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2021.07.29

Kantei eye マンション設備機器の設置率を過去10年の変化で追う

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四大設備

過去10 年間における最も設置率の高いマンション設備機器"四天王"
「宅配ロッカー」「エコジョーズ」「外部コンセント」「床暖房」床暖房は首都圏と近畿圏で設置が進む

●「宅配ロッカー」は全国的にほぼ100%の設置状況

「宅配ロッカー」は"定番設備"化しており、戸数規模が100 戸以上のマンションには完備されている状況である。

福岡県の2012 年は唯一の例外となっている。戸数規模50 戸以上100 戸未満でも首都圏の2014 年、中部圏の2013 年、福岡県の2012 年および2014 年から2015 年を除き設置率は100.0%である。

戸数規模50戸未満では首都圏において2017 年までは100.0%とはなっていないが(2016 年を除く)、それでもほぼ100%に近く、さらに2018 年以降は100.0%と近年完備されるようになっている。

中部圏では2017 年以降、福岡県では2016 年以降戸数規模に関係なく設置率は100.0%となっている。

●「エコジョーズ」年々設置率が高まる設備機器の代表格

「エコジョーズ」は、マンションによっては後からの取り付けが難しい給湯器設備のためか、4 圏域共通して設置率が高い設備機器である。4 圏域の中では近畿圏の設置率がやや高くなっている。

2011年には各圏域ともに概ね50%を下回る設置率となっていたが、2020年には80%前後の設置率となっていて、全体的に設置率が高いだけでなく、年々普及が進んでいる傾向を持っている点が注目される。

また近畿圏と中部圏では戸数規模が大きくなると設置率が低くなっている点も注目される。

●中部圏でより設置が進む傾向の「外部コンセント」

「外部コンセント」は生活利便設備として各圏域で一定水準の設置が進んだ存在である。特に中部圏では他の圏域と比べ高くなっている。

この設備はバルコニーや専用庭、ルーフバルコニーなどでよく使用され、マンションに戸建て住宅と同等の設備機器を積極的に設置する傾向が強い中部圏では、マンションに設置することも比較的も楽なことから、設置率が他の圏域と比べ高くなっていると考えられる。

●福岡県は設置率が低くなる「床暖房」首都圏では"標準装備"に近い

「床暖房」、近畿圏の設置率がすべて80%を超えていた。次に首都圏が高く、その次の中部圏は、50 戸未満と50 戸以上100 戸未満が2011 年から2018 年までほぼ同じ設置率だったのに対し、100 戸以上は、2016 年に90.0%に上昇した後、2017 年63.6%→2018 年71.4%→2019 年40.0%→2020 年90.0%と激しい増減が見られる。

福岡県の設置率が他の3 圏域より低いが、九州の気候が暖かいというイメージがあるものの実際は暖房が不要という訳ではないため、今後は設置が進んでいくと考えられる。

戸数規模の差

戸数規模によって設置率に差が生じる設備機器 スケールメリットが要因に
「キッズルーム」「ゲストルーム」「フロントサービス」「非接触型エントランスキー」規模が小さい方の設置率が高い設備も

●「キッズルーム」は戸数規模100 戸以上に設置が進む

「キッズルーム」では、全圏域において戸数規模が100 戸以上の設置が進みそれ以下の戸数規模ではほとんど設置されてない。特に50 戸未満ではほとんど設置されないレベルか0%の年も多くなっている。施設は利用者数の影響を受けるため、やはり大規模マンションには設置しやすい。

キッズルーム自体も一定の面積が必要であることも関係していると考えられる。表には掲載していないが、戸数規模「100 戸以上200 戸未満」、「200戸以上300 戸未満」、「300 戸以上」とさらに細かく見てみると、集計対象の2011 年から2020 年の10 年間の平均設置率では、100 戸以上200 戸未満が30.8%、200 戸以上300 戸未満が63.4%、300 戸以上が87.2%と、明らかにスケールメリットによると考えられる戸数規模と設置率の相関性が表れる。

