不動産投資コラム

法律によらない土地の交換分合で譲渡所得税がかかるかどうかのポイント

1.はじめに

自分の所有する土地を他人の土地と交換した場合、税法上「譲渡」扱いとされるのが原則です。しかし、固定資産の交換の特例(所得税法58条)に規定する要件を満たすと、土地の交換であっても「譲渡はなかったもの」とされ、譲渡所得税はかかりません。

2.特例以外の取扱いも

ところで、譲渡所得税がかからない交換は、上記交換の特例に限られるかというと、そうでもありません。所得税では、土地区画整理法等の法律の規定に基づき租税特別措置が設けられているほか、取扱いとして次の2つがあります。①「法律の規定に基づかない区画形質の変更に伴う土地の交換分合」(所得税基本通達33‐6の6)、②宅建業者等の事業者が絡む場合の「宅地造成契約に基づく土地の交換等」(所得税基本通達33‐6の7)です。
①一団の土地の区域内に「土地及びその土地の上に存する借地権など」(以下、土地等という。)を有する2以上の人が、その一団の土地の利用の増進を図るために行う土地の区画形質の変更に際し、相互にその区域内に有する土地の交換分合)を行った場合には、その交換分合が当該区画形質の変更に必要最小限の範囲内で行われるものである限り、その交換分合による土地の譲渡はなかったものとされる取扱いです。
②一団の土地の区画形質の変更に関する事業が施行される場合において、その事業の施行者とその一団の土地の区域内に土地等を有する者(従前の土地の所有者)との間に締結された契約に基づき、従前の土地の所有者の有する土地をその事業の施行のためにその事業施行者に移転し、その事業完了後に区画形質の変更が行われたその区域内の土地の一部を従前の土地の所有者が取得するときは、その従前の土地の所有者が有する土地とその取得する土地との位置が異なるときであっても、その土地の異動が当該事業の施行上必要最小限の範囲内のものであると認められるときは、その従前の土地の所有者の有する土地のうちその取得する土地の面積に相当する部分は譲渡がなかったものとされる取扱いです。ただし一部金銭で補われている場合には、金銭で取得した土地部分を除きます。
そして①②のどちらもこの交換分合が、一団の土地の区画形質の変更に伴い行われる道路その他の公共施設の整備、不整形地の整理等に基因して行われるもので、四囲の状況からみて必要最小限の範囲内であると認められる場合に上記取扱いを適用できるとされています。

3.区画形質の変更とは?

上記の特例以外の交換分合の取扱いでは、一団の土地において「土地の区画形質の変更」に際し土地の交換分合が行われることが条件になっています。この土地の区画形質の変更とは、(1)区画の変更、(2)土地の形状の変更、(3)宅地化することとされています。具体的にどのような形で認められるのか、国税不服審判所(以下、「審判所」という。)の裁決事例から手がかりを捜してみましょう。

4.平成13年12月20日裁決

この事例は1団の土地を構成する土地を持つ3人が、無道路地をなくすための私道を開設しようと、それぞれ土地を交換等して所有する土地を使いやすくした事例です。税務署は上記①の取扱いの適用はないとして課税しました。
税務署の考えは「土地の区画形質の変更とは、一団の土地の登記地番及び所有権に基づく区画に対して、道路その他の公共施設の整備、不整形地の整理等によって区画を適正にし、土地の形状・土質を改良して適正な宅地を造成すること」だとして、3人の行った交換分合について次の問題点を指摘していました。
ア、地番・地積の変更・更正等を行うことなく、従来のままの地番・地積で所有権移転登記がされている。
イ、一部の土地は、何ら造成等は行われず、区画形質の変更があったとは認められない。
しかし審判所は、上記①の取扱いについて、「その経済実態から、土地所有者相互間における相隣関係の問題として単に土地の境界線を整理しただけとか不整形地であったところに道路を付け区画を整理するというのであれば、その土地の交換分合が土地所有者相互間において必要最小限の範囲内で行われた場合には、税務上はその交換分合による土地の譲渡はなかったものとする趣旨」を踏まえ、「土地の区画を整理し、又は土地の形状及び土質を変更し、利用しやすい土地にすることをいうと解され、必ずしも土地の形質の変更を伴わなければならないというものではない」と述べ、上記①の取扱いの適用を認め「譲渡はなかったもの」としています。

税理士法人タクトコンサルティング

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