2017 年の近畿圏平均は 22.21、価格高騰に伴って 4 年連続で上昇
マンション PER の最低値は「天神橋筋六丁目」の 14.93、最高値は「甲南山手」の 33.92
2017年における新築マンション PER(=マンション価格が同じ駅勢圏のマンション賃料の何年分に相当するかを求めた値)の近畿圏平均は 22.21(対象 115 駅)で、圏域以外からの投資ニーズの高まりも手伝って、マンション PERは 4 年連続で上昇している。
分譲マンションの平均賃料(70m2換算)は前年比+1.6%の 172,865 円に上昇したものの、新築マンションの平均価格(70m2換算)が+7.4%の 4,591 万円と上昇率で上回っており、富裕層による実需・投資ニーズに合わせた物件の供給が多くなっているのに伴い、賃料見合いでの買いやすさは一段と後退する傾向にある。
各駅のマンション PER を色分けした路線図を見ると、赤色や桃色で示された駅が阪神間エリアや京都市中心部に多く分布しており、これまで比較的割安感を保っていた大阪市中心部においても、これらの色で示された駅が目立つようになってきている。
賃料見合いで強い割安感を示す青色(18 未満)や緑色(18 以上 20 未満)の合計シェアは全体の 3 割を割り込む水準まで縮小しており、主だった分布エリアも大阪市中心部、北摂エリアおよび京阪間エリアに限られている。
一方、近畿圏平均よりも総じてマンション PER が高い桃色(22 以上 24 未満)や強い割高感を示す赤色(24 以上)の駅は、数・シェアともに 2014 年以降は増大しており、これらのシェアは全体の 4 割以上を占めるまでに至っている。
ミニバブル期と異なる特徴としては、富裕層のセカンドニーズに沿った高額マンションの供給が相対的に増加した京都市中心部、さらに大規模タワーマンションの開発が盛んに行われている大阪市中心部でも、これらの色で示される駅が広くかつ多く分布するようになった点が挙げられる。
近畿圏で最もマンションPERが低かった(割安感が強かった)駅は大阪市営地下鉄堺筋線「天神橋筋六丁目」の14.93で、賃料換算では回収期間が近畿圏平均より7年以上も短かった。
堺筋線や谷町線の2路線が利用可能で、JR環状線「天満」が徒歩圏であること、またターミナル駅であるJR大阪駅周辺へもアクセスしやすいことから、月額賃料は近畿圏平均よりも6万円ほど高くなっている。
一方、新築マンション価格は大阪市中心部からやや外れている立地であるために、駅近物件でも4,000万円前後の水準に抑えられており、賃料見合いで非常に割安な駅となっている。
また、「中之島」をはじめ特定の物件から高額な賃料事例が発生したことで結果的にマンションPERが低い値となっている駅も見られる。
郊外エリアに位置する駅は、事業集積地である大阪市中心部まで電車通勤する場合に相応の時間や乗り継ぎが必要になるため賃料水準が低く、新築マンション価格は賃料見合いでもかなり抑え目に設定されている。
一方、マンションPERが高かった(割高感が強かった)駅はJR神戸線「甲南山手」の33.92 で、賃料換算では近畿圏平均と比較して回収までに11年以上も余計にかかる計算となる。
阪神間エリアに位置する駅は住宅地として常に高いニーズを集めているため、価格高騰期に限らず賃料見合いで割高な価格の新築マンションが販売されることも珍しくはない。
また、富裕層向けの高額マンションが主だった供給物件となっている京都エリアからは「今出川」や「烏丸」などが挙がってきており、新築マンション価格は軒並み6,000万円~7,000万円となっている。
この他、大阪市中心部に位置する駅もしくは20分~30分程度でダイレクトアクセスできる交通利便性の高い駅であっても、賃料見合いで強気な値付けの新築マンションが供給されたことによって高いマンションPERを示すケースが見受けられる。
分譲マンションの新築価格が、同じ駅勢圏の分譲マンション賃料の何年分に相当するかを求めた値。
マンション PER = マンション価格 ÷ (月額賃料 × 12)
一般に、マンション PER が低ければ賃料見合いでは割安で買いやすく、反対に高ければ割高で買いにくいことを 意味する。
なお、改訂版ではデータの均質化を図るために、分譲マンションの募集賃料も"新築相当"(直近 3 年間に発生した築3年未満の事例を対象)とし、対象も最寄駅からの所要時間が徒歩20分以内の物件に改めた。
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