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お金

子育てファミリーのための
「お金」のレッスン

学校では教えてくれない「お金の基本」や、毎日忙しい子育て世代にこそ知ってほしい「お金の使い道」をレクチャーします!

家計診断~ボーナス依存の家計脱出!繰り上げ返済は、どう行う?

住宅ローンの繰り上げ返済は、驚くぐらいマメに返済されている方と、やらなきゃと感じつつもよく分からないので何年も放置という両極端なタイプが多いように思います。

本庄さん(仮名)も、「住宅ローンが重くて、毎月赤字。でも、どんななふうに繰り上げ返済をしたらよいか分からないまま、数年が経過している」とのこと。

今回は繰り上げ返済の方法と、ボーナス依存家計からの脱出方法の2つが課題です。

ご相談内容

家計簿は毎月つけていますが、住宅ローンの返済が重たく、そのほか削る項目がないまま、赤字が続いています。保険は以前見直しをして、最低限のものに入っています。さらに削れるものはあるのでしょうか?
また、住宅ローンは、変動金利を選択しているので、将来、これ以上返済額が増えるかと思うと不安なので、早く繰り上げ返済をしたいです。
今のボーナスをあてにした生活を脱出したいです。

  • お名前 本庄妙子さん(仮名)
  • 年齢 41歳
  • 家族構成 夫(39歳)、長女(小学4年生)、次女(小学2年生)
  • 住まいの情報 分譲マンション
  • 世帯年収 夫710万円(会社員)、妻60万円(パート)
  • 現在の貯蓄 1,560万円

家計状況

変動金利の基本をおさえて、繰り上げ返済。

現在の住宅ローンの毎月の支払額は、月収の30%近く。その残りで、その他の家計のやりくりをし、これからかかるお二人のお子さんの教育費を貯めているため、確かにローンが重たく感じますね。また、変動金利で借りているので、今後返済額が増える可能性を考えると、今のうちに整理をしてみることが大切です。

本庄さんは、変動金利の特徴を自分でもしっかりと理解しておきたいということでしたので、まずは変動金利のおさらいをしましょう。

変動金利とは

変動金利は、固定金利に比べると当初の金利は低いですが、金利情勢の変化にあわせて返済の途中で金利が変動します。金利は半年ごと、返済額は5 年に一度見直されるのが一般的です。(上がる場合は、従前の返済額の1.25 倍が上限。)金利変動の影響をストレートに受ける点に注意が必要です。

変動金利のデメリットは、将来の返済額が確定しないので、生活設計がしにくい点と、金利の上昇とともに返済額が増えることです。

メリットは、他のタイプよりも金利が低く、金利が低い水準にあれば返済額も減ります。

いずれにしても、変動金利の場合は、借入れ段階では総返済額が分からないため、本庄さんがご心配されているように、借入れ後に金利が上昇すると、毎月の返済額や総返済額が増える懸念があります。

将来、教育費などの負担があり、住宅ローンの毎月の返済額の増加を避けたい場合は、固定金利に借り換えするという選択肢もあります。

ただし、固定金利に借り換えた場合、毎月の返済額は固定されて安心ですが、現在、変動金利は低い水準にあるため、固定金利に変更した時点ではむしろ総返済額は増えることもあるため、慎重に判断が必要です。

本庄さんの場合は、毎月のみならず、住宅ローンの総返済額を減らしたい。そして、今ある貯蓄を使って「繰り上げ返済」をするご意向とのこと。そのため、変動金利のままで、繰り上げ返済を早めに実行することにしました。次に、繰り上げ返済の方法をご説明しました。

繰り上げ返済の方法とは

繰り上げ返済ですが、二通りあり、一つは毎月の返済額は減らさずに期間を短縮する「期間短縮型」と、期間はそのままにして返済額を減らす「返済額軽減型」です。

本庄さんの場合は、住宅ローンの残債が3,200万円、貯蓄が1,560万円。教育費として残したい金額は、お二人のお子さんそれぞれに400万円、計800万円。教育費を除いた約700万円ほどを繰り上げ返済に使用することをシミュレーションしてみました。

