Kantei eye 中古マンションの価格改定シェア＆値下げ率（名古屋市）

名古屋市の新規流通戸数2020年の第1四半期は1,501戸の大幅増加
新型コロナ禍によるパニック的な動きが表面化継続流通戸数や価格改定シェアも高水準

中古マンション価格と各指標（※数値一覧は次頁に掲載）の2005年～2020年6月までの最新データを掲出するとともに、高水準な価格を維持し続ける中古マンション市場における"水面下での動き"について改めて検証を行った。

なお、今回からはマーケットの状況をより把握しやすくするために、流通戸数を「新規（＝当月に新たに流通したもの）」と「継続（＝当月よりも前から流通し続けているもの）」に区分した。また、価格改定シェアの算出に当たっては母数を「全ての流通戸数」→「継続流通戸数のみ」とし、実態に合わせるように改めた。

2013年以降の価格上昇局面における各指標の動向

中古マンション価格が2013年に上昇局面入りしていたのは名古屋市も同様であったが、その特徴は東京23区や大阪市と異なっていた。先に挙げた2つの主要都市では急激な流通戸数の増加やそれに伴う価格改定シェアの拡大に起因する形で、2016年頃に一旦は調整局面を迎えていたのだが、名古屋市の推移にはそのような変化は生じておらず、概ね2019年にかけて緩やかな上昇基調が続いていく。

価格改定シェアに限れば2016年以降にやや拡大させる場面も見られたが、流通戸数に関しては急激に増加することもなく、また2012年当時のピークを下回り続けていたことからも、市況感の悪化による流通戸数の滞留は起こっていなかったと判断できる。

このことは同期間を通じて値下げ率が縮小傾向で推移していたことを以てしても裏付けられ、名古屋市における中古マンション市場は好調な地域経済やリニア中央新幹線の開業決定に伴う再開発、さらには投資マネーの流入などを追い風に2019年まで堅調さを維持し続けることとなる。

2019年～2020年上半期にかけての各指標の動向

上昇し続けた中古マンション価格が高止まりの状態を保っている一方で、各指標データを見る限りではマーケットの水面下においてやや気になる兆候も散見され始めている。

2019年の第2四半期には流通戸数が2012年当時に記録したピークを上回り、続く第3四半期には6,387戸まで急増していた。消費増税に伴う住宅取得支援策の拡充まで様子見していた検討者が購入に向かうことを見越して新たに所有物件を売り出す動きが強まり、新規流通戸数は1,252戸まで増加していたが、実際には価格高騰への警戒感から思いのほか取引量は上向かず、継続流通戸数として徐々に滞留しつつある。

1,252戸まで増加していたが、実際には価格高騰への警戒感から思いのほか取引量は上向かず、継続流通戸数として徐々に滞留しつつある。

新型コロナ禍による影響は、名古屋市における中古マンション市場にも一部でパニック的な動きをもたらしていた。特に、2020年の第1四半期においてはマーケットにおける動揺がデータにも顕著に表れており、中でも新規流通戸数や価格改定シェアは前期に比べて数値が急激に増大していた。

また、価格改定シェアの拡大傾向は一服したがその水準は依然として高く、価格トレンドを占う上では予断を許さない状況が続いている。