部圏における2021年上期での中古マンションの一戸平均価格は、売出価格が2,600万円(前期比:+6.8%)、取引価格が2,408万円(同+7.1%)と、ともに大幅上昇に転じた。売出・取引事例の価格乖離率※は-7.38%で、前期から0.26ポイント縮小した。
2020年春に発出された緊急事態宣言が解除されて以降、中古マンション市場ではニーズの高まりを背景に"売り手市場"の様相を呈している。
2021年下期には価格高騰に伴って在庫数が増加に転じる動きも出始めているが、中古マンションの一戸平均価格は売出価格が2,642万円(同+1.6%)、取引価格が2,454万円(同+1.9%)と揃って引き続きプラス、上昇率自体はやや縮小した。
いずれの価格も通年で最高値を更新している。一方、売出・取引事例の価格乖離率は-7.12%と3期続けて縮小したことで、新型コロナ前の水準を下回った。直近10年間においても売出・取引事例の価格乖離は最も縮まっている。
売出→成約までの期間(売却期間)を見てみると、2021年上期では4.06ヵ月、下期では3.82ヵ月と一転して短期化の傾向にシフトしており、直近では再び4ヵ月間を切っている。
同様の動きは首都圏(2.89ヵ月)でも確認されているが、市場規模やニーズの多寡などによる違いもあり、2020年下期には概ね同程度だった売却期間は1ヵ月間程度まで差が拡がってきている。
中部圏における2021年の価格乖離率を売却期間ごとに見てみると、売却期間が1ヵ月以内での価格乖離率は-3.58%であった。
不動産取引における専属専任媒介・専任媒介契約の有効期間である3ヵ月以内での平均は-4.91%となっており、売り出し開始からの3ヵ月間では最初の売出価格から5%程度値下げした金額で成約に至っていたことになる。
また、売却期間が6ヵ月まで長期化すると、価格乖離率は-10%を超え始める。2020年の調査結果と比べて、一部の売却期間を除けば価格乖離率は概ね縮小している。
売却期間が1ヵ月以内での事例シェアは36.6%(2020年:36.7%)で、全体の1/3以上が売り出し開始から1ヵ月以内で成約に至っていた。
また、3ヵ月以内の累計事例シェアは60.2%(同58.2%)と6割超を占め、売り出し開始から2回目の媒介契約の有効期間が終了するまでには全体の3/4以上に相当する75.5%(同75.4%)のケースで成約に至っていたことになる。
次に、売却期間ごとに価格乖離率のシェア構成を見てみると、売却期間が1ヵ月以内の場合に最もシェアが大きかったのは「0%(売出価格から値下げせず成約に至っているケース)」の38.0%で、次いで「-5%以内」の29.8%となっており、今回の調査では「0%」と「-5%以内」のシェア順位が入れ替わる結果となった。
売却期間が1ヵ月以内の場合で価格乖離率が-10%を超えるケースの合計シェアは14.7%で、他の都市圏よりも大きい。一方、売却期間が6ヵ月まで長期化した場合には「-20%超」のシェアが概ね2割を超えている。
データについては無断で転載、利用することを禁じます。
提供:東京カンテイ物件を買う
物件を売る
エリア情報