ノムコム60→ > 老後の暮らしとお金のコラム > 家族に迷惑をかけない相続 > 身近な人が亡くなったときに知っておきたい基礎知識

老後の暮らしとお金のコラム家族に迷惑をかけない相続

2017/09/29
身近な人が亡くなったときに知っておきたい基礎知識

身近な方が亡くなることは悲しいことです。
でも人が亡くなるといろいろな事務手続きが待っています。
しかも期限付きで。
どの時期に何をすればいいかを理解しているだけでもいざというときに慌てなくて済むものです。
やるべきことを、タイムスケジュールを元にご紹介します。

人が亡くなるということは大変なこと

皆さんは大切な身近な方を亡くされたことはありますか?
ある方はきっと「ゆっくりと最後のお別れをする時間もなく49日が過ぎてしまった」と感じられたのではないでしょうか。
人が亡くなるということは本当に大変なことだと私自身、相続・終活の仕事をしていると感じることが多々あります。

まず、病院で亡くなると病室から霊安室に移動になりますが、その霊安室から病院を出るまでに早い場合は1~2時間で済んでしまいます。
そんな短い時間で葬儀社を決めることは難しく、病院から紹介された葬儀社に依頼するケースが多いです。

以下、亡くなられてからの簡単な流れになります。

①ご臨終
②霊安室に移動
③親戚や葬儀社への連絡
④死亡診断書もしくは死体検案書の受取
⑤退院手続き
⑥遺体搬送
⑦葬儀打合せ
⑧死亡届の提出、埋葬許可証の発行
⑨通夜
⑩葬儀・告別式
⑪火葬
※②から⑧は順番が入れ替わることもあります。

その後、1年の間に行う必要がある相続手続きとは

火葬が済み、四十九日、納骨と法要関係が続きますが、それと同時進行で行う相続手続きがあります。

こちらは、タイムリミットが決まっているものが多く、1年でやるべきことが山積です。
重要なポイントをタイムスケジュールで順を追って見ていきましょう。

相続手続きの主な内容と期限
被相続人の死亡 相続開始
相続開始から
3ヵ月以内
遺言書の有無の確認 遺言書がある場合→自筆証書遺言なのかを確認
遺言書がない場合→相続人・相続財産の確定作業
相続人の確定
相続放棄・相続限定承認の確定 相続の放棄、または限定承認する場合は家庭裁判所へ申述
相続開始の翌日から
4ヵ月以内
故人の準確定申告 故人に所得があるなど必要な場合のみ
相続開始から
10ヵ月以内
遺産分割協議 遺言書がない場合
遺産分割協議書の作成 相続人全員の署名・捺印が必要
遺産分割および遺産の名義変更 不動産や株式
相続税の計算・申告書の作成
相続開始の翌日から
10ヵ月以内
相続税の申告・納付手続き
相続開始から
1年以内
遺留分滅殺請求(遺留分侵害を知った日から1年以内) 必ず内容証明を相手に送る


特に遺言がない場合には、相続人の特定や遺産分割協議が難航し、思いのほか時間や労力がかかります。
また、銀行の預貯金の引き出しや不動産の登記の変更に、被相続人(亡くなった方)が生まれてから死亡するまでの戸籍謄本(除籍・改製原戸籍・現戸籍)が必要となり、それらの書類を揃えるだけでも気の遠くなるような時間がかかる場合があり、実際には上記のタイムスケジュールに書かれていない手続きも多くあります。
そして、この中でも特に重要なのは、遺言がない場合の遺産分割協議や相続税の申告・納税です。

相続手続きで最低限押さえておきたいこと

まず、遺言がない場合の遺産分割は、相続人同士の話し合いがスムーズに進まずに「争族」に発展することがあります。
この点をはじめから想定することで、無用な争いを避け、相続人同士がお互いを思いやれるように配慮することができます。

また、相続税の申告・納税は相続開始の翌日から10ヵ月以内に行う必要があります。
たとえ遺産分割協議が難航し進まなかったとしても、法定相続分で分けて申告するようにしましょう。
それを怠ると「小規模宅地等の特例」や「配偶者の税額軽減」などの優遇が受けられなくなり、相続税の減税対策ができなくなります。

今回は大まかに人が亡くなってから一年以内に行うことを解説しました。
遺言やエンディングノートを活用し、いざという時に家族が慌てたり困ったりしないように事前準備ができるといいですね。

執筆者:一橋香織

AFP 相続診断士 家族信託コーディネーター 終活カウンセラー上級。
頼れるマネードクターとしてこれまでに1,500件もの相続・お金の悩みを解決した実績を持つ。講演・メディア出演多数。システムダイアリー社の「エンディングノート」監修。
著書「家族に迷惑をかけたくなければ相続の準備は今すぐしなさい」(PHP出版)。
相続診断士事務所「笑顔相続サロン」代表 東京相続診断士会会長。
コラム一覧を見る


不動産活用&相続コンシェルジュ
無料相談はこちらから

本コラムは、執筆者の知識や経験に基づいた解説を中心に、分かりやすい情報を提供するよう努めておりますが、その内容について、弊社が保証するものではございません。