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#マンションリフォーム

2021.02.18

もっと素敵に、オシャレにしたい!【内装、床、建具】変更のポイント

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今vs.昔、部屋の中はどう変わった?

これまで、水回りや間取りをリフォームする際のポイントについて見てきましたが、部屋の中で大きな面積を占めるのは、床・壁・天井、ドアなどの建具です。そのため、これらをどうリフォームするかによって、部屋の印象はがらりと変わります。また、面積が広いために健康や快適さに与える影響も大きく、調湿効果や防音・遮音効果などの機能性も重要です。

そこで、今回は内装、床、建具などをリフォームする際のポイントについて、今と昔を比較しながら紹介します。

●1980年代のマンションの床はカーペットが主流
1980年代に建てられたマンションの床は、カーペットが主流でした。これは、当時はコンクリート板(スラブ)の上に直接床材を張る「直床仕上げ」が一般的だったためです。

直床仕上げは階下に騒音や振動が伝わりやすく、それらを抑えるためには防音・防振効果の高い床材を使用する必要がありました。カーペットは、フローリングやタイルなどに比べて騒音や振動が伝わりにくいという特徴があり、当時の多くのマンションで床材として採用されました。

1980年代のマンションで床材にカーペットを使用した例

●1980年代、壁・天井はビニルクロス、建具は簡素な木製が主流
壁や天井はビニルクロス張りが主流でしたが、色や柄の選択肢は少なく、調湿などの機能性も高いとは言えませんでした。

また、建具はプリントの表面にポリエステル樹脂をうすく塗装してベニヤ板に張り合わせたポリ合板や、中が空洞になったフラッシュ構造建具といった簡素で軽い木製のものが多く、丸い回転式のドアノブが付いた開き扉が多く使われていました。

丸い回転式ドアノブのイメージ

●現在のマンションの床はフローリングが主流、タイルや大理石のものも
現在のマンションは、遮音性の向上など技術的な進歩に加え、住む人のニーズに合わせて、ラグジュアリー化とそれに伴う素材感の追求や色柄のバリエーションの充実、清掃性の改善やメンテナンスフリー化が進んでいます。

最も多く使われているマンションの床材はフローリングです。かつて多かった直床仕上げに代わり、防音・防振性に優れた二重床が広まったため、カーペットよりも手入れがしやすく清潔感があり、オシャレなイメージのあるフローリングが一気に普及しました。

白いフローリングの床

また、高級感のある大理石や御影石、タイルといった床材が使われるマンションも増えました。カーペットに比べてこれらの床材は掃除しやすい上に、高級感も感じられます。中には、タイルよりも強度が高くコスト面でもメリットの高い塩ビタイルが使われるケースもあります。

玄関やキッチンに高級感のある御影石やタイルを採用した例

1980年代には一般的ではなかった床暖房も、今では多くの新築マンションに標準またはオプションとして用意されています。

さらに、家電機器の近代化も内装の変化と無縁ではありません。例えば、現在人気の掃除機には吸引力の高さをアピールするものが多いのですが、1980年代に張られたカーペットでは、吸引力に負けて剥がれてしまうことがあります。ロボット掃除機も昔の段差の多いマンションに比べ、現在のバリアフリー化されて開け放しておくことができる引戸のマンションの方がより効果的に使用できます。

●現在の壁・天井は多機能・多様化、建具は木目柄・引戸が人気
壁や天井は、現在でもビニルクロスが主流ですが、調湿・消臭機能を備えるなど、より多機能になっています。デザインも多様化しており、色や柄の選択肢が非常に豊富です。

寝室に調湿機能をもつエコカラットを採用した例

また、漆喰や珪藻土といた日本古来の壁材をマンションに採用するケースも増えました。これらの壁材は、独特の素材感が上質でゆとりある暮らしを演出してくれる上、調湿・消臭効果があり、機能面でも高い人気を誇っています。デザイン性に重きをおいたマンションでは、木製や金属製のパネルを壁材として使用するケースも見られます。

建具は、木目柄の人気が高く、天然木の表面を薄くスライスしてベニヤ板に張り合わせた突板(つきいた)と呼ばれるものなどが使われたり、木以外のさまざまな素材で木目が再現されたりしています。一方で、ホテルのような空間を好む人には、ガラス製の扉も人気です。

