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相続税の基礎知識財産はどのように評価されるか

財産の評価とは

 相続税額を計算する上での大きな問題は、「財産をどのように評価するのか」でしょう。

 相続財産は、現金や預貯金、株式、公社債などばかりではなく、土地や家などの不動産、貴金属、書画骨とうなども含みますから、相続税額を計算するには、その価値を金銭で評価する必要があり、その評価額に基づいて、相続財産の価額が決定されます。

 相続財産の評価は、原則として相続開始日(被相続人が死亡した日)の時価で行われます。

 時価と言う言葉はあいまいですが、実務上は相続財産や贈与財産のほとんどのものについて、国税庁から公表されている「財産評価基本通達」とよばれる評価基準に従って評価することとされています。

 主な財産について、その評価のあらましを紹介しますが、詳細は税理士又は税務署などにお尋ねください。

相続税計算における主な財産の評価方法

財産の種類 評価の仕方 おおよその目安
宅地 路線価方式または倍率方式 時価の8割
家屋 固定資産税評価額 時価の4~6割
預貯金 元本+既経過利子の手取額 解約時手取額
上場株式
  1. 相続開始日(被相続人が死亡した日)の終値
  2. 相続開始の日の属する月の終値の月平均額
  3. 相続開始の日の属する前月の終値の月平均額
  4. 相続開始の日の属する前々月の終値の月平均額

※いずれか低い額

売却手取額
非上場株式 会社の規模に応じ、類似業種比準価額、純資産価額などを用い計算した評価額 売却想定の手取額
利付公社債
  1. 上場している場合:(その公社債の最終価格又は②の平均値のいずれか低い価格+既経過利息の手取額)
  2. 公社債店頭売買参考統計値が公表されいるもの(上場している場合を除く):(公表された公社債店頭売買参考統計値の平均値+既経過利息の手取額)
  3. 上記以外:(発行価格+既経過利息の手取額)
売却手取額
割引公社債 (発行価格+既経過償還差益)または(上場相場または気配相場)のいずれか低い額 売却手取額
貸付信託 元本+既経過収益の手取額-買取割引料 売却手取額
証券投資信託 日々決算型の場合:基準価格+再投資されていない未収分配金(①)-①に対して課される源泉所得税額相当額-解約手数料等
日々決算型以外の場合:基準価格+解約した場合に課される源泉所得税額相当額-解約手数料等
なお、上場されている株式投資信託については上記上場株式に準じて評価する
売却手取額
ゴルフ会員権
  1. 取引相場がある会員権の場合には課税時期における通常の取引価格の7割
  2. 取引相場がない会員権の場合には、株式による会員権であれば株式の評価により計算した価額
なお、預託金がある場合には、その預託金に返還される日までの期間に基づく利率を乗じた複利現価の額を加算する
時価の7割又株式価格並びに預託金の額
宝石・貴金属 再購入金額 時価
家庭用動産 再取得価額-既経過年数に応じた減価償却の額
借入金 要返済額 借入残高

宅地や家屋はどのように評価するか

  1. 宅地の評価には2つの方法があります

小規模宅地等については、評価額の軽減の特例があります

評価額の軽減特例

 事業用および居住用の宅地で、200m²(400m²または330m²)までの土地は評価額が軽減される特例があります。これは、相続や遺贈によって取得した一定の者の場合にだけ適用されるものです。

ここがPOINT!

  • この特例は、生前贈与により取得した宅地には適用されません。
  • 相続税の申告に際して、相続したすべての土地の中から自由に200m²(400m²または330m²)を選択できます。
  1. 家屋(建物)の評価は、固定資産税の評価額が基本になります

  1. 貸宅地や貸家、アパートなどは評価額が安くなります

  1. 借地権も相続財産です
    なお、権利金の支払いが無い場合又は、地代として支払っている額が少額である場合などは借地権の評価はありません。

  1. 配偶者居住権
    民法改正により、相続開始時に被相続人が所有する家屋に居住している配偶者が配偶者居住権を取得した場合、配偶者居住権の評価及びその家屋の評価並びにその土地に関する評価は次の通りとなります。

    ①配偶者居住権の評価=家屋の評価額-家屋の評価額×(家屋の耐用年数-経過年数-設定した配偶者居住権の年数(終身の場合は平均余命))/(家屋の耐用年数-経過年数)×存続期間に応じた法定利率による複利現価率

    ②①の家屋の評価=家屋の評価額-①の評価額

    ③配偶者居住権に基づく敷地利用権=宅地の評価額―宅地の評価額×存続期間に応じた法定利率による複利現価率

    ④③の宅地の評価=宅地の評価額-③の評価額

    (注)配偶者居住権とは、配偶者が相続開始時に被相続人が所有する建物に住んでいた場合に、終身又は一定期間、その建物を無償で使用することができる権利をいい、夫(又は妻)が亡くなった後も、遺された配偶者が自宅に住み続けることができます。なお、配偶者居住権は、2020年4月1日以後に発生する相続と、2020年4月1日以後に作成する遺言書において設定できます。
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本コンテンツの内容は、2023年4月1日現在施行されている法令に基づき作成しました。
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