「千産千消」という言葉をご存知だろうか。千葉県では地元でとれたものを地元で消費する「地産地消」を、千葉県の千に掛けて「千産千消」と呼んでいる。
「四里四方に病なし」という言葉が示すように、地元で採れた栄養満点の旬の素材を食べることは健康にも良い。千葉県教育委員会では、学校給食に地場産物を活用した食育を行う「千産千消デー」を2009(平成21)年から実施している。
「千産千消」に取り組むと同時に、県産農林水産物の消費拡大・販売促進を図ることを目的とした「千産全消」にも力を入れている。今回は私たちの生活に寄り添う「千産千消」について紹介する。
では、千葉県の名産品や食材にはどんなものがあるのだろうか。温暖な気候と広大な県土に囲まれた千葉県では、首都圏でありながら野菜・果物・魚・米・肉・牛乳といった豊富な食材が身近に手に入る。2021(令和3)年の農業産出額は3,471億円と全国6位に位置している。
農林水産物では、全国の生産量8割を占める落花生はあまりにも有名だ。旬は秋で、茹でピーナッツやピーナッツ入りおこわにしたり、肉と一緒に炒めたりとさまざまな食べ方ができる。千葉県では「千葉半立(ちばはんだち)」「ナカテユタカ」「郷の香(さとのか)」「おおまさり」「Qなっつ」といった品種が生産されている。
落花生以外にも、さやいんげん、みつば、マッシュルーム、だいこん、かぶ、春菊は生産量全国1位である。果物では「二十世紀」「幸水」「豊水」といった日本なしが有名。病気に強い梨の樹を作る土づくり、せん定技術、肥料を与えるタイミング、害虫を防ぐ工夫など、江戸時代から梨を作るための技術が蓄積されてきた歴史もおいしさの秘密である。
千葉の食材は陸だけではない。豊富な海の幸が獲れるのも千葉県の魅力だ。房総沖には、黒潮と親潮の寒暖両流が流れ格好の漁場となっている。また外房では高級魚介類が獲れ、伊勢海老、すずき類、このしろの漁獲量は全国1位である。内房ではアサリ漁やノリの養殖が盛んで、潮干狩りシーズンには、県内外から多くの人が集い賑わう。(出典:令和3年農業産出額、令和3年漁業・養殖業生産統計年報)
千葉県では「千産千消」の一環として、県産農林水産物を主たる原料とする加工食品の普及にも力を入れている。「船橋産ベーターキャロットポタージュスープ」は、ニンジンとしては全国初のブランドである「船橋にんじん」と、船橋産の「ベーターキャロット」を使ったポタージュスープ。化学調味料は一切使用せず、生クリームと香味野菜、わずかの塩で味付けした濃厚な味わいが楽しめる。
船橋市松が丘に店舗を構える「御菓子処 扇屋」が提供する「房州びわ 枇杷の実」はお茶請けや贈答品として重宝する逸品。自家製白餡に房州びわのピューレを煉り込んだ枇杷餡をはじめ、小麦粉、卵、人参パウダー、バターと原材料の多くが千葉県産である。瑞々しく柔らかい風味としっとりした食感は、口にするたび至福のひと時を味わえる。
1912(明治45)年創業の「飯塚海苔店」が提供するのは、素材選びのノウハウと品質管理、独自の焼き上げ技術で仕上げた「青飛び(海苔)」だ。栄養豊かな東京湾で育つ風味豊かな青海苔は、口溶けの良さと甘み旨みが特徴で、そのまま食べてもおにぎりにしても美味しい。食卓に常備したい逸品である。
毎年1月に発表される「食のちばの逸品を発掘」コンテストでは、さまざまな銘品が登場するので注目したい。
農林水産物を手に入れるのに欠かせないのがスーパーマーケットの存在だ。千葉県には個性豊かなローカルスーパーが点在している。「リブレ京成」はいつも新鮮で味わい豊かな食生活を、生鮮食品を通じてお客様に提供していくことをポリシーとするスーパーマーケットだ。高根台店、勝田台店、八千代台ユアエルム店、三矢小台店、アルビス前原店、千葉寺店では、青果売場に地元の生産者直売コーナーが設置されており、「千産千消」を推進している。
「接客サービス日本一」をスローガンに掲げ、千葉県内に18店舗、茨城県に4店舗を構える「ランドローム」。自社のオリジナルブランドである「真面目シリーズ」は、顧客満足度の向上に重きを置いて真面目に商品開発に取り組んでいる。中でも千葉県の工場で製造された牛乳をたっぷりと使用した「真面目シュークリーム」は高い人気を誇る。
1979(昭和54)年、「美味しいものをお客様に提供する」ことを信条に誕生した「ナリタヤ」は、県内に12店舗を構えるスーパーマーケットだ。『安心』『安全』『お手頃な価格』で栄養満点な野菜を提供したいという想いから生まれた「ナリタヤ農園」では、栽培期間中に農薬不使用で野菜を育てている。大根、白菜、キャベツ、かぼちゃ、にんにく、ネギ、ホウレンソウなど品目も多い。そのほか、千葉県産の原材料を使用したプライベートブランド商品も数多くそろっている。
新鮮な魚介類を手に入れたいときは「スーパー富分」がおすすめだ。千葉県内に3店舗とベトナムにもお店を構える。経験豊富なプロのバイヤーが、鮮度の良い魚介を厳選し、日々質の高い商品を仕入れている。捌かれていない丸魚も多く販売しているのも特徴の一つ。もちろん、野菜や加工品など魚介以外の商品も充実している。
全国に展開する大型商業施設でも、「千産千消」をテーマにしたイベントが開催されている。「ららぽーとTOKYO-BAY(旧三井ガーデンホテル船橋ららぽーと)」では過去に「千産千消まるごとグルメパーティー」が開催された。県内にある7つのホテルからシェフが集まり、千葉県産の新鮮な食材を使用した料理を立食ビュッフェスタイルで提供。料理を楽しむのはもちろん、人気メニューを決める投票や抽選会なども行われた。
「IKEA Tokyo-Bay」では、船橋の特産品をPRするイベント「IKEAマルシェ とれたて船橋!」が開催された。船橋市経済部農水産課との協働で実現したイベントで、1階の屋外エントランスでは千葉県水産ブランド認証品の「江戸前船橋瞬〆すずき」の試食をはじめ、ホンビノス貝の浜焼きや若手農家による船橋産野菜の直売などが行われた。
「三井アウトレットパーク幕張」では過去に「千葉のいいものマルシェ」が実施された。複数回開催されているイベントで、県内の農家や事業者を応援するのが目的だ。千葉市内のつくる人とたべる人をつなげる千産千消プロジェクトで、新鮮野菜や加工品の販売が行われた。
美味しいものとの出会いを楽しみながら地域の活性化に貢献もできる「千産千消」イベントは、上記のように数多く企画・開催されている。千葉に暮らしたら、身近な「千産千消」を探してみるのも面白いだろう。
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