直近10年間(2011年~2020年)において、中部圏で新築マンション供給戸数が最も多かった駅はJR東海道本線「浜松」の1,783戸で、ランキング上位10駅はいずれも1千戸を上回っている。
元々、一戸建て住宅を志向する土地柄から新築マンションの供給先は都市部に集中する傾向がある。前回調査(カンテイアイ70号)と同じく上位駅にランクインしたのは14駅で、多くは名古屋市東部に代表される文教地区や古くから住商混在地として発展してきたエリアに位置している。
一方、今回の調査では新たに登場した16駅のうち、「名古屋」や「丸の内」など名駅東側エリアに位置する駅が10駅存在していることからも、この10年間で新築マンション激戦地の舞台が名古屋市都心部へ急速に移ってきている様子は火を見るよりも明らかである。
【最寄駅からの所要時間】
上位駅のうち、名古屋市中心部に位置する駅では建て替えによるタワーマンションの供給などで駅近立地の傾向が強く見られた。前回調査でもランキング上位に登場していた駅については、一部の駅近・駅遠シフトを除き、全体としての傾向は変わらなかった。
また、今回の調査で新たにランクインした16駅のうち、「徒歩3分以内」が最大シェアとなったのは4駅を数え、「藤枝」や「浄水」では大規模再開発や区画整理事業が行われていた。
【戸数規模】
前回調査でランキング上位に登場していた駅を見てみると、「茶屋ヶ坂」では総戸数553戸の「メガシティテラス」の登場によって大規模化が、「東別院」では栄・伏見エリアといった名古屋市中心部への良好なアクセス性から投資向けのワンルームマンションが増えたことによって小規模化が顕著となっている。
また、今回の調査で新たにランクインした16駅のうち、8駅で「50戸以上100戸未満」が最大シェアとなっている。
【間取りタイプ】
ランキング1位の「浜松」における最大シェアは「3LDK」の59.5%で、シェア構成を見る限りでは完全にファミリー向けの間取りタイプが主流となっている。ランキング上位駅における戸数シェア分布を見ると、ファミリー向けが主流の駅と単身者向けが主流の駅に大別することができる。
前回調査でもランキング上位に登場していた駅の中で、最大シェアの間取りタイプに変化があったのは「久屋大通」と「東別院」の2駅のみで、それ以外の12駅においては「3LDK」のシェアをさらに拡大させているケースが多く見られた。今回の調査で新たにランクインした16駅を見てみると、5駅で「1R・1K」が最大シェアとなっている。
前回調査時に比べて当該ケースの駅は増加しており、立地適性を踏まえたワンルームマンション開発がこの10年間で盛んに行われてきたことを物語っている。
【価格帯】
ランキング第1位の「浜松」における最大シェアは「3000万円台」の42.6%で、上位30駅のうち13駅で「3000万円台」が最大シェアとなっていた。一方、「名古屋」を含む9駅では「2000万円未満」が最大シェアであったことから、価格帯の観点からもエリアの傾向が二分化している様子が窺える。中部圏平均では「3000万円台」のシェアが38.1%で最も大きく、その前後の「2000万円台」「4000万円台」との合計シェアは概ね80%を占めている。
前回調査では、「2000万円台」と「3000万円台」のシェアを合わせれば80%に達していたわけだが、この10年間での価格帯のボリュームゾーンは幾分か上昇している。
前回調査に続いてランクインしている「金山」と「東別院」では最大シェアが低価格帯にシフトしているが、これは供給された住戸タイプの主流がワンルームマンションに変化したことに起因するものと捉えることが自然であり、相場自体が安価になったわけではない。
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