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老後の暮らしとお金のコラム知らないと損をする相続・贈与対策

2013/12/09
生きているうちに相続税を節税する方法は?

「財産を減らすこと」+「評価を下げること」の組み合わせ節税する

 相続税の場合、亡くなった人がその日現在、所有していた動産、不動産など、すべてを相続財産として考えます。であれば、生きているうちに「財産を減らすこと」をしておけば相続税も節税できるということです。

 消費や娯楽に使ってしまうという手もありますが、それでは財産は残せません。そこで財産を残したい人に、生きているうちに渡してしまえば、ひと安心で、目的も達せられるのですから、双方が一石二鳥となります。これが「贈与」です。贈与の特例や基礎控除を活かして税金の負担の少ないところで財産を前渡しします。

 次に考えることは、「評価を下げること」です。財産にはそれぞれ評価の仕方があり、それぞれの評価を下げれば相続税も下がります。
 不動産は現状の形状や大きさによって減額できる内容も決まってくるので、生前に確認しておく必要があるでしょう。さらに、利用状況によっても評価の仕方が変わり、例えば他人に貸すことによっても評価が下がります。

 また、現金を土地や建物に換えるだけで、土地は時価の80%程度の路線価評価になり、建物は時価の40%程度の固定資産税評価になります。さらに他人に貸せば、土地は貸家建付地となって約80%の評価となり、建物は借家権割合70%を掛けた評価になるという具合です。

生前の節税対策となる6つのキーワード

 生前に節税するための方法はいくつかあります。主な方法としては、【贈与】【建物】【購入】【資産組換】【活用】【法人】があり、それぞれの特徴は下記のとおりになります。

【贈与】特例を活かし自宅を配偶者に贈与する、評価を下げ不動産を贈与する

 妻には生前にも贈与の特例があり、婚姻20年以上の妻に居住用の不動産を贈与しても2000万円までは贈与税がかかりません。通常の贈与を組み合わせると2110万円までは贈与税がかからずに財産を受け取ることができます。
さらに不動産は時価よりも低い路線価や固定資産税評価で評価されるので、現金よりもより多くの価値分を贈与できます。現金を贈与するよりも、土地で贈与する方が有利なのです。

 不動産の評価が時価の半分以下ということもよくあることで、親から子へ贈与する場合も、住宅購入資金として現金を生前贈与するより、親が住宅を購入して子に贈与するほうが節税になります。

【建物】現金を建物に替えると節税になる(資産の組み替え)

 建物は固定資産税評価額となり、建築費の50~70%程度とされていますが、現実ではこの割合以下となり、建築費の半分以下になります。さらに賃貸すれば70%の評価になります。  現金に余裕があれば、建物は「親の現金で親名義で建てる」ことが節税につながります。

【購入】資産は多額の現金より不動産で持つ(資産の組み換え)

 節税対策に使わなければ、貯めてきた現金に相続税が課税されて減ってしまいます。現金を活用して評価を下げるため、現金で不動産を購入することで節税します。

【資産組換】相続した土地を守るより価値を上げて残す(不動産の買替え)

 今までは多くの土地を所有することが財産とされてきましたが、固定資産税や維持費を考えると、これからは、収益力のある土地が財産であり、収益力がない土地は不良資産となりかねません。
数よりも質にこだわって、選別し、収益を上げられる不動産に組み換えていくことで節税になります。不良資産を売却して優良資産を購入して不動産運用をする資産組み替えの時代へと変化しています。

【活用】土地に賃貸住宅を建てて賃貸事業をする

 土地を残して維持していきたい場合は、土地を活用して収益のあがる方法を考えます。それには賃貸住宅などが手堅い方法となり、土地に賃貸物件を建てて他人に貸すことで評価が下がり、建築費の借入により財産から引くことができるため、確実に大きな節税が実現します。但し、賃貸事業は長丁場ですので、立地が賃貸住宅に適しているか、収支のバランスは取れるのか、などのスタート時の計画や判断が重要になります。

【法人】賃貸経営の会社をつくって資産増を回避する(賃貸管理会社)

 賃貸事業で収益が増えて現金が残るのを避けるために、不動産管理会社を作り、その会社に家賃の一部を払うことで現金が増えることを抑制。所得税の節税につながります。また、親族に役員報酬を払うことで、納税資金を貯めることができます。

 財産や家族の状況により、適した節税方法を選択し、組み合わせていくことで、上手な節税を実現させましょう。

執筆者:曽根恵子

公認 不動産コンサルティングマスター、相続対策専門士。日本初の相続コーディネーターとして1 2000件以上の相続相談に対処。感情面、経済面に配慮した“オーダーメード相続”を提案し、家族の絆が深まる「夢相続」の実現をサポートしている。NHK「あさイチ」」、TBS「はなまるマーケット」、フジ「とくダネ」などに出演。新聞、雑誌の取材も多数。「相続税を減らす生前の不動産対策」(幻冬舎)など著書多数。
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