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#マンションリフォーム

2020.09.29

水回りリフォームのポイント(1)【キッチン編】開放的で楽しく料理ができる場所にしたい!

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今 vs. 昔、キッチンはどう変わった?

ライフスタイルや嗜好の変化、テクノロジーの進化などにより、マンションのキッチンはここ30~40年で大きく変化しました。また、1980年代に建てられたマンションのキッチンだけに注目しても、1980年代の前半か後半かで傾向に違いが見られます。

今回は今と昔のキッチンについて比較しながら、リフォームのポイントについて紹介します。

●1980年代前半は独立型・セクショナルキッチンが主流
1980年代前半は、リビングやダイニングとは別の一つの部屋のようになっている独立型のキッチンが主流でした。

そこでは、主に流し台、調理台、ガス台がそれぞれ独立しているセクショナルキッチンが使われていました。セクショナルキッチンは、ガス会社などで購入したガスコンロを置いて使うため、ガス台が流し台や調理台よりも一段低くなっているのが特徴です。構造上どうしても隙間が生まれてしまうため、ゴミや汚れの付着が気になるというデメリットがあります。

1980年代前半に主流だったセクショナルキッチンのイメージ

●1980年代後半はシステムキッチンの普及初期
1980年代後半に入ると、こうしたキッチンの傾向に徐々に変化が見られます。独立型からLDK 、DKといったリビングやダイニングとつながったキッチンが増え、ガスコンロからシンクまでが一体となったシステムキッチンが普及し始めました。

当時のシステムキッチンの天板はステンレスが主流でした。キッチン収納は、単色系の開き扉と引き出しの組み合わせ、キッチンの周りはタイル張りというスタイルが多く見られました。

1980年代後半に見られるようになったシステムキッチンのイメージ

●現在のキッチンはリビングの一部
独立型のキッチンは一定層に根強い人気がある一方、現在の主流はリビングダイニングと一体化したキッチンです。リビングとつながっていると言うよりも、リビングの一部、インテリアと同じような位置づけになってきています。

また、1980年代後半に普及し始めたシステムキッチンは大いに進化して、デザイン性や機能性に優れたものが豊富に揃っています。

リビングのインテリアの一部のようなキッチンが現在の主流

ここが魅力!今のマンションのキッチンの間取りや仕様

●料理に参加しやすいオープンやセミオープンタイプが人気
今は周りに壁や吊戸棚を設けないオープン、セミオープンタイプのキッチンが特に高い人気を誇っています。オープン、セミオープンのキッチンが人気の理由は、「料理は家族で楽しむもの」という考えが定着してきたからでしょう。

それまでは、誰か一人が料理をして、ほかの家族はそれを食べるだけでしたが、今は皆で料理をして皆で食事をすることが、家族団らんの主流になっているため、料理に参加しやすいキッチンに人気があります。また、リビングの一部となったキッチンは、見栄えも重視されるようになりました。

最近のキッチンは、リビングから見た際に上質感が感じられる洗練されたデザインのものが好まれます。天板も、システムキッチンが普及し始めた当初はステンレス一択でしたが、今はセラミックや人造大理石など、豊富な素材と色柄の中から選ぶことができます。

これら新素材の天板は、硬くて熱に強いという特徴があり、デザイン性だけではなく機能性の高さという面でも人気があります。

新素材の天板は、デザイン性だけでなく、機能性も高い

料理しやすく、お手入れしやすい、進化した多機能なキッチン
キッチンの機能性という意味では、1980年代にはあまり一般的ではなかったさまざまな機能が普及し、料理やお手入れがしやすい、より便利なものになりました。

「食器洗い乾燥機」などはその代表ですが、他にもガスを一切使わずに調理ができる「IHクッキングヒーター」や、手をかざすだけで水が出る「自動水栓」、生ごみを粉砕処理する「ディスポーザー」などが一般的になっています。

ガスコンロに関しては、2008年から法令で吹きこぼれや加熱を防止する「Siセンサー」の搭載が義務付けられており、基本的な安全性能が向上しています。

キッチン収納も、かつての開き扉からスライド式の収納が一般的になり、作業効率と収納量がアップしました。開き扉の場合は、出し入れする際に屈む必要があり、収納スペースにも無駄が生じやすいなどのデメリットがありましたが、スライド式の収納では、これらのデメリットが解消されています。

キッチンをリフォームしたお客様の事例

キッチンリフォームを希望するお客様の傾向としては、大きく二つに分かれます。一つは、キッチンだけを取り替えたいというお客様、もう一つはキッチンをレイアウトから変えたいというお客様です。

