2017 年の首都圏平均は横ばいの 24.49、価格・賃料ともに上昇で
マンション PER が最も低かった駅は「柏」の 14.97、最も高かった駅は「青山一丁目」の 45.26
2017 年における新築マンション PER(=マンション価格が同じ駅勢圏のマンション賃料の何年分に相当するかを求めた値)の首都圏平均は 24.49(対象 212 駅)と前年から横ばいで、2012 年以降続いてきた上昇傾向は一服することとなった。
新築マンションの平均価格(70m2換算)は前年比+2.9%の6,684 万円と上昇し、分譲マンションの平均賃料(70m2換算)も+2.5%の224,905円と相応に水準が高まったことから、回収に要する期間に大きな変化は見られなかった。
各駅のマンション PER を色分けした路線図を見ると、賃料見合いで新築マンション価格が比較的割高であることを示す赤色や桃色といった駅が都心部のみならず、近郊~郊外エリアに渡って広くかつ多く分布しているのは一目瞭然で、エリアに関係なく賃料見合いで割高感が増している様子が見て取れる。
賃料見合いで強い割安感を示す青色(18 未満)や緑色(18 以上 20 未満)の駅は、昨今では強気の価格設定によって基本的には郊外エリアに点在する程度まで数を減らしている。
一方、比較的強い割高感を示す桃色(22 以上 24 未満)や首都圏平均よりも総じてマンションPERが高い赤色(24以上)の合計シェアは、全体の約3/4を占めている。
分布エリアを見ると、従来のように JR 山手線の内側や人気住宅地を有する城南~城西エリアだけに留まらず、ミニバブル期においても比較的買いやすさを保っていた湾岸エリアや城東エリア、横浜エリアやさいたまエリアなど広範囲に拡がっている様子が確認できる。
大手デベロッパーの寡占化が進む中、交通利便性の高さを背景に賃料見合いで強気に値付けされた新築マンションの供給が増えたことなどから、買いやすさが全域的に低減したものと推察される。
首都圏で最もマンションPERが低かった(割安感が強かった)駅はJR常磐線「柏」の14.97 で、賃料換算では回収期間が首都圏平均に比べて約9.5年も短かった。
「柏」ではここ3年間、新築マンション価格は3,700万円~4,000万円で概ね安定しているのだが、2015年3月の上野東京ライン開業によって「東京」~「品川」方面への通勤利便性が向上したことに加え、駅前タワーマンションからの賃料事例が増えたことなどから、月額賃料が206,024円と2年前に比べて6万円以上も上昇している。
同様のケースは「目黒」などでも見られ、額面通りに新築マンション価格が賃料見合いで極端に割安となっていると言い切ることは難しい。
また、「千葉」や「町田」など郊外エリアに位置している駅については、"賃料水準に対して価格が割安"というよりも、"用地取得や建設費などのコストアップ分を価格に転嫁してしまうと購入者からの反響が鈍くなるので賃料見合い以上に強気な値付けができていない"と読み解くのが妥当であろう。
一方、マンションPERが高かった(割高感が強かった)駅は東京メトロ銀座線「青山一丁目」の45.26で、賃料換算では首都圏平均と比較して回収に20年以上も余計にかかる計算となる。
月額賃料は385,302円と首都圏でもかなりの高水準を示しているものの、新築マンション価格は20,926万円と2億円を超えており、結果的に賃料見合いで最も割高な駅となってしまった。
「表参道」や「恵比寿」など月額賃料が30万円以上の都心一等地に位置する駅では、富裕層向けのハイグレードな高額マンションが主だった供給物件となってきており、最近ではJR山手線沿線やその周辺、横浜エリアでも価格高騰によって結果として"億ション"に類する物件が増えてきている。
分譲マンションの新築価格が、同じ駅勢圏の分譲マンション賃料の何年分に相当するかを求めた値。
マンション PER = マンション価格 ÷ (月額賃料 × 12)
一般に、マンションPERが低ければ賃料見合いでは割安で買いやすく、反対に高ければ割高で買いにくいことを 意味する。
なお、改訂版ではデータの均質化を図るために、分譲マンションの募集賃料も"新築相当"(=直近3年間に発生した築3年未満の事例を対象)とし、対象も最寄駅からの所要時間が徒歩20分以内の物件に改めた。
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