3LDKを望むご夫婦が多いのも事実です。
ただ、上記のような「縮小買いかえ」を実行することによって、多少なりともまとまった余裕資金ができれば、その後の人生が劇的に変わるでしょう。趣味に生かせる資金、長い老後の万一に備えた蓄えなどが増えることによって、心のゆとりが生まれ、豊かなセカンドライフに夢が広がります。
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