●「ゲストルーム」も使用頻度と必要面積との兼ね合いで大規模に設置が進む

「ゲストルーム」も、「キッズルーム」と同様に設置に一定の面積を取ることと使う頻度(稼働率)を上げる必要があるため、小規模マンションにはなじまない性質があり、それが調査結果でもはっきりと表れている。

100 戸未満のマンションには圏域を問わず設置例は少なく、大規模マンションほど設置が進んでいる。福岡県ではまだ設置が遅れているが、2016 年以降は一定の設置率となっている推移している。

●「フロントサービス」は中部圏でより設置が進む傾向

「フロントサービス」は高級マンションに設置が進んでいるイメージであるが、首都圏では全体的に設置率が縮小する傾向なのに対し、中部圏での設置が進んでいる。また福岡県でも2017 年以降設置率が高くなっている。

●「非接触型エントランスキー」は戸数規模が小さいほど設置率が高くなる

「非接触型エントランスキー」は身につけているだけでオートロックなどの解除ができ、買い物などで両手が塞がった状態でエントランスを自由に行き来できる利便設備であるが、2012 年には4圏域で導入件数が0となっていたものの、その後に普及が進み、設置率は2016年には近畿圏と中部圏に置いて30%を超え2019年には50%を超えるに至っている。

首都圏と福岡県も同じような傾向で設置が進んでいるが、各圏域に共通しているのは戸数規模が小さいマンションでより設置率が高くなることである(2019年の中部圏は例外)。

圏域での差

圏域によって設置率に差が生じる4つの設備機器 意外な側面も
「ディスポーザー」は首都圏が先行、「ミストサウナ」は近畿圏が高い、「電気自動車コンセント」は中部圏が高い

●「ディスポーザー」は首都圏先行で設置が進んだが近年伸びが鈍化

首都圏の「ディスポーザー」設置率は、どの戸数規模でも他の3 圏域よりも高くなっている。戸数規模50 戸未満では10%台程度の設置率だが、2018 年には21.1%と10 年間での最高設置率に達している。

戸数規模50戸以上100 戸未満では設置率は概ね30%台に上昇し、2017 年には最高設置率の40.5%に達している。戸数規模100 戸以上になると概ね70%を超えてくる。2013 年には最高値の83.0%に達している。それ以降も70%台を維持していたが2020 年は69.2%に低下した。

●「ミストサウナ」は近畿圏における設置率が突出して高くなっている

「ミストサウナ」は近畿圏では戸数規模50戸未満では70%以上の設置率を誇る設備で、2018年には最高設置率の88.7%に達している。2019年以降は80%を下回り低下しているが、2013年から2018年まで6年連続で80%以上となっている。

近畿圏のみ戸数規模が大きくなると設置率が低下する傾向となっている。一方で首都圏では概ね30%台で推移しており、中部圏では概ね20%台で推移している。福岡県ではさらに低く、概ね10%未満で、100戸以上の大規模マンションには2020年までは設置がなかった。近畿圏以外の圏域では最高設置率が50%に達していない設備機器である。

●「電気自動車コンセント」は中部圏でより設置が進む傾向

中部圏は自動車とその関連企業が集積する圏域であるため、「電気自動車コンセント」の設置率が他の圏域より高くなる傾向となっている。

戸数規模50戸未満では20%台で推移しており、50戸以上100戸未満では30%台から50%台で推移し、100戸以上では、50%を超える年が大半を占めている。

その点で戸数規模が大きいほど使われる頻度が高くなるため、設置率と戸数規模が相関しているが、年々設置率が高まる状況にもない。

●「24時間ゴミ出し」は福岡県で設置率が低くなる

福岡県の調査対象771件のうち520件(67.4%)を有する福岡市と春日市などでは、夜間にごみ収集が行われている。そのため、福岡県は他の3圏域と比べて「24時間ゴミ出し」設備の設置率が極端に低い結果となった。

どの戸数規模でも2011年から0.0%が続き、2017年にようやく戸数規模50戸未満に2.3%、100戸以上に10.0%が現れたが、その後の設置率の上昇は鈍く、ゴミ出しに関連する施設に対するニーズは、行政サービスが充実しているがゆえに低く、設置率が向上する環境にないこともわかる。

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提供:東京カンテイ
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