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2020.05.07

Kantei eye 2019年 新築マンションPERの概況(首都圏)

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2019年の首都圏平均は24.36、低下も4年連続で24ポイント台を維持
マンションPERの最低値は「京王多摩センター」の15.96、最高値は「泉岳寺」の38.56

エリアを問わず賃料見合いで強気に価格設定される駅が大半

物件バイアスで"見かけ上"割安に映る駅も2019年における新築マンションPER(=マンション価格が同じ駅勢圏のマンション賃料の何年分に相当するかを求めた値)の首都圏平均は24.36(対象184駅)と、4年連続で24ポイント台を維持した。

分譲マンションの平均賃料(70m2換算)が前年比+3.5%の250,142円と引き続き上昇したのに対して、新築マンションの平均価格(70m2換算)は-0.5%の7,308万円と下落に転じたことで、回収に要する期間は前年に比べて0.6年短くなった。

各駅のマンションPERを色分けした路線図を見ると、賃料見合いで新築マンション価格が比較的割安であることを示す青色や緑色は散見される程度であり、割高であることを示す赤色や桃色がエリアを問わず広く分布している状況で、価格高騰が都心部に限った話ではないことが窺える。

強い割安感を示す青色(18未満)は都心部においても確認することができるが、例えば「浜松町」の場合は大手デベロッパーの駅近タワーマンションから高額な賃料事例が発生したためであり、また「勝どき」に関しては"選手村"が周辺相場に比べて割安に分譲されたことが大きく影響している。

一部では行き過ぎた割高感が緩和される動きも見られるものの、比較的強い割高感を示す桃色(22以上24未満)や首都圏平均よりも総じてマンションPERが高い赤色(24以上)の合計シェアに関しては全体の3/4以上を占める状況が依然として続いている。

首都圏全域に渡って大手デベロッパーによる寡占化が進んでいる状況に変化は見られず、この現状を考慮すれば一般勤労者でも購入可能な値頃感のある販売価格となることを早晩見込むことは難しく、基本的にはエリアを問わずマンションPERが高い状態が今後とも続いていく可能性は非常に高いと考えられる。

PERランキングの第1位は昨年と同じく「京王多摩センター」、徒歩15分の大規模マンションがバイアスに

首都圏で最もマンションPERが低かった(割安感が強かった)駅は昨年と同じく京王相模原線「京王多摩センター」の15.96で、新築価格や月額賃料のいずれでも大きな変化は見られず、徒歩15分の大規模マンショの影響から価格の割安感が実態よりも過剰に示されている状況が依然として続いている。

同じく、物件バイアスによって"見かけ上"割安に映る駅としては、郊外エリアでは「八王子」「国分寺」「柏の葉キャンパス」、都市部~近郊エリアでは「浜松町」「志茂」「四ツ谷」「目黒」「表参道」「麻布十番」「池袋」を挙げることができる。

また、「勝どき」に関しては賃料水準に大きな変化はなかったものの、"選手村"によるバイアスで分譲価格が8,650万円→6,583万円と2,000万円以上も低下していた。そのため、表面上の割安感が強まっただけであるという点から、前述した駅に類するといっても良いだろう。

一方、最もマンションPERが高かった(割高感が強かった)駅は都営地下鉄浅草線「泉岳寺」の38.56で、賃料換算では首都圏平均と比較して回収に14年以上も余計にかかる計算となる。

賃料見合いで最も割高な駅となってしまった要因は、月額賃料では海側の徒歩10分以遠の物件、新築価格では陸側の徒歩5分の物件がそれぞれ対象となったためであり、隣接駅の「白金高輪」や「品川」の相場賃料を参考にすれば、マンションPERは30ポイント前後まで抑えられる。

また、当該駅の至近エリアには2020年3月から新駅「高輪ゲートウェイ」が開業したため、これから商業・生活の場としての利便性の高まりとともに賃料水準も上昇してくれば、過度な割高感が改善へと向かうことも十分考えられる。都心部に立地し月額賃料も30万円以上を誇る駅は、「渋谷」を含め6駅がランクインしている。

これらの駅では大手デベロッパーによって高級レジデンスやタワーマンションが例外なく供給されているわけだが、優良物件であれば資金を惜しまない富裕層をターゲットとしていることもあり、新築マンション価格は優に1億円を超え、マンションPERも総じて30ポイント以上を示している。

それ以外では、「二子玉川」や「吉祥寺」など人気住宅地として知名度が高い駅も登場しており、近郊~郊外エリアに位置しながらも分譲価格は1億円前後の高水準を示している。

なお、郊外エリアに位置する「仲町台」「朝霞台」「松戸」に関しては、いずれも徒歩5分以内の物件が供給されているのだが、15万円前後の相場賃料に対してはやや強気の値付けが為されているようだ。

PERが前年から最も低下した駅は「乃木坂」、駅近タワー物件から平均48万円超の賃料事例が多数発生

前年に比べて最も割安感が強まった駅は東京メトロ千代田線「乃木坂」で、賃料換算で回収期間が14年以上も短くなった。分譲実績があったのは徒歩9分の低層レジデンスのみだったため、新築マンション価格が15,613万円→11,881万円と低下したのに対し、大手デベロッパーが供給した駅近タワーマンションから平均で48万円超の賃料事例が多数発生していた。

同様に、特定の物件によるバイアスで月額賃料が前年から10%以上も上昇していた駅としては、他にも9駅(「神谷町」「浜松町」「池袋」「八王子」「三鷹」「青葉台」「品川シーサイド」「大井町」「八丁堀」)を挙げることができる。中には、新築マンション価格自体が下落している駅もあるが、基本的には前述した賃料水準の大幅な上昇によって割安感が表面上増したものと捉える方が妥当であろう。

一方、前年から最も割高感が強まった駅は東京メトロ日比谷線「広尾」で、回収までの期間が10年ほど長期化することとなった。掲出した20駅を見ると、一部では賃料水準が低下しているケースもあるが、新築マンション価格は例外なく前年から上昇しており、基本的には純粋に賃料見合いで割高感が強まった代表的な駅と言っても過言ではない。

富裕層や資金に余裕がある購入層から居住・投資の両ニーズを集める都心部、住宅地として根強い人気のJR中央線や東急田園都市線などでは、これまでも分譲価格が高騰することは珍しくなかった。

加えて、昨今では近郊~郊外エリアにおいても大手デベロッパーが手掛ける駅近物件の増加を背景に従来の相場価格から上振れるケースが出始めており、第2位の「松戸」や第4位の「仲町台」のように前述したエリアと遜色ない水準までマンションPERが高まるケースが目立ってきている。

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提供:東京カンテイ
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