残債3,200万円、残りの返済期間23年、金利1.2%が続くと仮定した場合の現在の返済総額は約3,663万5,000円になります。

それが、期間短縮型ですと、5年6か月短くなり、返済総額は3,471万3,000円、192万2,000円の節約になります。

一方、返済額軽減型ですと、返済総額が、3,562万1,000円で、101万4,000円の節約になります。

同じ金額の繰り上げ返済、同じ条件で比較した場合、期間短縮型のほうが返済総額を圧縮しやすいのです。

繰上げ返済を行う注意点として、住宅ローン控除の金額が減ることがあげられます。本庄さんの場合は繰り上げ返済をしても控除が受けられますが、住宅ローン控除が受けることができる要件の一つに、「10年以上にわたり分割して返済する方法になっている債務があること」というものがあり、繰上げ返済で期間を短縮してしまうと受けられなくなるケースもあるため注意が必要です。

生活費をボーナス依存すると、家計管理が崩れる原因

また、本庄さんの場合は、赤字家計から脱出したいとのことで、保険の見直しも相談のご希望でした。そのため、保険の見直しをしました。複数の医療保険に入っており、入院日額の特約等が重複していました。重複部分は削減できそうですが、妙子さんの保障が決して多くないため、保険料の全体の削減にはいたりませんでした。

家計の見直しをするといっても、病気やリストラなど不測の事態には備えなくてはなりません。とはいえ、このまま毎月の赤字のままですと、精神的にもよくない上に、なし崩しにお金を使う原因になりがちです。

そこで、本庄さんの家計では、毎月の赤字は解消するよう、月々の貯蓄額は減らす仕組みにしました。ただし年間の貯蓄ペースは、今までと同じ金額を目指し、ボーナスで貯蓄します。現在、年73万2,000円貯蓄しているところ、毎月の貯蓄額を減らすと、年間24万円しか貯まりませんが、ボーナスで49万円の補てんをします。

本庄家は、生活費のボーナスの依存が大きかったのですが、

■毎月の生活費すべては月収から
(子ども費用と妻おこづかいは被服費も入れて増やす)
■貯蓄と特別支出(旅費や大きな買い物)は、ボーナスから

と仕分けしました。

「生活費は月収からのみ」のルールを守ることで、毎月の赤字からは脱出できそうなメドが立ちました。

でも、「もう少しゆとりを持って暮らしたい。そのためには、支出をおさえるだけではなく、収入を増やしたい」という本庄さん。「今は、子どもがまだ小さく、長時間は働けそうもない」というのが悩みだそう。

確かに、そういうママは多いと思います。お子さんが小さいときが、踏ん張りどきのご家庭。でも、お子さんが小さいうちに家計管理の習慣を作ることができれば、将来お子さんの成長とあわせて、収入アップが可能となったとき、もう少しラクに貯蓄や繰り上げ返済ができるでしょう。長期の視点でがんばっていきましょう。

八木陽子

八木陽子 (やぎ ようこ)

株式会社イー・カンパニー代表、ファイナンシャルプランナー

出版社で女性情報誌の編集部勤務をへて独立。「お金は生活に必要なものなのに、なぜ、日本では向き合う機会が少ないのだろう?」という疑問を持ち、堅いお金の話を楽しく分かりやすく伝える伝道師になる!と決意。二児の母としての消費者の視点から、親子でお金と仕事を学ぶ「キッズ・マネー・ステーション」主宰。現在は、マネー相談、講師、執筆など、幅広く活動している。

HP:http://ecompany-gr.com/
ブログ:http://ameblo.jp/ecompany-yagi/
著書:「6歳からのお金入門」(ダイヤモンド社)

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