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2016年住宅にまつわる税制改正案

2016年01月08日

2015年末に与党の2016年度税制改正大綱が発表されました。軽減税率の対象を「酒類及び外食を除く飲食料品」と「新聞」に落ち着くまで大変注目を集めましたが、住宅に関係する制度案も出ています。2016年度にマイホームの購入や、実家の対処を考えている人にも関係がありそうです。

空き家を売却した際の譲渡所得の特別控除

2015年度の税制改正では空き家に対する措置がありました。通常、土地の上に建物が建っている場合、固定資産税の評価額を6分の1とみなされる特例がありますが、1年以上空き家状態が続いている場合などでは、この特例措置の対象外とするというものです。

実家を相続して対処していない場合など、土地部分の固定資産税が6倍になってしまうという報道を気にされた方も多いかもしれません。

2016年度の税制改正大綱にも空き家に関する措置が盛り込まれています。マイホームの売却について利益が出た場合、3,000万円までは課税しない「居住用財産を譲渡した場合の3,000万円の特別控除の特例」というものがあります。この特例を空き家の売却にも適用することができるようにする内容です。

相続した実家など自分が住むこともなく売却する場合には、所有年数に応じて利益の約40%や約20%などの納税義務が生じます。このことから売却を保留にしているケースもあるかもしれません。ですが、特例を利用できる期間に売却をすれば税負担を抑えることができます。

相続した空き家の売却で3,000万円の特別控除の特例を受けるためにはいくつか条件があります。代表的な条件として

・売却額が1億円を超えないこと
・昭和56年5月31日以前に建築された家屋(区分所有建築物を除く)であること(旧耐震基準の一戸建て物件ということになります)
・家屋を除去して土地を売却するか、家屋に必要な耐震改修を施して売却すること
・相続の開始の直前において当該被相続人以外に居住をしていた者がいなかったもの
・平成28年4月1日から平成31年12月31日までに売却するケースであること
・相続から3年後の年末までに行われる売却であること
・売却するまでに事業や貸付け、他人が住むなどの用途に使っていない物件であること

この3年以内に相続したり、旧耐震基準の実家を抱えている人などは、2016年4月から2019年中に、耐震リフォームを施すか、更地に戻すなどして売却することを検討するきっかけになるかもしれません。

三世代同居リフォームに関する減税

三世代が同居するために施すリフォームについても、所得税の減税が受けられることが予定されています。

三世代で同居するために台所/浴室/トイレ又は玄関、のいずれか2か所以上をリフォームする場合、最大25万円の所得税の減税を受けることができます。ローンを組む場合は年末ローン残高(上限250万円)の2%が5年間、現金で支払う場合は標準的な工事費用相当額(上限250万円)の10%が所得税から減額されます。

リフォームをローンで実施する場合には、その他の改修も含めて年末ローン残高1,000万円を限度に所得税の減税が受けられます。

例えば、浴室と玄関のリフォームで250万円以上、その他のリフォームで750万円以上ローンを借りた場合は、最大62.5万円の減税を受けることができます(浴室と玄関は年末ローン残高の2%×5年間、その他のリフォームは年末ローン残高の1%×5年間)。

既にある実家などをリフォームして住宅ローン減税を受けるか、新たに物件を購入して通常の住宅ローン減税を受けるかを選択することになりそうです。

現行制度の延長や拡大

その他にも現在適用されている制度の延長も含まれています。

特例内容延長期間
特定のマイホームを買いかえた場合の課税の特例 2015年12月31日→2017年12月31日
マイホーム買いかえ時の譲渡損失の繰越控除 2015年12月31日→2017年12月
耐震改修を行った住宅に関する固定資産税軽減措置 2015年12月31日→2018年3月31日
バリアフリーリフォームを行った住宅に関する固定資産税軽減措置 2016年3月31日→2018年3月31日
省エネリフォームを行った住宅に関する固定資産税軽減措 2016年3月31日→2018年3月31日
新築住宅に係る固定資産税の税額の減額措置 2016年3月31日→2018年3月31日

特定のマイホームを買いかえた場合の課税の特例
特定のマイホームを売って利益が出た場合、例えば新しく買いかえた物件を売却した時に課税される等、課税のタイミングを繰り延べられる特例。

マイホーム買いかえ時の譲渡損失の繰越控
マイホームを買いかえて損失が出た場合、その他の所得と損益通算できる特例。その年に控除しきれなかった損失は以後3年以内であれば繰り越して控除を受けることができる。

耐震改修を行った住宅に関する固定資産税軽減措置
耐震改修工事を行った物件について、翌年の固定資産税を2分の1に減額する特例。

バリアフリーリフォームを行った住宅に関する固定資産税軽減措置
バリアフリー改修工事を行った物件について、翌年の固定資産税を3分の1に減額する特例。

省エネリフォームを行った住宅に関する固定資産税軽減措置
省エネ改修工事を行った物件について、翌年の固定資産税を3分の1に減額する特例。

新築住宅に係る固定資産税の税額の減額措置
新たに固定資産税が課税される年度から3年度分(3階建て以上の耐火・準耐火建築物は5年度分)、建物部分の固定資産税が2分の1に減額される特例。認定長期優良住宅の場合は新たに固定資産税が課税される年度から5年度分(3階建て以上の耐火・準耐火建築物は7年度分)減額される制度があり、そちらも2年延長。

近年、同居をするかどうか、相続した実家をどう処分するかに悩む人が増えています。今回の税制改正大綱ではそうしたシーンで忘れず申請したい特例措置が多く予定されています。今後、国会審議を経て3月末までに正式決定する見込みです。経過を見守りつつ、対応できる場合には、制度を活かして早めに対応できると有利かもしれません。

執筆者:風呂内亜矢(ふろうち あや)

ファイナンシャルプランナー
26歳・独身のとき、貯金80万円でマンションを衝動買いしたことをきっかけにお金の勉強と貯金を始める。現在は自宅を含め夫婦で4つの物件を保有し賃料収入を得ている。テレビ番組のレギュラー出演など、各種メディアにてお金に関する情報を精力的に発信している。1級ファイナンシャル・プランニング技能士、宅地建物取引士。

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