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#リフォーム

2023.10.31

いまトレンドの【壁材】はこれ!−マンション設備・建材(3)

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壁は住まいの中でも面積が広い部位であるため、部屋の印象を大きく左右します。壁紙を変更して部屋にアクセントを付けたり、部屋の中に配置する家具と調和させて空間全体の印象をアップさせたいと考える人もいるでしょう。

野村不動産パートナーズのリフォーム部門に在籍する小島隆人が、マンションの建材の一つである「壁材」について、近年注目されている壁材やリフォームの際の注意点、費用の考え方などについて解説します。

リフォームできる「壁」はどこまで?

分譲マンションには、共用部分と専有部分があります。共用部分は、マンションの住人全員の共有財産となる部分です。例えば、屋上やエントランスのほか、ベランダや玄関ドアの外側、住人や来客が自由にアクセスできる廊下は共用部分です。共用部分は、勝手にリフォームすることができません。

マンションの「壁」には、大きく分けて「外壁」と「内壁」があり、建物の外と内とを仕切る壁を「外壁」、住戸内を部屋に仕切る壁を「内壁」といいます。マンションの外壁は共用部分であり、勝手にリフォームできませんが、各住戸の内側にある内壁は基本的にオーナーの判断でリフォームすることができます。(構造体・パイプスペースの壁は共用部分のためリフォーム不可)

専有部分の内壁は、基本的にリフォームできる(画像:野村不動産パートナーズ)

注目されているトレンドの壁材

壁の表面の建材や素材のことを壁材といいますが、特に内壁の見た目を変える内装壁材においては、壁紙(クロス)、珪藻土、漆喰、塗装、タイル、木材などが使われます。お手入れのしやすさを考慮して、キッチンパネルを汚れやすい部分に設置するケースもあります。ひとつの例として、小さいお子さんが落書きをしてもすぐに消せるように、リビングにキッチンパネルを使用したことがありました。

壁紙(クロス)にはさまざまな種類や品質のものがある(画像提供:野村不動産パートナーズ)
木材や珪藻土、漆喰などの自然素材にこだわりたい人も(画像提供:野村不動産パートナーズ)
タイルなどはアクセントとして壁の一部に使用する方法も(画像提供:野村不動産パートナーズ)

壁紙(クロス)は種類が多く、さまざまなデザインがあるので、住む人の好みに合わせて選べる楽しさがあります。また、比較的安価なものからデザインや品質、性能にこだわった高価格のものまで幅があるため、予算によって選びやすいことも魅力です。近年のトレンドとしては、汚れ防止や耐久性の高いもの、抗ウイルス・抗アレルギーのもの、消臭効果のあるものなど、多機能な壁紙が出てきています。

化粧材として漆喰や木材などの自然素材を希望されるお客様もいます。ですが費用が高額になる傾向があるため、実際にはマンションのリフォームで採用されることは少ないかもしれません。漆喰や木材をイメージした壁紙(クロス)もあるため、費用対効果を考えて壁紙(クロス)に変更されることもあります。

ほかに、お客様の希望で部分的にタイルや石材を張ったり、野村不動産パートナーズではLIXILから出ている「エコカラット」を壁材として部分的に使う提案をしたりすることもあります。エコカラットは、表面の色と素材感が空間のアクセントになること、また調湿効果があり快適な空間に保つことができるなどの理由からお客様にも好評です。

エコカラットは素材感があってアクセントになり、調湿効果も得られる(画像:野村不動産パートナーズ)

またホーローパネルという壁材もあります。メモや写真をマグネットで貼っておけたり、清掃性に優れているので、とくに家族の多い家庭などでは、便利に使える内壁になるでしょう。

キッチンの壁をリフォームして、壁に磁石がつけられるようにした(画像:野村不動産パートナーズ)

コンクリート打ちっぱなしなどのラフな質感をお好みのお客様には、構造的に外壁と兼用しているコンクリート内壁の表面に張ってある壁紙(クロス)を取り払い、コンクリートを剥き出しにして使う方法もあります。

ただし、壁紙や断熱材を取り払って躯体を露わにすると、断熱などの住宅性能が下がってしまう場合があります。それを避けるには、コンクリート打ち放しを模した壁紙(クロス)を張った方が良いという判断もあるでしょう。

もちろん本物の質感、本格的な仕上がりには及びませんが、化粧材としての壁紙は、住宅性能に影響を及ぼしにくいという以外に、コストが低く抑えられるというメリットもあります。石やタイルなどの使用を検討する際にも同じようなことが言えます。

