中古マンションにもブランド価値が求められるようになってきた昨今、ブランド・マンションとヴィンテージ・マンションや優良マンションとはどう違うのか、購入するメリットは何かなどについて考えてみましょう。
ファッションや時計などと比べ、マンションの「ブランド」は、あまり明確ではないかもしれません。ただ、東日本大震災以降に、中古マンションについても構造面や管理まで含めた「安全・安心」を求めるという意識が高まり、あらためて「ブランド」に注目していこうという意識を持った買主も少なくありません。
その背景には、1990年代半ば以降のマンション大量供給時代に、大手デベロッパーが明確な意思を持って自社のマンションに関する「ブランド価値」を構築しようという戦略を取り始めたことがあります。これは単にネームバリューを高めるだけでなく、立地や施工基準、外観や室内の仕様グレードなどを含めた共通項を設けて、一貫した思想の下に着工・販売し、管理まできちんとフォローするという体制を持たせたものです。野村不動産の「プラウド」や東京建物の「ブリリア」などが典型的な例といえるでしょう。
そういう意味では、事業主やゼネコン、管理会社がしっかりと存在して、販売後も資産価値が維持されているという継続性を持っているものが、本当の意味での「ブランド・マンション」といえるのかもしれません。
ブランド・マンションに住んでいた人が、その真の価値を理解して、次に住みかえるときも同じブランドのマンションを買いたいと指名してくるケースや、親子二代に渡って同じブランドのマンションを住み継いでいる例もあります。
最近では、分譲後の中古市場におけるリセールバリューがあるかどうかも問われ始めています。デベロッパーが系列の不動産仲介会社と連携して、ブランド・マンションの価値を守りながら、中古で売却するときに少しでも高く売れるようバックアップする動きもあります。
ずっと住み続けたいと思いながらも、転勤やその他の理由で売らなければならないこともあるでしょう。そのような時に、資産価値が維持されていて、周囲の同じ広さ・築年のマンションに比べて少しでも高く売れるのであれば「○○ブランドのマンションを買っておいて良かった」と思うでしょう。将来の安心感を買うという意味では、ブランド価値の確立されたマンションを買っておくメリットは大きいといえます。
「ヴィンテージ・マンション」という言葉があります。この「ヴィンテージ」についても、必ずしも明確な定義があるわけではありませんが、「古くなっても価値が落ちない高級マンション」といったニュアンスで使われているようです。
調査会社の東京カンテイでは、ヴィンテージ・マンションに関する調査データを抽出する条件として「築10年以上、平均専有面積90平方メートル以上、坪300万円以上」という条件を設定しています。結果として、都心を中心にした良好な住宅地にあり、居住満足度が長く保たれ、維持管理がしっかりしている物件がピックアップされています。そういう意味では、それらは「ブランド・マンション」に近いかもしれません。
ただ、ヴィンテージ・マンションの場合は、事業主やゼネコンが既に存在していないケースがありますが、必ずしもマイナスになるとは限りません。所有者や住まい手が自分たちで良いマンションにしようと維持管理に努めてきたために、その価値が下がっていないマンションもあるのです。その中で、周辺の評判も含めて評価の高いものがヴィンテージ・マンションになるわけです。つまり、ヴィンテージは後から付いてくる価値ともいえます。
この他に「優良マンション」という言い方もあります。一定の居住性能があって築年が古くなってもきちんと維持管理され、周辺のマンションに比べて値下がり率が低ければ「優良」といえるでしょう。
公的機関が認定する「優良マンション」もあります。フラット35の「優良住宅取得支援制度」(フラット35S)や国土交通省が定めている「長期優良住宅」も、これに類する位置づけといえるでしょう。それぞれ一定のハード面での基準をクリアすると、金利や税金が優遇される仕組みです。ただ、これらの条件に適合しても、中古市場においても価値を維持しているとは限りません。
やはり、施工や維持管理などを含めて良好で、その後も資産価値が継続しているかどうかによって、中古市場における価値が決まります。「優良」という冠ではなく、実際の住み心地の良さや資産価値の高さから「優良マンション」かどうかを見極める必要があるでしょう。
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