不動産投資コラム

与党税制改正大綱に盛り込まれた資産課税を中心とする改正案の主な内容は以下のとおり。

【相続税・贈与税】《「与党税制改正大綱」)P39、49、39》

1.事業承継税制の見直し【拡充】
(1)非上場株式等に係る贈与税の納税猶予の特例制度における役員就任要件について、贈与の直前において(現行:贈与の日まで引き続き3年以上)特例認定贈与承継会社の役員等であることとされる。

(2)個人の事業用資産に係る贈与税の納税猶予制度における事業従事要件について、贈与の直前において(現行:贈与の日まで引き続き3年以上)特定事業用資産に係る事業に従事していたこととされる。

(注)上記(1)及び(2)の改正は、令和7年1月1日以後に贈与により取得する財産に係る贈与税について適用される。

2.相続税の物納制度の見直し【拡充】
相続税の物納制度における物納許可限度額等について、物納許可限度額の計算の基礎となる延納年数は納期限等における申請者の平均余命の年数を上限とする等の見直しが行われる。

3.直系尊属から結婚・子育て資金の一括贈与を受けた場合の贈与税の非課税措置【延長】
その適用期限が令和9年3月31日まで2年延長される。

【個人所得課税】《「与党税制改正大綱」P28、20~22》

1.住宅借入金等を有する場合の所得税額の特別控除【令和6年度特例の延長】
(1)個人で、年齢40歳未満で配偶者を有する者、年齢40歳以上で年齢40歳未満の配偶者を有する者又は年齢19歳未満の扶養親族を有する者が、認定住宅等の新築もしくは認定住宅等で建築後使用されたことのないものの取得又は買取再販認定住宅等の取得(「認定住宅等の新築等」)をし、令和7年1月1日から同年12月31日までの間に居住の用に供した場合は、住宅借入金等の年末残高の限度額(借入限度額)を次の通りとして本特例の適用を受けることができる。

①認定住宅: 5,000万円
②ZEH水準省エネ住宅:4,500 万円
③省エネ基準適合住宅: 4,000万円

(2)認定住宅等の新築又は認定住宅等で建築後使用されたことのないものの取得に係る床面積要件の緩和措置について、令和7年12月31日以前に建築確認を受けた家屋も適用を受けることができることとされる。

(注1)「認定住宅等」とは、認定住宅、ZEH水準省エネ住宅及び省エネ基準適合住宅をいい、「認定住宅」とは認定長期優良住宅及び認定低炭素住宅をいう。
(注2)「買取再販認定住宅等」とは、認定住宅等である既存住宅のうち宅地建物取引業者により一定の増改築等が行われたものをいう。

2.所得税の基礎控除・給与所得控除等【拡充】
(1)基礎控除について、合計所得金額が2,350万円以下である個人の控除額が現行から10万円引き上げられる。

(2)給与所得控除について、55万円の最低保障額が65万円に引き上げられる。

(3)居住者が生計をーにする年齢19歳以上23歳未満の親族等(その居住者の配偶者及び青色事業専従者等を除き、合計所得金額が123万円以下であるものに限る。)で控除対象扶養親族に該当しないものを有する場合には、その居住者のその年分の総所得金額等から一定額(親族等の合計所得金額に応じて63万円~3万円)が控除される。

(4)同一生計配偶者及び扶養親族の合計所得金額要件を58万円以下(現行:48万円以下)に引き上げられる。

(注1)上記(1)~(4)の改正は、令和7年分以後の所得税について適用される。
(注2)上記(2)~(4)の改正は、令和8年分以後の個人住民税についても適用される。ただし個人住民税の場合、「合計所得金額」と「総所得金額等」は前年の額、(3)の控除額は親族等の合計所得金額に応じて45万円~3万円とされる。

【法人課税】《「与党税制改正大綱」P53、96》

1.中小企業者等の法人税の軽減税率の特例(税率15%)【見直し】
次の見直しを行った上、適用期限が2年延長され、令和9年3月31日までに開始する事業年度につき適用される。

(1)所得金額が年10億円を超える事業年度につき、所得金額のうち年800万円以下の金額に係る税率が17%とされる。

(2)適用対象法人の範囲から通算法人(グループ通算制度の対象となる通算親法人・通算子法人をいう)が除外される。

2.防衛特別法人税【創設】
令和8年4月1日以後開始の事業年度から、法人税が課される法人は、課税標準法人税額(基準法人税額(所得税額控除・外国税額控除等の適用前法人税額)-基礎控除額500万円)に4%の税率を乗じて計算した防衛特別法人税が課される。

(注)税制改正法案の国会審議の結果により、令和7年度税制が上記と違う内容になる場合がありますので留意願います。

税理士法人タクトコンサルティング

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