2017 年の中部圏平均は 21.66 で 5 年連続の上昇、割高感が緩やかに増す
マンション PER が最も低かった駅は「東岡崎」の 16.17、最も高かった駅は「桑名」の 29.59
2017年における新築マンション PER(=マンション価格が同じ駅勢圏のマンション賃料の何年分に相当するかを求めた値)の中部圏平均は 21.66(対象45駅)で、前年から1ポイントほど上昇した。
新築マンションの平均価格(70m2換算)が前年比+5.2%の 4,053 万円と上昇したのに対して、分譲マンションの平均賃料(70m2換算)は-0.2%の 156,774 円とやや下げた。マンション PER の水準自体は首都圏(24.49)や近畿圏(22.21)ほどではないが、5 年連続で上昇しており、価格上昇に伴って賃料見合いでの割高感は強まりつつあることに違いはない。
各駅のマンション PER を色分けした路線図を見ると、赤色や桃色で示された駅が名古屋市営地下鉄名城線の内側~東側にかけてのエリアに多く分布しており、他にも名古屋市近郊や三重県に位置し JR 名古屋駅まで電車でダイレクトアクセスが可能なエリアにおいてもこれらの色で示された駅を確認することができる。
賃料見合いで強い割安感を示す青色(18 未満)や緑色(18 以上 20 未満)の合計シェアは、2015 年までは全体の過半数を占め、最も大きいシェアの区分でもあり続けていたのだが、2017 年時点においては全体の 4 割を下回るまで縮小している。
主だった分布エリアは、都心エリアや東山エリアからやや外れた名古屋市中心部、近郊~郊外エリアに散見される程度である。一方、中部圏平均のマンション PER を上回っている桃色(22 以上 24 未満)とさらに強い割高感を示す赤色(24 以上)の合計シェアは、概ね過半数を占めている。
分布エリアは前述の通りであり、近年では高額マンションの供給先が東山エリアから JR 名古屋駅方面にも及んでいる様子がはっきりと表ている。
中部圏で最もマンションPERが低かった(割安感が強かった)駅は名鉄名古屋本線「東岡崎」の16.17で、賃料換算では回収期間が中部圏平均に比べて5 年以上も短かった。
「東岡崎」は郊外エリアに位置しているために、 月額賃料は中部圏平均の156,774円を下回る水準となっているのだが、分譲されていた新築マンションは地場デベロッパーによる徒歩 10 分以遠の物件であったことから、賃料見合いでも割安な価格に抑えられていた。
一戸建て住宅へのニーズが高いこれらのエリアでは、価格訴求力が直接的に売れ行きを左右する。そのため、「岡崎」や「高横須賀」など同じように郊外エリアに位置する駅においては、賃料見合いや絶対的な価格水準の両面で買いやすさを前面に押し出すことが必要とされている。
また、特定の物件から高額な賃料事例が発生したことでマンションPERが低い値となっている駅も含まれており、最たる例としては「伏見」が挙げられる。
一方、マンションPERが高かった(割高感が強かった)駅はJR 関西本線「桑名」の29.59 で、賃料換算で中部圏平均と比較して回収までに8年以上も余計にかかる計算となる。月額賃料が中部圏平均に比べて4万円以上も下回っているのだが、分譲されていた新築マンションが駅近物件で価格が概ね中部圏平均と同程度であったことも影響し、賃料見合いで最も割高な駅としてランクインした。
同じようなケースは「尾張一宮」や「三河安城」などにも当てはまり、交通利便性や住宅地としてのブランドが相対的に高くないために低い賃料水準であるにもかかわらず、駅勢圏における一戸建て住宅のグロス価格に合わせた値付けをした結果、ランキングに登場することとなったものと考えられる。
その他、良好な交通利便性やブランド住宅地であるが故に新築マンション価格が上振れやすい都心エリアや東山エリアに位置する駅も多く登場してきている。
分譲マンションの新築価格が、同じ駅勢圏の分譲マンション賃料の何年分に相当するかを求めた値。
マンション PER = マンション価格 ÷ (月額賃料 × 12)
一般に、マンションPERが低ければ賃料見合いでは割安で買いやすく、反対に高ければ割高で買いにくいことを 意味する。
なお、改訂版ではデータの均質化を図るために、分譲マンションの募集賃料も"新築相当"(=直近 3 年間に発生した築3年未満の事例を対象)とし、対象も最寄駅からの所要時間が徒歩20分以内の物件に改めた
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