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取引堅調!2016年10月の中古マンション・住宅地価の動向

2016年11月18日

マンション価格について「都心は頭打ち」、中には「下落」という声も聞こえてきます。実際の相場動向はどうなっているのでしょうか。2016年10月の実勢調査結果から、中古マンションと住宅地の価格動向を紹介します。(1ページ目)

【この記事のポイント】

・不動産価格、限りなく横ばいに近いプラスの変動
・「売れ行き鈍る」の声と裏腹に成約件数は微増
中古一戸建てと中古マンションの平均価格が逆転!
旺盛な持ち家ニーズで不動産市場は安泰?

中古マンション・住宅地価格、ともに平均でほぼ横ばいに

野村不動産アーバンネットによる、2016年10月1日時点の中古マンションと住宅地の「実勢価格調査」を基に、最新の不動産価格動向を紹介しましょう。この調査は、対象となる住宅地(土地)と中古マンションをピックアップして、それぞれの実勢価格を3カ月ごとに定点観測し、「変動率」で表したデータです。リアルタイムの不動産市場の動きを知るうえで役立ちます。
※調査地点は東京都・神奈川県・埼玉県・千葉県のなかでもエリアを限定されたもので、都県全体を表すものではありません。

首都圏の中古マンション価格および住宅地の価格は、3年半に渡って変動率1%以下の非常に緩やかなプラスが続いています。今回の調査では、住宅地と中古マンションともにプラス0.1%となり、ほぼ横ばいに近い状態となりました(図1参照)。

東京都区部・東京都下・神奈川県・埼玉県・千葉県の各エリア別に見ると、前回調査(2016年7月)までのおよそ2年近くは全エリアでプラスが続いてきましたが、今回は久しぶりにマイナスのエリアが出ました。

マイナスとなったのは、住宅地が東京都下と神奈川県、中古マンションは神奈川県と千葉県です。一部とはいえ、調整局面に入ったエリアが出ていることは、一つの転機を迎えたともいえます(図2参照)。

また各地点について、前回調査と比較した「値上がり(上昇)」「横ばい」「値下がり(下落)」の割合(シェア)を見ると、住宅地と中古マンションともに「値下がり」地点が増加しています。特に、中古マンションの「値下がり」は前回の5.0%から13.3%へ増えました。


"供給過剰"で在庫が増えても、成約件数に変化なし

「値下がり」地点が増えたことは、必ずしも「相場が下落に転じた」ことを意味しません。「上昇し過ぎた反動で以前の価格に戻った」という場合にも、データとしては一時的に「値下がり」を示します。連続して下がり続ければ「下落傾向になった」といえますが、今回はそこまでの状況とはいえないでしょう。

調査機関の報道などから「不動産価格の上昇傾向に陰り」「都心の値上がりが頭打ち」といった声も聞かれますが、都心部でもまだまだ「値上がり」している物件はあります。地域のランドマーク的なプレミアムマンションの影に隠れて評価が低かった物件が、その価値を見直されて上昇するというケースなどです。

また、営業の現場からは「売れ行きが鈍くなった」という反応も見られます。しかし、中古マンションの成約件数は、東京都内はもちろん首都圏全体でも減っていません。減っているどころか、わずかながら増えています。ただ、売り出し物件数が急増して在庫が積みあがっているために、取引が成立するまで、以前より時間がかかります。そのため、相対的に売れている物件が少ないように映ってしまうということでしょう。

供給過剰で物件がダブついていると市況が悪化しているように思われがちですが、成約件数も横ばいから微増で、価格も値下がりしていません。こうした意味でも、「下落トレンドに入った」という段階にはないことがわかります。

編集協力:AllAbout

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