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#リフォーム

2023.07.06

いまトレンドの【建具】はこれ!−マンション設備・建材(2)

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建具は部屋の印象を大きく左右する建材と言っても過言ではありません。経年劣化や立て付けの不具合などをはじめ、空間のイメージチェンジ、バリアフリー化といった、さまざまな理由・背景から建具を新調したいと考える人もいるでしょう。

野村不動産パートナーズのリフォーム部門に在籍する野口健が、いまトレンドのマンション設備・建材としての「建具」のリフォームについて解説します。近年注目されている建具やリフォームの際の注意点、費用の考え方などについてぜひチェックしてみてください。

建具とはどの部分?

マンションにおける建具とは、各部屋の出入り口のドアのことを指します。3LDKのマンションであれば、各居室の出入り口、トイレや洗面などのドアが建具にあたります。なお、下駄箱やシステム収納の扉は建具には含まれません。一般的には枠のあるものを建具と呼んで区別しています。

建具の枠の太さは2.5~3cmほどが一般的ですがメーカーによっては枠の太さが5~6cmほどの商品もあり、枠の太さで建具の存在をより強調することで高級感を演出できます。

建具の枠が太いほど重厚感と高級感が出る(画像提供:comfort)

また、建具には鋼製建具と木製建具があります。字の通り鋼製建具とは金属製の建具のこと、木製建具とは木でつくられた建具のことです。内装に使用される建具のほとんどは木製建具になります。

建具のリフォームにおけるニーズ

建具をリフォームしたいと考える主な理由は「故障や劣化」「使い勝手」「デザイン性」の3つである場合が多いです。

生活する中でドアに穴があいてしまったり、建て付けが悪くなり開閉しづらくなることもあります。特にガラスが入った重いドアなどは自重により吊っていない側が下がりやすくなる傾向があります。また、重みのあるドアは高齢者や小さな子どものいる家庭には不向きなため、バリアフリー化に伴い開閉しやすい軽量のドアに変えるケースも多いです。その際に開き戸を引き戸にすることも可能ですが、引き戸の場合は扉を収納しておく戸袋が必要となるため工事が大掛かりになり、その分のコストもかかります。

実用的な面はさておき、フルリフォームを行うときにドアのデザインを一新したいという人もいます。その場合は空間の雰囲気に合わせて建具も変更します。時代と共にモダンなデザインの建具も数多く登場しています。

寝室に設置したガラスの建具。開放感を演出でき、空間を広く感じられることが魅力(画像提供:comfort)

注目されているトレンドの建具

近年、リフォーム需要の高い建具のひとつがウォークインクローゼットなどの収納に設置する建具です。クローゼットの中が見えるガラス張りのタイプが特に人気で、最近は国内でも製造するメーカーが増えてきました。

本来、扉はクローゼットの中を隠すものですが、ガラス張りにすることであえて中を見えるようにします。 また、ガラスは少し黒みがかった色にして、クローゼット内をダウンライトなどで照らすと、よりおしゃれな雰囲気を演出することができます。

ウォークインクローゼットは主寝室の近くに設ける場合が多いため、プライベートな空間で自分の好きな衣類やコレクションを眺めて楽しめることも人気の理由のひとつかもしれません。

スマートフレーム引戸「AirView(エアビュー)」。圧迫感を感じにくいガラスの引き戸。クローゼットの中を見渡すことができ、開放感がある(画像提供:パナソニック)

建具の枠は太くなるほど高級感があるとお伝えしましたが、その逆のケースとして、枠自体をなくしたハイドアタイプの建具も注目されています。枠がないため天井と扉が接する形になり、空間を分断せずに開放感のある空間演出が可能になります。

天井いっぱいまで高さがあるハイドア。枠がないことで、空間に開放感をプラス(画像提供/パナソニック)
引き戸を戸袋の中に収納できるので空間を有効利用できる。仕切り感が少なく、空間に繋がりを感じられるのも魅力(画像提供:パナソニック)

建具に個性を出したいと考える人には、DIYで塗装ができるドアも人気です。メーカーが指定する塗料、もしくは塗装に適した市販の塗料を使い、ドアを好きな色に塗ることにより、住まいにオリジナリティを演出することができます。

自分好みの色に塗装ができるドア。家族と一緒にDIYを楽しみ、思い入れの深いドアが完成する(画像提供:パナソニック)

完全にオーダーメイドで建具を取り付けることも可能です。例えば、表面に本革を張ったドアや、蝶番を内外どちらからも見えないようにつくられたドアなど、好みに合わせた建具をリフォームの際に取り入れる人もいます。既製品にはないデザインや形を求めるお客様は、オーダーメイド建具を選択しています。

好みや予算に合わせてオリジナルのドアを新たに設けるという選択肢もある。実用性、デザイン性ともに高い満足感を得られるのはフルオーダーならでは(画像提供:comfort)

建具をリフォームする際の注意点

マンションの場合、玄関ドアや窓などは共用部分に含まれているため、住人が勝手にリフォームをして手を加えることは基本的に禁止されています。しかし、内装部分の建具に関してはリフォームの制限は設けられていません。

ただし、建具の重みには注意が必要です。先に紹介したようなウォークインクローゼットに設置するガラスの建具などはかなりの重量があります。壁や枠が重みに耐えられない可能性があるため補強工事が必要になることも。実際に手を加えてみて初めて「重みがあるため設置できなかった」という失敗談も存在するため、事前にリフォーム会社とよく相談・確認することをおすすめします。

また、リフォームでドアの開き方を変えた際に裏側にインターホンや電気のスイッチがあり、不便になってしまったというケースもあります。建具を開いたときに接する部分にも注意し、インターホンやスイッチが隠れないように施工したほうが良いでしょう。

リフォームをする上で色や素材の統一感を保つことも大切です。枠、扉、巾木、床の色と素材感は合わせ、空間がチグハグな印象にならないようにしましょう。枠や巾木を変更する場合、接しているクロスの張り替えが必要となる場合があります。建具のリフォームを計画する際は、建具だけでなく付帯する部分の工事費用も発生することを視野に入れて予算を考えることをおすすめします。

扉や巾木、床材等の色味や素材を揃えることで空間に統一感が生まれる(画像提供:comfort)

長く使える建具なのかも含め、リフォームを検討することが大切

建具の価格は幅広く、1つ10~15万円ほどで購入できるものもあれば、完全オーダーメイドになると30万円以上になるものもあります。さらに、クロスの張り替えを行ったり、新たに戸袋部分を新設したりするとなれば、費用の合計が100万円以上になることも珍しくありません。

ドアだけのリフォームと考えていても、実はその周りに付随する部分の変更や新設が必要になるケースが大半です。また、客間とリビングを仕切る扉を設けたけれど、来客がないときはほぼ開けっ放しのため必要なかった、使用したのは子どもが小さいときだけだった、といった声もお客様から聞いたことがあります。将来のこともイメージしながら、計画段階でよくリフォーム会社と相談して、快適な生活を実現するためのリフォームを検討しましょう。

野口健(のぐち・けん)

野口健(のぐち・けん)

野村不動産パートナーズ株式会社
建築・リフォーム業界に携わり約20年、マンションのリフォームを数多く手がけ、リフォーム現場の最前線で豊富な経験と広い知見をもとにリーダーとして活躍中。
一級建築施工管理技士、一級管工事施工管理技士の資格を保有。

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