●一戸平均価格・平均坪単価は新築・中古共に2010年以降の最高値を更新
2020年の一戸平均価格は6,055万円で、調査開始以来初めて6,000万円を超えた。前年の5,904万円から+2.6%と上昇し、4年連続の価格上昇となった。2020年は新型コロナウイルスの影響で不動産価格が下がると思われたが、首都圏の新築マンション価格は依然として上昇傾向が続いている。
底堅いニーズが見込める東京都心部や一定の人口規模を持つ都市に供給が集中したことが要因である。平均専有面積は61.09m2で前年の63.09m2から-3.2%と2年連続で縮小した。平均坪単価は前年比+5.9%の327.7万円で、2010年以降の最高値を更新している。2年連続での更新となり、300万円台の水準を維持した。
一方、中古マンションの一戸平均価格は2020年に3,487万円となり、2019年の3,395万円から+2.7%と上昇した。上昇率は僅かに留まったものの2014年から7年連続の上昇であり、コロナ禍で価格が下落するような傾向は表れていない。この理由は2点考えられる。
1点目はコロナ禍においても新築マンション価格が根強く上昇を続けたことで、中古マンション価格の相場形成に支障をきたさなかったことである。2点目は新築マンションの供給戸数が販売自粛などの影響によって大きく減少したことで、中古マンション市場が住宅購入ニーズの受け皿となったことが考えられる。
平均専有面積は61.95m2で前年の60.55m2から+2.3%と拡大した。2016年には60m2を一時的に下回ったが、2017年以降反転し4年連続で60m2台を維持している。平均坪単価は前年比+0.4%の186.1万円と3年連続で180万円台の水準となった。一戸平均価格と同様に2014年以降上昇を続け、共に2010年以降の最高値を更新している。
●新築・中古マンションの専有面積帯別シェア推移新築は30m2以上50m2未満のシェアが拡大
首都圏の新築マンションで2015年以降最も大きな変化が表れているのは30m2未満の面積帯シェアである。2016年に19.7%とピークに達したが、翌年から反転縮小し18.0%→11.0%と2018年にはほぼ半減している。建築コスト高の影響等で価格が上昇し、収益性が低下したことで投資対象としての魅力が薄まったことが要因とみられる。
2019年以降は11.8%→12.8%と拡大に転じたが低水準であることに変わりはない。また、実需のシングル・DINKS向けが中心の30m2以上50m2未満のシェアは2016年以降6.4%→6.9%→8.1%→10.0%→11.2%と年々拡大を続けており、世帯構成の変化に伴う住宅ニーズの変化が如実に表れている。
中古マンション市場では2019年までは目立った動きはほとんど見られず、各面積帯のシェアは例年ほぼ同水準で安定推移していた。2020年の平均専有面積は前年比+2.3%と拡大したが、前年からの面積帯別の動きを見ると、30m2未満が14.4%→11.9%、30m2以上50m2未満が14.3%→14.2%とそれぞれ縮小が確認できる。
一方、50m2以上では各面積帯で前年から僅かにシェアを伸ばしている。2020年はワンルームマンションの流通が減少した影響で平均専有面積が拡大したことがわかる。ワンルームマンションの減少は価格上昇による利回りの低下や、不動産投資への融資の厳格化などが影響したと推察される。
●新築マンションの徒歩時間別供給シェア用地取得難が影響し徒歩7分以内のシェアが縮小傾向
3分以内と4分~7分の合計シェアは2015年以降56.0%→58.8%→60.2%→61.5%と4年連続で拡大を続けてきたが、2019年は57.0%と反転縮小し2020年には52.3%と更に縮小した。駅近物件のニーズは高い状況が続いているものの用地取得難の影響が顕著に表れる結果となった。
その一方で8分~11分と12分~15分の合計シェアは2018年以降33.1%→37.5%→43.6%と急拡大しており、根強いニーズに反して立地を遠隔化せざるを得ない状況であることが窺える。その結果、2020年の平均徒歩時間は7.4分と前年から長くなった。
マンションデータ白書 2020【首都圏】新築・中古マンション市場
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