壁のリフォームコストは、広さや壁材などによって異なるため、一概には言えません。例として中古マンション購入後、引っ越し前に3LDK・60m2の住戸内にある全ての内壁の壁紙を張り替えてクリーニングした場合、施工費を含めた費用の目安は60万円~70万円程度です。

壁に関係するリフォームにおけるニーズ

壁に関係するリフォームにおいて、多くは中古マンションの購入時にリフォームをするケースや、間取り変更をはじめとする他のリフォームを行う際に内壁・壁材の変更も必要になることなどが多いでしょう。壁は工事の内容によって作業範囲も広くなる場合があり、入居前に工事を済ませるか、または仮住まいをしなければならないこともあります。

壁材のリフォームの一例として、広い範囲を占める壁の色や素材が均一で物足りなく感じる場合は、リフォームする際に一部分だけ色や素材を変えてアクセントにすることがあります。お客様のこだわりで色を決められることもありますし、当社のコーディネーターがおすすめの色や素材を提案することもありますが、この際のポイントは少し思い切った色にしてみることです。他の部位とは全く異なる色や素材にすることで「アクセント」としての役割を果たします。

1面の壁色を淡いブルーにしてアクセントをつけた(画像:野村不動産パートナーズ)

壁の表面、いわゆる「化粧材」以外のリフォームとしては、既存の内壁に異なる素材をプラスすることも可能です。たとえば、ワークスペースを設ける場合、壁の一部にガラスブロックをはめ込んで隣接する部屋の光を採り入れたり、開閉できる窓を設置して通風を確保したり、家族の気配を感じられるようにするなど、閉鎖的にならないための工夫があります。

他にも、既存の内壁に棚を埋め込んで、収納を増やすリフォームもあります。

壁の上部をガラスブロックにすることで、光を採りこみ明るくなる(画像提供:野村不動産パートナーズ)
新設したワークスペースの壁に窓を設け、隣接するLDKにいる家族の気配が感じられるようにした(画像:野村不動産パートナーズ)

子ども部屋の壁をリフォームする場合は、子ども自身に壁紙などを選んでもらうと楽しいでしょう。リフォームの中でも、壁紙は張り替えやすく、部屋の雰囲気はガラリと変えることが可能です。子どもの意見を採用すると自分の選んだ壁紙に愛着がわいて、部屋を大事に使うかも知れません。

壁材をリフォームする際の注意点

専有部の壁面ならば基本的に壁材のリフォームができますが、場所によっては使えない壁材もあります。例えばキッチンのコンロ横、火を使う場所の周辺に燃えやすい壁材は使用することができません。防火の観点から建築基準法で定められている場合もありますし、リフォーム会社では常識的に燃えやすい素材は使わず、燃えにくい素材を提案しています。

壁材のリフォームにあたって、家具が搬入されていない状態で部屋の中を見ると殺風景に感じられて、壁にさまざまな色を入れたくなるかも知れません。けれども、実際に生活が始まると、家具が搬入され、さまざまな生活用品が置かれて色も増えます。そのため、自分が持っている家具、または購入予定の家具を配置した状態をイメージして壁材や壁色を決めると良いでしょう。

家具の色や形にこだわりがある場合は、壁はシンプルなものにした方が家具の見栄えが良くなり、おしゃれな空間になりやすいです。

壁材をシンプルにすると、ダイニングのライトやキッチンの天板が映える(画像提供:野村不動産パートナーズ)

前述のように一部の色を変えてアクセントとする方法がありますが、壁材の色をあまり変えずにアクセントをつけたい場合には、素材を変えることも有効です。素材の違いでアクセントをつけると上品な雰囲気を演出できます。

テレビボードの一部に石材を使用し、空間のアクセントにした(画像提供:野村不動産パートナーズ)

生活するイメージを膨らませて内壁のリフォームを楽しもう

内壁をリフォームするにあたっては、空間全体をどんな雰囲気に演出したいのかをイメージしながら、どの壁材にするのか、どのような色にするのかを決めるといいでしょう。内壁は面積が広い分、部屋全体の印象を変えやすく、遊び心を出しやすい場所でもあります。家族で楽しみながら壁材のリフォームを検討していただければと思います。

小島隆人(こじま・たかと)

小島隆人(こじま・たかと)

壁面収納を中心とした設計業務、中古住宅仕入・リフォーム再販業務を経て、野村不動産グループのリフォーム部門に10年以上携わる。
都内での経験ののち、現、神奈川・町田エリアのマンションおよび野村不動産グループリレーション責任者として活躍中。電気電子工学科・建築学科の学士を保有。

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