ノムコム60→ > 老後の暮らしとお金のコラム > 知らないと損をする相続・贈与対策 > 「オーダーメイド相続プラン」で生前に相続のイメージを作る
具体的な相続対策に取り組むには、ご本人の希望や相続人の事情をヒアリングし、財産を確認、評価し、課題も確認した上で、財産やご家族の状況に応じたオーダーメイドの相続プランを作ることが必要になります。
家族にもさまざまな事情があり、感情面では、ひとつ間違えると争いに発展しかねません。また経済面においても、長引く不況からなかなか明るい見通しがつかず、さらに相続税の改正も控えているため、納税の負担は避けたいところでしょう。
こうした背景の中、「相続人がなんとかするだろう」とか「自分はいなくなるから関係ない」ということでは、相続の難題を乗り切ることは難しいと言えます。
そこで、生前に相続プランを作り、家族で情報を共有しながら対策に取り組んでこそ、円満で負担のない相続が実現します。ご自分に合った相続プランを作るために、5つのチェック項目に分けて確認します。
相続は、財産の内容だけでなく、離婚、再婚、未婚など家族の状況や同居、別居、家業の有無など経済的な状況が複雑に影響してきますので、相続の用意がある場合とない場合は結果が大きく左右されます。
相続しても乗り切れる財産であることが大切ですから、経済面での対策はもちろんのこと、感情面にも配慮することで深刻な対立や争いを未然に防ぐことができ、争いのない相続が可能になります。
相続の用意は財産の確認、評価、整理をすることから始めます。不動産、動産、負債について、書類を用意して確認。これで、相続税がかかる財産なのか、相続税がどれくらいかかるのかがわかれば、必要資金を想定でき、対策の方向性が出せます。
財産の確認と合わせて整理が必要なことも確認しておきます。不動産の共有はないか、担保設定、連帯保証など、将来の課題になることは持ち越さないように、早めに解決しておくほうがよいでしょう。
相続では「分けられること」が大事です。もめてしまえば節税もできないことになりますので、もめないための用意が必要です。相続人が迷わず争わないための羅針盤になる「遺言書」を作成し、自分の意思を明確にして残しておくことが最良の説得材料になります。
相続税の予想額を出し財産分与を考えると、相続時にどれくらいの現金が必要となるかをある程度想定できます。現在の財産の中で、すでにそれに見合う現金や有価証券などの動産がある場合は大きな不安はありませんが、ない場合は、例えば生命保険に加入しておき、分割金・納税資金を準備することもできます。あるいは、売却に時間がかかることもあるので不動産は早めに売却をして換金しておくことも方法の一つです。相続になったら分けられる形に換えておくことも対策となります。
まとまったお金がない、作れない場合でも、賃貸事業などの安定収入があれば、分割金や納税に充てることができます。ただし、収益が安定した賃貸事業にしておくことが大切です。スタートするときも当然ながら、毎年、収益のバランスを確認して負担がない優良な賃貸事業にしておくようにすることで、相続時にもプラス財産になります。
節税については、次の3つのステップに分けて検証し、提案します。
対策が何もできない場合でも、相続税の申告のときにできる小規模宅地などの特例などを利用してできる節税を提案します。土地の評価も広大地評価など節税の可能性を確認します。
大きな対策はできないとしても、生前にできる配偶者の贈与などの特例などを利用してできる節税を提案します。決断さえすれば、すぐに節税効果を生むことができる対策です。
現金や不動産を使ってできる前向きな節税対策について提案します。生前だからできる対策で、形を変えたり、活用したりすることで大きく節税することができます。
ご自分に合った相続プランを組み立てたり、着実に節税のステップを踏むことで、より豊かな相続を実現することができるのです。
公認 不動産コンサルティングマスター、相続対策専門士。日本初の相続コーディネーターとして1 2000件以上の相続相談に対処。感情面、経済面に配慮した“オーダーメード相続”を提案し、家族の絆が深まる「夢相続」の実現をサポートしている。NHK「あさイチ」」、TBS「はなまるマーケット」、フジ「とくダネ」などに出演。新聞、雑誌の取材も多数。「相続税を減らす生前の不動産対策」(幻冬舎)など著書多数。
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