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中古マンション最新トレンド
実勢価格で見る最新中古マンション価格動向-2016年4月
2016年5月23日
全物件平均価格より、タワーマンションの相場が安い?
実は、中古マンションの市場データを分析しているなかで、興味深いことがわかりました。東京都内の中古マンションは、この2年間で売り出し件数は1.6倍、価格は1.2倍になっています。このうち「タワー」と名のつく物件だけに絞って集計すると、売り出し件数は同じ期間に2.3倍と大幅に増えているのです。対して、価格のほうは1.13倍と、中古マンション全体よりも低い水準です。つまり、タワーマンションは物件数が潤沢で、相対的に価格の上昇率が低いといえるでしょう。
タワーマンションといえば、インバウンド投資や富裕層が集まる都心部ばかりがクローズアップされ、手の届かない存在のように思われがちです。しかし、少し視野を広げてみると、意外にお買い得のタワーマンションが見つかる可能性があるかもしれません。
1棟で500戸を超える"メガタワー"では、数十戸が同時に売りに出ているケースがあります。中には「高く売れる」「今売れば利益が出る」というキャピタルゲインを狙ったものと、そうではない、ライフステージなどの理由での売り出しが混在しています。前者のキャピタルゲイン狙いは、高め価格で売り出して価格交渉に応じることもほぼないため、売却が決まらず滞留しがちです。しかし、後者のライフステージなど明確な理由があって売り出されている場合は、価格交渉に応じてもらえる可能性もあります。売り出しの際には、同時期の売り出し住戸の価格を見ながら決めますので、あまり差はありません。
また、都心部のマンションが値上がりし過ぎたため、都心と郊外の中間エリアの中古マンションに相対的な割安感が出て、購入希望者の目が向き始めています。その兆候はエリア別の成約状況にも表れています。
図3は、東日本レインズの成約件数の対前年変動率を基に作成したグラフです。
都心3区は、2015年後半から前年比プラス30%を超える高い伸び率を示す月がありましたが、2016年2・3月はマイナスとなりました。一方で城南地区は、2015年まで都心3区より低めの推移でしたが、2016年に入ってもプラス20%近い伸び率を維持し、2か月連続で都心3区と逆転しているのです。こうした動きが続くと、都心の周辺部にも価格上昇が波及してくるかもしれません。
マンション供給は新築が激減、中古が急増。中古市場はまだまだ活発
さて、今後のマンション価格の動きはどうなるのでしょうか。まず、中古マンションの供給量が驚くほど増加していることが、一つのポイントになります。
図4は、都内で新規に売り出された中古マンション物件数の対前年変動率の推移です。
都心3区は、2015年秋口から中古マンションの売り出し物件数が爆発的に増加し、2016年1月には前年比の1.8倍近くの急増となりました。図3でも示した通り、成約件数は減少していますが、供給増加の勢いは衰えず、前年比1.5倍近くの水準が続いています。城南地区も、およそ1.3倍の売り出し件数となっています。
2016年1・2月それぞれの月間の新規売り出し件数は、首都圏全体で1万7,000戸弱、東京都では1万戸弱でした。東日本レインズで2002年から公表されているデータを見る限り、過去最高の件数です。先月在庫と当月新規売り出しを合わせた件数を「当月の流通量」とすると、2016年2月の中古マンション流通量は、首都圏で5万8,000戸強、東京都で3万3,000戸以上の規模に達しました。
首都圏の新築マンションの「年間」供給量はここ数年4万戸台ですから、中古マンションの1ヵ月の流通量がそれを大きく超えていることになります。東京都の中古マンションだけでも、首都圏全体の新築マンションに匹敵する規模です。流通量に伴って在庫も膨らんでいますが、価格は、今のところ一部の調整が出ている程度で全体としては下がっていません。
供給量が増加を続け、首都圏の中古マンション市場のボリュームが拡大しています。その一方で、新築マンションの供給は減少しています(図5参照)。2016年1~3月は、2013年の6割の水準に落ち込みました。
新築マンションの供給が圧倒的に少ないために、中古マンションに目が向き、需要を押し上げていることは間違いありません。さらに、マイナス金利政策の影響による住宅ローン金利低下が購入能力の底上げにつながり、中古マンションの価格を下支えしています。したがって、中古マンション価格がピークを打って、下落に転じるという局面を迎えるには、今しばらくの猶予があるのではないでしょうか。
【関連サイト】
【地価・マンション価格実勢調査】野村不動産アーバンネット
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