リビング入口の扉をガラス扉にした例

また、可動範囲が狭くスペースを有効活用できる、バリアフリーに適しているといった理由で、引戸が高く評価されるようになりました。

サッシは、結露防止や断熱、防音といった機能性の高さから、二重サッシが多く使われています。

内装・床・建具をリフォームしたお客様の事例

内装・床・建具は部屋全体の印象を左右するため、リフォームにあたっても住む人の趣向や個性が強く反映されます。これからリフォームを考える人にとって、実際にリフォームを行った先輩の事例を見ることは、非常に参考になるでしょう。

そこで、実際に内装・床・建具をリフォームしたお客様の事例を紹介します。

●T様邸の内装・床・建具のリフォーム
ご高齢の夫婦が二人で住まうT様邸は、バリアフリー設計でありながらも木を多用した明るく洗練したデザインにリフォームしました。従来のLDKと寝室を一つの空間にして、来客時は仕切れるように変更しています。

天井吊引戸を採用したため、床面にレールがないフラットな床となりました。壁面には、室内の湿気を調整し、脱臭効果も期待できる木パネル(杉材)を張り、機能性とデザイン性を兼ね備えた居室となっています。

リフォーム後、バリアフリー設計とデザイン性の共存する空間

●M様邸の内装・床のリフォーム
雑然とした玄関に不満を抱いていたM様は、玄関のリフォームにあたり、ウォークインシューズクローゼットを新設したほか、床と壁もリフォームしました。たたき部分は大理石を採用し、玄関から居室に至るまでは全て同じフローリングに張り替えて統一感を演出しています。

また、玄関正面の壁には調湿・消臭機能があり、デザイン性にも優れたエコカラットを採用しました。さらに、クロークの反対側の壁には壁面一面に鏡を設置して、玄関を広々とした印象に見せています。

●N様邸の内装・床のリフォーム
N様は、以前の住まいが手狭になったため、同じ生活圏でより広い中古マンションを購入してリフォームしました。その結果、全体として機能性とデザイン性を兼ね備えた住まいが実現しました。玄関からリビングへ続く廊下の床には大理石を採用し、壁には全身が映る鏡とエコカラットを張って、スタイリッシュな表情を演出しています。

ここに注意! 内装・床・建具をリフォームする上で気を付けたいポイント

●床をリフォームするときの注意点
リフォームするマンションの床が直床仕上げの場合は、直床に対応した素材、二重床の場合は二重床に対応した素材しか使えません。直床仕上げのカーペットの床をフローリングに変更したいという要望は多いのですが、カーペットからフローリングへの変更が管理規約で禁止されているケースが多々あります。

また、二重床の場合で、床材に石やタイルを使用する場合は、床材の重さに耐えられる下地である必要があります。そのため、場合によっては下地の強度を担保するための大がかりな工事が必要になることがあります。

●壁・天井をリフォームするときの注意点
今は、調湿・消臭機能をアピールするビニルクロスも出ていますが、漆喰や珪藻土ほどの効果は期待できません。また、漆喰や珪藻土、調湿機能を持たせたタイルなどの機能は、その面積に比例するため、狭い範囲に使用しても、あまり効果は期待できません。また、年数が経てば割れることもあるためメンテナンスが必要です。

タワーマンションの高層階などで使われることの多い乾式耐火構造の壁は、原則として「貼り」以外の施工ができない場合があります。

●建具をリフォームするときの注意点
建具や建具の周辺にある枠・扉・巾木・床は、色や素材の統一感を保つようにしないとチグハグな印象になってしまいます。また、枠や巾木を変更する工事は、その周りのクロスにも影響が及ぶため、クロス全体の張り替えが必要なケースがあります。また、重厚な建具への変更は、周りの枠や壁が重さに耐えられるかどうか確認が必要です。場合によっては補強工事が必要なこともあります。

図1 建具とその周辺

内装・床・建具のリフォームは、部屋の印象を大きく左右する上、特にマンションのリフォームの場合は戸建のリフォームよりも気を付けるべきポイントが多くあります。そのため、マンションのリフォーム実績が豊富な会社に相談しながら進めることをおすすめします。

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野口健(のぐち・けん)

野口健(のぐち・けん)

野村不動産パートナーズ株式会社
建築・リフォーム業界に携わり約20年、マンションのリフォームを数多く手がけ、リフォーム現場の最前線で豊富な経験と広い知見をもとにリーダーとして活躍中。
一級建築施工管理技士、一級管工事施工管理技士の資格を保有。

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