近畿圏における2021年上期での中古マンションの一戸平均価格は、売出価格が2,851万円(前期比:-0.2%)、取引価格が2,636万円(同±0.0%)で、ともに目立った動きはなかった。売出・取引事例の価格乖離率※は-7.54%で、前期から0.26ポイント縮小した。
2020年春に発出された緊急事態宣言が解除されて以降、中古マンション市場ではニーズの高まりを背景に"売り手市場"の様相を呈している。2021年下期には価格高騰に伴って在庫数が増加に転じる動きも出始めているが、中古マンションの一戸平均価格は売出価格が2,976万円(同+4.4%)、取引価格が2,770万円(同+5.1%)と、ともに高い上昇率を示している。
それぞれの上昇率を比べると、取引価格の方が売出価格のものを上回っており、高まるニーズによる購入者からの引き合いの強さが窺える。また、売出・取引事例の価格乖離率も良好な反響を背景に-6.92%と2期続けて縮小したことで、概ね新型コロナ前の水準に戻している。
売出→成約までの期間(売却期間)を見てみると、2021年上期には4.88ヵ月と概ね5ヵ月間まで長期化していた。下期には4.59ヵ月と長期化の傾向も一服したが、既に売却期間の短縮化が進む首都圏(2.89ヵ月)や中部圏(3.82ヵ月)に比べると、短期間で成約に至るケースは決して多くない状況が続いている。
近畿圏における2021年の価格乖離率を売却期間ごとに見てみると、売却期間が1ヵ月以内での価格乖離率は-3.74%であった。
不動産取引における専属専任媒介・専任媒介契約の有効期間である3ヵ月以内での平均は-4.82%となっており、売り出し開始からの3ヵ月間では最初の売出価格から5%程度値下げした金額で成約に至っていたことになる。また、売却期間が6ヵ月まで長期化すると、価格乖離率は-10%を超え始める。
2020年の調査結果と比べて、一部の売却期間を除けば価格乖離率は概ね縮小している様子が確認できる。売却期間が1ヵ月以内での事例シェアは24.7%(2020年:33.9%)で、全体の約1/4が売り出し開始から1ヵ月以内で成約に至っていた。
また、3ヵ月以内の累計事例シェアは51.4%(同55.8%)と過半数を占め、売り出し開始から2回目の媒介契約の有効期間が終了するまでには全体の約3/4に相当する72.5%(同74.6%)のケースで成約に至っていたことになる。
次に、売却期間ごとに価格乖離率のシェア構成を見てみると、売却期間が1ヵ月以内の場合に最もシェアが大きかったのは「-5%以内」の47.3%で、次いで「-10%以内」の21.0%となっている。売却期間が1ヵ月以内の場合でも価格乖離率が-10%を超えるケースはあるものの、それらのシェアは合わせても11.0%に留まっている。
一方、売却期間が6ヵ月まで長期化した場合、「-20%超」のシェアは13.2%まで拡大しており、さらに9ヵ月以上まで長期化した場合にはそのシェアは概ね20%以上にまで達している。
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