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2025.05.07

Kantei eye 2024年新築マンションPERの概況(近畿圏)

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2024年の近畿圏平均は24.17、前年から0.46ポイントの続伸
マンションPERが最も低かった駅は「姫路」の16.21、最高駅は「今出川」の35.31

大阪市や京都市の中心部で販売価格が高騰、マンションPER24以上26未満の駅数シェアが最大に

2024年における新築マンションPER(=マンション価格が同じ駅勢圏のマンション賃料の何年分に相当するかを求めた値)の近畿圏平均は24.17で、前年から0.46ポイントの続伸となった。

算出対象駅(81駅)における新築マンションの平均価格(70m2換算)は前年比+4.7%の6,060万円、分譲マンションの平均賃料(70m2換算)は+2.8%の209,144円といずれも上昇したが、平均価格の上昇率の方が上回ったことで回収に要する期間はやや長期化した。

2015年に20ポイント台だったマンションPERの水準は徐々に高まっており、コロナ禍以降は23ポイント台での推移が続いていたが、今回は直近10年間において初めて24ポイント台に達している。

各駅のマンションPERを色分けした路線図を見てみると、青色(18未満)の駅は兵庫県内に散見される程度で、緑色(18以上20未満)の駅も滋賀県の郊外エリアなどに数えるほどしかない。

青色と緑色の合計シェアを見ると、2015年には52.0%と過半数を占めていたが、2024年においては遂に10%の大台を下回ってきている。これらのシェア推移から、一般的な勤労者でも購入しやすい値頃な新築マンションが直近にかけて如何に急減してきているのかがわかる。

一方、京都市中心部では総じて赤色(24以上26未満)や茶色(26以上)のみが分布しているが、これは国内外の富裕層からのセカンドニーズの高まりによって高騰する販売価格に対してオフィスエリアを有する大阪市中心部ほど相場賃料を高く設定できず、結果的に賃料見合いで割高感が一段と強くなったためと考えられる。

また、大阪市中心部においては一部で比較的割安感がある橙色(20以上22未満)の駅も確認されているが、好立地・高スペックの高額物件が増えてきており、マンションPERがさらに上振れる可能性が高い。

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PERランキングの第1位は「姫路」、レンジは14.36~18.22で駅遠立地の物件ほど低い水準を示す傾向

近畿圏で最もマンションPERが低かった(割安感が強かった)駅はJR神戸線「姫路」の16.21で、賃料換算での回収期間は近畿圏平均に比べて約8年も短かった。

「姫路」で対象となったのは徒歩時間区分・所在階層区分が様々な5グループで、マンションPERのレンジは14.36~18.22と4ポイント以内に収まっており、最寄駅から離れている方が全般的にやや低い水準を示す傾向にある。

ランキング上位の多くは近畿圏の近郊~郊外エリアに位置する駅で占められているが、大阪市内や神戸市内の駅も散見される。

いずれもグループによってマンションPERに大きな隔たりは認めておらず、供給された新築マンションに関しては賃料見合いで純粋に割安であったと言っても差し支えないだろう。

一方、最もマンションPERが高かった(割高感が強かった)駅は京都市営地下鉄烏丸線「今出川」の35.31で、賃料換算では近畿圏平均と比較して回収に11年以上も余計にかかる計算となる。

ランキング下位20駅のうち、京都市中心部に位置する駅は半数を占めていることからも、これらのエリアで供給される新築マンションに対しては収益性をさほど考慮せずに価格設定が為されているとも言えよう。

「今出川」で対象となったのは4グループで、徒歩時間区分が「5分以内」のマンションPERは25.66~33.09、「11分~15分」では43.34~44.82と所要時間の違いによって10ポイント以上の差が生じている。

この背景にあるのは賃料水準の違いで、平均賃料(70m2換算)を見ると「5分以内」の約22万円に対して「11分~15分」は約16万円と3割近くも低くなっている。

当該駅近くの南東方向には緑豊かな京都御苑があり、賃料水準の差は交通利便性のみならず居住快適性の高さも加味されているとみられる。

対照的に、平均価格(70m2換算)においては所要時間による目立った違いがなかったことから、「11分~15分」で供給された新築マンションの販売価格が賃料見合いでかなり強気であったと見るのが妥当であろう。

ランキング下位駅の大半は京都市中心部に位置し、残りの多くも人気住宅地の阪神エリアや北摂エリア、大阪市中心部の駅などで占められているが、一部では奈良県や滋賀県内の駅も登場している。

第4位の「生駒」は供給された新築マンションが駅近立地であったこと、第17位の「大津」は近年価格高騰が著しい京都エリアからの転居者を中心に一般的な購入層のニーズの高まりを受けて強気な価格設定が為されたことで、それぞれマンションPERが高い水準になったと考えられる。

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築10年中古マンションPERランキングを初公開上位トップは「和歌山」、下位トップは「四条」

築10年中古マンションで最もマンションPERが低かった駅はJR阪和線「和歌山」の15.51で、賃料換算での回収期間は近畿圏平均に比べて9年以上も短かった。

「和歌山」で対象となったのは3グループで、徒歩時間が「5分以内」のマンションPERは17.81であったのに対して、「6分~10分」では14.26~14.38と3ポイント程度低くなっている。マンションPERの差は価格水準の違いに大きく由来しているものとみられる。

ランキング上位駅の分布状況は前出した新築マンションと基本的には同じで、多くは近郊~郊外エリアに位置する駅で占められているが、中には「西長堀」や「二条城前」といった都市中心部の駅も登場してきている。

立地条件を見ると、いずれも都市中心部を南北に貫きターミナル駅にも直結している主要路線からやや逸れていることもあり、中古マンション価格が幾分か割安に値付けされていたようだ。

一方、最もマンションPERが高かった駅は京都市営地下鉄烏丸線「四条」の42.60で、賃料換算では近畿圏平均と比較して回収に18年近くも余計にかかる計算となる。

ランキング下位駅の分布状況に関しては「大阪」や「梅田」をはじめ、大阪市中心部に位置する駅の数が相対的に多くなっているのが特徴である。

これらは旺盛な実需・投資ニーズによって新築と同様に中古マンション価格も急騰していることに起因するわけだが、価格上昇に賃料上昇が追いついていない表れの一つと捉えることもできよう。

また、新築マンションのランキング下位にも登場していた「四条」「烏丸御池」「梅田」「五条」ではいずれも中古マンションPERの方が高い数値となっており、中でも「四条」に至っては新築の価格水準を5千万円近くも上回っていた。

中古マンションの方が駅近立地であったことも影響しているが、それでも竣工から10年が経過した物件の方が高い価格水準を示している状況に対しては価格高騰の過熱感を覚えざるを得ない。

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