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再ブーム?「コンパクトマンション」という選択肢

2016年8月30日

都心部の地価高騰など、大型のマンション用地が確保しにくくなったこともあり、一時期減っていた「コンパクトマンション」が数年ぶりに注目を集めています。ファミリータイプよりも専有面積が小さめな分、当然価格は抑え目になります。こうしたコンパクトマンションは「買い」なのでしょうか。

【この記事のポイント】

■1R・1Kとは違う?「コンパクトマンション」とは
■「外資ファンド」と「女性」がキー?コンパクトマンションの成り立ち
使い勝手と市場性、コンパクトマンションの場合
「ゆったりめ」コンパクトタイプのすすめ

あいまいなコンパクトマンションの定義

「都心部のマンションは、富裕層向けの億ション」というイメージを払拭し、「独身サラリーマンでも都心にマンションが持てる」「職住近接を実現できる」ことを可能にしたコンパクトマンション。2003年ごろに供給のピークを迎えた後、一時期は新規供給が減り、目立たない存在となっていました。しかし最近になって、「コンパクトマンション」という文字を不動産関係のニュースで再び目にするようになりました。

そんな中、ある住宅系ウェブマガジンの「○○駅徒歩3分にコンパクトマンション分譲」という物件紹介の記事に、「あれ?」と違和感を覚えました。専有面積20m2台のワンルーム・1Kタイプ中心だったからです。皆さんは「コンパクトマンション」と聞いてどのようなものを思い浮かべるでしょうか。

3年ほど前の記事「買い得コンパクトマンションが増えている?」で次のような定義を紹介しました。

■専有面積:30~50m2台
■間取り:2LDKまで(ワンルームとファミリータイプの中間)
■入居世帯:シングル、DINKS(夫婦のみ世帯)

各社、調査期間などでも、「30~50m2台」・「30m2以上60m2未満」をコンパクト住戸としています。面積帯については、この定義がおおむねコンセンサスを得ているのではないでしょうか。

ただ、「30m2以上50m2未満」と「50m2台」では明確にマーケットが違うという見方もあります。この点は選ぶ際に、意識しておくことが大切です。コンパクトマンションが生まれた経緯から説き起こしながら、その違いについて見ていきましょう。


コンパクトマンションが生まれた背景と現状

まず、「30m2以上50m2未満」がコンパクトマンションの原型として作られました。きっかけは、外資系ファンドと女性のマンション購入です。

2000年頃、"ITバブル"で外資系ファンドが日本に進出、不動産投資を始めました。ファンドは賃貸市場のメインであるシングル向けの一棟マンションを求めていましたが、当時の日本でシングル向けといえば、専有面積が20m2以下の3点ユニットバスのワンルームマンションが主流。しかし、それは外資系には嫌われました。そこで、専有部の面積を30m2以上に広げ、バス・トイレを別にしてキッチンも独立させた1Kタイプのマンションを造り、ファンドに一棟売りするようになったのです。

さて、同じ頃、働くシングル女性の中で「賃貸のままでは不安。将来のことを考えてマンションを購入したい」というニーズが顕在化してきました。しかし、分譲マンションは60m2以上の3LDKが中心で、ライフスタイルに合いません。かといって、30m2以下のワンルームは狭いだけでなく、住宅ローンも使えません。多くの金融機関ではワンルームは投資用という位置づけのため、住宅ローンの対象外か、融資する場合は頭金を2割以上入れるのが条件だったからです。

こうしたニーズに目をつけた中堅デベロッパーが、ファンド向けのスタイルを分譲マンション用にアレンジして、シングル女性向けの40m2前後の1LDKタイプを売り出しました。これが現在の「コンパクトマンション」の原型です。ニッチでありながら新しいカテゴリーとして、一応の市民権を得ました。

このときはまだ、50m2台は2LDKの「都心型小ファミリー向け」として設計されることが多く、現在でも、そうした見方をする向きもあります。

その後、自治体のマンション開発規制が厳しくなり、住戸数に応じて駐車場や駐輪場の附置義務が付くようになりました。面積が小さい住戸をたくさん作るほど、駐車場や駐輪場を多く作らなければならないわけです。

しかし、もともと広い敷地が確保できないためにコンパクトマンションを企画したのに、それでは採算が合いません。そのため次第に、1戸あたりを少し広めにするようになり、「50m2台」にシフトしてきました。これが2006~08年頃のことです。都心タワーマンションの低層階などに、1~2LDKが組み込まれるようになったのも、この頃ではないでしょうか。リッチ・シングルを主なターゲットにした、「50m2台」コンパクトマンションの誕生です。

現在、こうした新築のコンパクトマンションは、港区などでは7,000万円を超えています。3年ほど前は4,000万円以下で購入できたことを考えると、「買い得」とはいえない状況です。また、「独身サラリーマンでも都心にマンションが持てる」という存在ではなくなりました。ニッチなマーケットのため、必ずしも売れ行きも良くありません。一方で、投資対象としての注目度は依然として高く、アジアからのインバウンド投資の対象になっています。

中古マンションでは、築年数にこだわらなければ、4000万円台でも探すことができます。コンパクトマンションのメリットや、現在の中古市場での売りやすさ、将来性を分析してみましょう。

編集協力:AllAbout

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