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2023.07.20

大使館とともに歩む「麻布・青山・赤坂」エリアの歴史とドムス元麻布 【後編】街を彩るヴィンテージマンション(2)

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国内・海外の有識者や政府関係者、経営者などの高所得層が多く居住する港区エリア。なかでも麻布・青山・赤坂地区は、都内23区で指折りの高級住宅地で、その理由となる背景や歴史がある。

本稿では前編「大使館とともに歩む『麻布・青山・赤坂』エリアの歴史とドムス元麻布」に続き、特に赤坂エリアに注目をして、代表的なマンションの実際の様子を見ていく。

赤坂地区の土地とマンションの変遷

東京カンテイでは築10年以上、坪単価300万円の物件をヴィンテージマンションとして定義している。

2016年に東京カンテイが発表したデータでは、首都圏にあるヴィンテージマンション237物件のうち、約3分の2の物件が千代田区・港区・渋谷区の3区に所在している。なかでも港区はヴィンテージマンションの数が最も多く、ヴィンテージマンションの揃うエリアと言えるだろう。

地名の頭文字をとって「3A」とも呼ばれる「麻布・青山・赤坂」地区のヴィンテージマンションは、1980年代から続々と建築が始まったが、なかでも赤坂地区は比較的近年になって、2000年代に竣工した物件の多いエリアだ。

もともと赤坂エリアは、1567年に土地が開拓されるまでは山林や畑が多い土地で、人家がほとんどない場所だったという。その後、江戸時代からは武家屋敷として発展をとげ始める。明治維新後は、武家屋敷から邸宅街となり、1947年に港区が誕生する。そこで地名として初めて赤坂という言葉が生まれた。

ヴィンテージマンションの側面で近年の動向を見ると、赤坂エリアには特徴のある物件が集まっている印象だ。特に2000年代の後半に進むにつれて、タワーレジデンスや一風変わった竣工スタイルなど、それまでの豪奢で低層マンションが多かったヴィンテージ物件とは様子が異なるものになっていく。

赤坂地区の代表的なヴィンテージマンション

ここからは、赤坂地区で建築された、特徴のあるマンションについて考察をしていく。

最初にとり上げたいのが「赤坂タワーレジデンストップオブザヒル」だ。赤坂2丁目に存する2008年竣工、総戸数521戸、分譲戸数425戸の大規模マンションだ。その名の通りタワーマンションで、地上45階、地下3階とまるでオフィスビルのような外観だ。

「赤坂タワーレジデンストップオブザヒル」の外観

本来、低層の高級物件が多い麻布・青山・赤坂地区の風景と、大規模タワー物件の"相性"はそれほど良くない。

しかし、赤坂タワーレジデンストップオブザヒルが支持される背景には、単身用からファミリー用、さらには賓客を伴えるような広大なものまで、さまざまな間取りプランが混在していること、「赤坂」駅から徒歩4分に立地し、投資にも好適であることが挙げられる。

「赤坂タワーレジデンストップオブザヒル」の235.92m2の住戸の間取り図。賓客が宿泊できるよう洗面・シャワー付きの居室など入浴施設が3ヵ所も確保されている(資料提供:東京カンテイ)

従来のヴィンテージ物件の魅力とは異なり、このエリアでまさに異色と言える存在感を放ちながら、多様な世帯構成と利便性を追求している点が希少だといえるだろう。

次にとりあげるのは、2009年2月に竣工した「フォレセーヌ赤坂丹後町」で、総戸数19戸の小規模マンションだ。平均専有面積は179.87m2とゆとりのある間取りで、新築分譲時の平均価格帯は4億3,000万円超という超高級物件である。

「フォレセーヌ赤坂丹後町」の外観

最も狭い居室でも専有面積117.54m2、最も広い居室は396.65m2もあり、近年に建てられたマンションとしては各住戸の面積がかなり贅沢に取られている。このことからも、この物件は賃貸、投資用というより所有者自身が住むことが多いようだ。

「フォレセーヌ赤坂丹後町」で最も広い、396.65m2の住戸の間取り図。リビングは76畳ある(資料提供:東京カンテイ)

そして、この物件と対になるマンションが2009年5月に竣工した「フォレセーヌ赤坂氷川町」である。赤坂6丁目に存する地上12階 地下2階建の中層物件だ。こちらも、全35室のほとんどの居室が専有面積100m2以上あり、100m2未満の住戸は3つしかないというゆとりの広さを確保している。

「フォレセーヌ赤坂氷川町」の外観

平均専有面積は138.37m2であるが、フォレセーヌ赤坂丹後町に比べて手が届きやすいことからこの「フォレセーヌ赤坂氷川町」は、購入後に賃貸物件として運用している人もいるようだ。

なかには350m2の間取りもあり、PP分離(住戸内で来客などを招くパブリックな空間と寝室などのプライベートな空間を分離して配置すること)を徹底しながらパブリックな空間には広いルーフバルコニーを、プライベートな空間にはコートヤード(中庭)を配した一際目を引く作りとなっている。この居室の価格は販売当時で12億円超、2000年代最後の本格的超高級使用物件であると言えよう。

「フォレセーヌ赤坂氷川町」の350m2超えの住戸。リビングには50m2を超えるルーフバルコニーが隣接する(資料提供:東京カンテイ)

この2物件は、まさに"双子物件" とも言えるもので、竣工年月は先の通り2009年の2月と5月になっているが、分譲年月日を比較してみると、「フォレセーヌ赤坂氷川町」が12月2日、「フォレセーヌ丹後町」が12月15日と、その差は2週間しか違わない。

互いの物件の立地を鑑みるため、最寄駅からの距離を比較してみよう。「フォレセーヌ赤坂丹後町」の駅距離は「赤坂」駅・「赤坂見附」駅からいずれも徒歩7分なのに対して、「フォレセーヌ赤坂氷川町」は「赤坂」駅から徒歩4分、「六本木一丁目」駅から徒歩7分だ。

「3A」とも呼ばれる麻布・青山・赤坂地区のヴィンテージマンションは中古物件の売り出し情報が少ない点が特徴だが、居住性・資産性に対して満足度が高い場合、このような現象が起きる。「フォレセーヌ赤坂丹後町」は資産性に加えて、居住満足度という点も兼ね備わった結果、「フォレセーヌ赤坂氷川町」は賃貸する場合にも賃料を高く設定できる収益力をもつ点で満足度が高く、また希少性が高いのではないかと考えられる。

ヴィンテージマンションを入口に街を見てみると、今までと異なる風景が見える

これまでみてきたように同じ麻布・赤坂地区のヴィンテージマンションでも、それぞれエリア別で特徴があり、時代の発展性が感じられるのではないだろうか。

また、2000年代以降に建てられたヴィンテージマンションは、従来の「住む」という観点でのステイタスや美観を求めるほか、「資産性」の高さに着目している点も時代の流れのように感じる。

街の歴史を知るとともに、時代のトレンドや変遷を抑えながらヴィンテージマンションを俯瞰すると、マンションシリーズの分布や展開の法則が浮き上がってくるのが面白い点だ。こうした側面から街を見てみるとまた新たな発見があるかもしれない。

井出武(いで・たけし)

井出武(いで・たけし)

1964年東京生まれ。89年マンションの業界団体に入社、以降不動産市場の調査・分析、団体活動に従事、01年株式会社東京カンテイ入社、現在市場調査部上席主任研究員、不動産マーケットの調査・研究、講演業務等を行う。

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