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2023.05.08

2022年 新築マンションPERの概況<中部圏>

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2022年の中部圏平均は22.66に低下、割高感の本格的な解消には至らず
マンションPERが最も低かった駅は「いりなか」の11.69、最も高かった駅は「高岳」の32.68

最も割高感が強い茶色の駅の多くが東山エリアに分布

2022年における新築マンションPER(=マンション価格が同じ駅勢圏のマンション賃料の何年分に相当するかを求めた値)の中部圏平均は22.66(対象35駅)と前年から0.35ポイント低下したが、集計対象期間(2005年以降)での最高値を記録した2021年に次いで高い水準にある。

新築マンションの平均価格(70m2換算)が前年比+2.2%の4,899万円、分譲マンションの平均賃料(70m2換算)は+4.6%の184,694円と揃って上昇し、今回は賃料の上昇率が上回ったことで賃料見合いでの割高感がやや弱まった。

各駅のマンションPERを色分けした路線図を見ると、名古屋市中心部の名駅周辺~東山エリアにかけてドットが密集しているのに対して、近郊~郊外エリアでは点在している程度である状況は概ね例年通りとなっている。

なお、これまで比較的割安感を保っていた「名鉄岐阜」や「桑名」などのサテライト都市においても近年では価格高騰に伴って暖色系の色味に変わってきており、今回もその色合いを一段と濃いものにシフトしている。

青色は今回、駅数・シェアともに概ね倍増しており、このうち名駅の東側エリアに位置する「国際センター」「庄内通」においては供給された新築物件よりも駅近マンションから比較的高い賃料事例が発生していたこと、東山エリアに位置する「いりなか」「総合リハビリセンター」においては軒並み高級レジデンス系から賃料事例が発生していたことを受けて、賃料見合いでの割安感が実際よりも強めに出てしまった可能性が高い。

一方、桃色や赤色は駅数・シェアともに僅かながら増大、今回から追加した茶色の駅数・シェアはいずれも昨年を下回る結果となったが、該当する駅の多くが東山エリアに分布している様子は概ね例年通りである。

PERランキングの第1位は「いりなか」、低層レジデンスからの高額賃料事例で実際以上に割安な評価

中部圏で最もマンションPERが低かった(割安感が強かった)駅は名古屋市営地下鉄鶴舞線「いりなか」の11.69で、賃料換算での回収期間は中部圏平均に比べて11年ほど短い計算となる。

分譲実績が確認された新築マンションは在阪の電鉄系デベロッパーが手掛けた1物件のみで、徒歩4分の好立地ながら複数路線利用可能な隣接駅の「八事」などに比べて手頃な価格設定が為されている。

一方、賃料事例に関しては前述の物件とは異なり、平均専有面積が100m2以上の低層レジデンスから発生していることから、賃料見合いでの割安感が実態以上に示された可能性は排除できない。

また、「浜松」「総合リハビリセンター」「庄内通」「堀田」も同じく、分譲実績が確認された新築マンションよりも立地やスペックの面で優位な物件から賃料事例が発生しており、実際よりも割安な評価が為されてランキング上位に登場したものと思われる。

それ以外の10駅に関しては新築価格と賃料事例の対象が同一物件、もしくは概ね同スペックであったことから、掲出したマンションPERを額面通りに受け取っても特に問題はないだろう。

一方、最もマンションPERが高かった(割高感が強かった)駅は名古屋市営地下鉄桜通線「高岳」の32.68で、中部圏平均と比較して回収には10年以上も余計にかかる計算となる。2021年には26.51で第8位にランクインしていたが、今回はマンションPERが大幅に上昇したことでトップに躍り出る結果となった。

月額賃料が前年から7.3%上昇していたものの、新築マンション価格は約2千万円も上振れたことで割高感が一気に強まった。当該駅勢圏の北側には高級住宅地として有名な白壁地区があり、駅至近に立地する物件よりも販売価格が高額に設定されるという独特の傾向が見られる。

2021年には徒歩4分に立地する2物件から新築マンションが供給されていたが、2022年にはそれらの分譲が無くなり白壁地区の物件が中心となったことで平均価格が大幅に押し上がった。

また、これも当該駅における特徴の一つだが、地元の富裕層が居住目的で購入する白壁地区の物件からはあまり賃料事例が発生してこない。それに対して駅至近の物件からは比較的多くの賃料事例が流通しているのだが、水準自体は前述の高級物件に比べて低く、マンションPERを算出する際には新築価格と賃料事例における物件スペックの乖離が他の駅に比べて生じやすくなっている。

PERが前年から最も低下した駅は「赤池」、物件バイアスによる価格低下&賃料上昇で"見かけ上"割安に

前年に比べて最も割安感が強まった駅は名古屋市営地下鉄鶴舞線「赤池」で、賃料換算での回収期間は10年近くも短くなった。新築マンション価格は前年から11%超も下げているが、これは今回対象となった新築マンションが前回に比べて駅遠立地にシフトしたことが大きく影響している。

一方、駅平均の月額賃料は22%以上も上昇しているが、これは今回新たに対象として加わった徒歩1分の物件から比較的高額な賃料事例が発生していたためである。

掲出した12駅のうち、新築マンション価格が大きく下落していたのは「覚王山」「春日井」のみで、分譲実績が確認された物件はいずれも最寄駅から遠方にシフトしており、相場価格自体が下がったわけではない。

また、「上前津」「名古屋」「国際センター」「尾張一宮」では月額賃料が前年から10%以上も上昇していたが、相場賃料自体が堅調に推移していることに加えて駅近物件やタワー・準タワー物件から高額な賃料事例が発生している影響もある。

特にタワー物件に関しては高層階に位置する住戸を最初から運用目的で購入して賃貸に出すケースが比較的多いため、これらが駅勢圏の平均賃料を押し上げるバイアスにもなっている。

一方、前年から最も割高感が強まった駅は名古屋市営地下鉄桜通線「丸の内」で、2021年に比べて約7年も余計にかかる状況となった。月額賃料自体に大きな動きは見られなかったが、新築マンションの平均価格は約1,900万円も上昇していた。

今回は徒歩2分に立地する25階建てのタワーマンションが新たに販売され始めており、特に最上階に位置する100m2以上の住戸が1億円台~2億円台で販売されていたことが平均価格の大幅上昇の原因となっている。

第2位の「高岳」も前述した通り、平均価格の水準が大きく押し上がっている。ランキングに登場する駅のうち、「川名」「名鉄岐阜」「新栄町」においては賃料事例が発生した物件の経年や相場調整などを背景に、月額賃料の大幅低下によって割高感が強まる結果となった。

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提供:東京カンテイ
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