不動産投資をした後も大切
Q5.利益が出ていても、経営が苦しいケースがあると聞きました。本当ですか?
A5.本当です。金融機関への返済が終盤に差し掛かった頃、所得税負担が重くなることがあります。
減価償却費は減っていく可能性がある
不動産所得を計算する際の必要経費として「減価償却費」や「支払利息」があります。減価償却費は、主に建物の購入代金を少しずつ長期間にわたって費用化していくものです。
基本的に、減価償却費は建物の構造(木造や鉄筋コンクリート造など)に応じた年数で分割した金額を毎年同額で(定額法)経費計上しますが、建物本体ではなく付属設備部分については、毎年「一定率」を減価償却費とすることもあります。
この場合、減価償却費は年々減っていきます。定額法のうち、耐用年数の短い木造で中古物件となると、建物の取得から十数年で減価償却期間が終わってしまう場合も少なくありません。
すると、経費計上できる減価償却費がなくなって、経費計上できない融資金の元本返済金が増え、減価償却による不動産所得の圧縮(節税)効果がなくなってしまいます。
こうなると、不動産投資事業自体の収支は帳簿上では大きく改善するのに、手元のキャッシュが大きく減ってしまう「デッドクロス」という状態になるリスクが高まります。
支払利息は徐々に減っていく
借り入れの返済は「元利均等返済」で行うのが一般的です。これは「毎月の返済額が一定」になるため、支払計画が立てやすい返済方式です。
金融機関へ払う額は毎年同じでも、利息と元本の「内訳」が返済年数により異なります。返済し始めたときは利息分の比率が高く、元本の減少に伴って利息分の比率が低くなる仕組みです。
支出は変わらないのに経費が減り、所得が増えてしまう
減価償却費は、勘定科目では経費に分類されますが、実際に支出があるわけではなく、帳簿上で経費と計上されたに過ぎません。逆に言えば、減価償却費が減っても、支出が減るわけではないのです。
また、元利均等方式の返済プランでは、支払利息が減ってもその分元本返済が増えるので、金融機関へ払う額は変わりません。しかし、元本返済は経費にならず、税務上の経費だけが減っていきます。すると、支出は変わらないのに、所得だけが増え続け、所得税負担が重くなります。
ただし、このようなケースが起こるのは、返済のうち「元本部分が利息より多くなる」ローン返済期間の終盤の時期です。この時期を過ぎれば、返済が終わって銀行への支払いがなくなるので、そこからはキャッシュフローが大きく改善します。
柴田 敏雄(しばた としお)宅地建物取引士、管理業務主任者
宅地建物取引士、管理業務主任者
司法書士事務所に2年、大手不動産管理会社に5年、個人顧客を中心に不動産賃貸・売買の仲介営業会社に7年間従事。
司法書士事務所に2年、大手不動産管理会社に5年、個人顧客を中心に不動産賃貸・売買の仲介営業会社に7年間従事。
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「物件を買ったらそれで終わり!」ではありません。
買った後のコストや手間についても知っておきましょう。
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