首都圏における2021年上期での中古マンションの一戸平均価格は、売出価格が4,017万円(前期比:+3.4%)、取引価格が3,831万円(同+5.0%)と揃ってプラス、上昇率自体も拡大した。売出・取引事例の価格乖離率※は-4.63%で、前期から1.42ポイント縮小した。
2020年春に発出された緊急事態宣言が解除されて以降、中古マンション市場ではニーズの高まりを背景に"売り手市場"の様相を呈している。2021年下期には価格高騰に伴って在庫数が増加に転じる動きも出始めているが、中古マンションの一戸平均価格は売出価格が4,158万円(同+3.5%)、取引価格が3,969万円(同+3.6%)と、ともに高い上昇率を維持している。
一方、売出・取引事例の価格乖離率は-4.55%で前期からは僅かな縮小に留まっている。売出→成約までの期間(売却期間)を見てみると、2021年上期では3.29ヵ月と前期から概ね1ヵ月間も短縮しており、下期には2.89ヵ月まで短くなった。
なお、売却期間が3ヵ月間を切ったのは2010年下期以来、22期ぶりである。直近においては在庫数の増加や価格改定の強まりなど、調整局面に向けた動きも見られる。ただし、成約に至っている事例に限れば前述の通り反響の強さが依然として窺えることから、人気が高いエリアや物件などへの引き合いは引き続き良好であると言えよう。
首都圏における2021年の価格乖離率を売却期間ごとに見てみると、売却期間が1ヵ月以内での価格乖離率は-2.41%であった。
不動産取引における専属専任媒介・専任媒介契約の有効期間である3ヵ月以内での平均は-3.25%となっており、売り出し開始からの3ヵ月間では最初の売出価格から僅か3%強の値下げで成約に至っていたことになる。
2020年の調査結果と比べ、いずれの売却期間においても価格乖離率は縮小、また今回の調査では売却期間が12ヵ月まで長期化しても価格乖離率は-10%を超えていなかった。
売却期間が1ヵ月以内での事例シェアは45.8%(2020年:35.1%)で、前年よりも10ポイント以上もシェアが拡大した。また、3ヵ月以内の累計事例シェアは69.1%(同55.4%)と7割近くを占め、売り出し開始から2回目の媒介契約の有効期間が終了するまでには84.1%(同74.0%)のケースで成約に至っていたことになる。
次に、売却期間ごとに価格乖離率のシェア構成を見てみると、売却期間が1ヵ月以内の場合で最もシェアが大きかったのは「0%(売出価格から値下げせず成約に至っているケース)」の43.0%で、次いで「-5%以内」の37.0%となっている。前回の調査では「-5%以内」が最大シェアだったが、今回は「0%」と順位が入れ替わる結果となった。
売却期間が1ヵ月以内の場合でも価格乖離率が-10%を超えるケースはあるものの、それらのシェアは合計で6.8%とごく一部に過ぎない。一方、売却期間が9ヵ月まで長期化した場合、「-20%超」のシェアは10%を超え始めている。
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