では、実際にキッチンリフォームを行ったお客様は、どのような点にこだわりを持って、どのようなリフォームを行ったのでしょうか。いくつか事例を紹介します。

●H様邸のキッチンリフォーム
2016年築のマンションにお住まいのH様は、より広いリビングを求めて、2018年に同じマンションの上階に転居されました。

その際、ペニンシュラ型の対面式キッチンからアイランド型で、キッチンとダイニングテーブルが一体となった「いろりダイニング」を検討されました。レイアウト変更を伴う大がかりなリフォームでしたが、調理しながら食事ができ、片付けも楽な今のキッチンに大変満足されているご様子です。

●N様邸のキッチンリフォーム
1998年築のマンションにお住まいのN様は、水回りの老朽化に頭を悩ませていました。そこでリフォームを考え、訪れたショールームで開放感のあるアイランド型のシステムキッチンに一目惚れされたようです。

キッチンを核とした部屋づくりに取り組み、2016年にリフォームを実施しました。コンロ部分に水色のタイルを敷き詰めるなど、デザイン性にもこだわっています。

●T様邸のキッチンリフォーム
T様のお住まいは1998年築のマンションでした。入居当初からあるキッチンは、頭上に吊戸棚が備え付けられたタイプのL字型対面式キッチンでしたが、将来のことを見据えてより使いやすいキッチンにしたいと、ペニンシュラ型のオープンキッチンへとリフォームされました。

スリムでお手入れが簡単なレンジフード、引き出し式の収納など、使い勝手が格段に向上したそうです。

ここに注意!キッチンリフォームで気を付けたいポイント

理想のキッチンを思い描いて、いざリフォームしよう!となっても、さまざまな制約から希望するリフォームが行えないケースがあります。また、事前にイメージをしておくことで、リフォームがスムーズに進むこともあります。そこで、リフォームを検討する際に気を付けておきたいポイントを以下にまとめました。

●リフォームができない可能性や、制約が大きいリフォームの例
・ディスポーザーの新規取り付け

ディスポーザー(シンク下、排水口部分に設置する生ゴミ処理設備)はマンション全体の排水処理システムと一体となっているため、元々ディスポーザーの付いていないマンションに、新規でディスポーザーを取り付けることはできません。

・オール電化マンションへのガスコンロの採用
オール電化マンションは、ガスの引き込みが一切ないため、ガスコンロを使うことができません。

・直床構造でのレイアウト変更
マンションの床が直床構造の場合、排水管、給水湯管、ガス管、換気ダクトなどの配管の位置に制約があるため、キッチンのレイアウト変更を行うためには、配管スペースを新たに設ける必要があります。そのため、直床構造でレイアウト変更を行う場合は、キッチンとその周辺部分だけ数十センチ高いステージのような状態になってしまいます。

・搬入が不可能なサイズへの天板の変更
意外と見落としがちですが、キッチンの天板のサイズによっては、階段やエレベーターで搬入できない、玄関からキッチンへ搬入できないといったケースもあり得ます。低層マンションでベランダ側から搬入できる場合もありますが、サイズに関しては事前に調べておいた方がいいでしょう。

●事前にイメージを持っておきたいこと
・天板の高さ

新築の場合、今は天板の高さが選べるマンションもありますが、昔は85cmを基本にその前後5cmの高さが一般的でした。リフォームであれば、天板の高さは5cm単位で細かくオーダーできるため、事前にショールームなどへ行って、使いやすい高さを確認しておくといいでしょう。

・食器洗い乾燥機の有無
食器洗い乾燥機は後付けできるものもありますが、リフォームをするのであれば配管の関係もあるため、事前に必要かどうかを決めておいた方がいいでしょう。

・ガスコンロ or IHクッキングヒーター
前述のように、オール電化マンションであればガスコンロは使うことができません。ガスコンロにするか、IHクッキングヒーターにするかも事前に決めておくといいでしょう。

マンションのキッチンをリフォームするに当たって、何ができて何ができないのか、どのような点に気をつければいいのかを知り、是非理想のキッチンを実現していただきたいと思います。

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協賛:野村不動産パートナーズ
野口健(のぐち・けん)

野口健(のぐち・けん)

野村不動産パートナーズ株式会社
建築・リフォーム業界に携わり約20年、マンションのリフォームを数多く手がけ、リフォーム現場の最前線で豊富な経験と広い知見をもとにリーダーとして活躍中。
一級建築施工管理技士、一級管工事施工管理技士の資格を保有。

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