マンションの魅力は数多くあります。セキュリティーや耐震性能の高さ、日照や通風の良さなどなど。しかしその中でも交通利便性の良さは都市型居住形態であるマンションの大きな魅力となっています。
「駅から近い」マンションはそれだけで人気があります。利便性が高いので購入者のニーズが高いのは当然ですが、実は駅近マンションの人気が高いのにはデータで裏付けられた理由があるのです。それをデータとともに見ていきましょう。
表をご覧ください。
これは2006年7月~2007年6月に新築分譲されたマンションが2016年7月~2017年6月に中古マンションで流通したときの坪単価を駅距離帯別に比較したものです。2006年7月~2007年6月の新築の時の価格と10年後の中古価格がどの程度の価格になっているのかを、新築時を100%として変動率を見たものが赤字で表した「リセールバリュー=再販価格」です。
この表から明らかな通り、首都圏では駅徒歩3分以内の物件は10年後には106.8%、徒歩4~6分以内では96.2%と平均値を上回っていて、他の駅距離帯と比較して高くなっています。全平均のリセールバリューが96.0%ですから、首都圏では徒歩6分以内に優位性は明らかです。
近畿圏も全平均のリセールバリュー94.6%を上回っているのは徒歩3分以内のみで、首都圏以上に駅からの所要時間と資産性との関連性が高くなっています。
中部圏は首都圏や近畿圏と比べると「クルマ社会」であると言われます。地下鉄の運賃が高く、道路網がよく整備されているので、クルマ通勤をする人の比率が高くなっています。そのため駅距離帯別のリセールバリューも首都圏や近畿圏ほど明確には出ていませんが、それでも徒歩10分以内の物件は中部圏平均の86.7%よりも高く、資産価値の優位性が認められます。
このように駅近マンションは一般的に資産価値としても優良なマンションが多く、買って売るときに有利ですし、中古マンションを売り際も高値で売ることが期待できるのです。
上の表は2006年7月~2007年6月に分譲された新築マンションの駅距離帯別の分譲戸数シェアと、それらの物件から2016年7月~2017年6月に発生した中古マンションの流通事例シェア、同じく2016年7月~2017年6月の賃貸マンションの流通シェアを比較したものです。
首都圏、近畿圏、中部圏ともに、駅徒歩3分以内の駅至近の物件が賃貸として貸し出されている事例が、新築分譲戸数のシェアと比べて3~5%程度高くなっているのがわかります。
駅徒歩3分以内のマンションは、賃貸マンションとして貸し出す事例が他の駅距離帯より多く発生しており、賃貸ニーズの高さの反映と見ることができます。
このように徒歩3分以内などの駅近マンションは、購入しても賃貸に出しても良い物件と言えるでしょう。物件選びの参考になさってください。
1964年東京生まれ。89年マンションの業界団体に入社、以降不動産市場の調査・分析、団体活動に従事、01年株式会社東京カンテイ入社、現在市場調査部上席主任研究員、不動産マーケットの調査・研究、講演業務等を行う。
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