今が一番家計が大変「教育費ピークのファミリー」編
2005年09月29日
ライフプラン別資金計画のポイントの3回目は、現在は出費が多く多額の住宅ローンを支払うのが厳しい、というファミリーのケースです。その主な原因は、教育費でしょう。一般的に教育費はお子さまが高校・大学の間がピークとなります。さらに、大黒柱のお父さんの定年までの年数も限られたものになってきます。
このようなご家庭では、住宅ローンの返済額は抑えつつ、かつ老後資金に影響を及ぼさないよう、しっかりとした資金計画が必要になります。
次のようなご家族の資金計画のポイントを見ていきましょう。
今後の住宅ローンの返済できる額を検証
山内家の場合、お子さま二人が私立に通っているため、教育費が年間約200万円かかっています。今後の教育費支出の見込みは、おおよそ次のように考えられます。
つまり、子どもが大学を卒業すれば、住宅ローン返済にどんどん回せるようになりますが、教育費負担が重い8年間は、住宅ローンに回せるお金があまりありません。
山内さんの場合、生命保険をボーナス払いにしたり、レジャー費を削ったりなど家計の見直しをし、ローン返済用に毎月10万円を捻出したとしても、定年までの15年返済では借り入れできる額は1,500万円程度。これでは、相当な額の自己資金が準備できていないと、住宅購入は難しくなってしまいます。
山内さんの場合、生命保険をボーナス払いにしたり、レジャー費を削ったりなど家計の見直しをし、ローン返済用に毎月10万円を捻出したとしても、定年までの15年返済では借り入れできる額は1,500万円程度。これでは、相当な額の自己資金が準備できていないと、住宅購入は難しくなってしまいます。
返済額を抑えるために、返済期間は長くし、後に繰上返済する
もっと借入額を増やし、そして定年までに確実に返済するにはどうしたらよいでしょうか?山内家のようなケースの場合、住宅ローンを組む際のポイントは以下のような点です。
・現在の返済額はなるべく抑える
子どもの教育費負担が終了するまでは、なるべく返済額を抑えることが必要になります。そのための方法としては「金利の低いものを選ぶ」「返済期間を長くする」が考えられます。
・教育費負担が終了してから、積極的に繰上返済を行う
返済期間を長くした場合の問題点は、返済が老後にまで及んでしまうことです。教育費負担が終了した後、積極的に繰上返済をすることによって、定年までに返済できる金額かどうかの検証をしましょう。
教育費がかかる期間は金利上昇リスクは避けよう
毎月の返済額を抑えるためには、金利の低いものを選ぶのも効果的です。ところが、教育費負担が重い期間にもし金利が上昇し、返済額がアップしてしまったら家計はどうなるでしょうか?家計に余裕がないのですから、返済ができない状況にも陥りかねません。
このように、家計に余裕がない期間が予めわかっている場合には、少なくともその期間だけは金利上昇リスクを取らないよう、金利を固定することが重要です。
このように、家計に余裕がない期間が予めわかっている場合には、少なくともその期間だけは金利上昇リスクを取らないよう、金利を固定することが重要です。
このようなことから、山内家では、次のような住宅ローンを考えてみました。
ポイントは、「8年間の毎月返済額は10万円程度に抑える」「少なくとも8年間は金利上昇リスクを取らない」の2点です。そこで、ずっと金利が変わらないフラット35を利用した場合と、10年固定を利用した場合で、繰上返済を行いながら返済する次のようなプランを立てました。
ポイントは、「8年間の毎月返済額は10万円程度に抑える」「少なくとも8年間は金利上昇リスクを取らない」の2点です。そこで、ずっと金利が変わらないフラット35を利用した場合と、10年固定を利用した場合で、繰上返済を行いながら返済する次のようなプランを立てました。
将来、確実に繰上返済できること、目標時期には完済することが重要
このように、今は支払いが厳しいが、将来はより多くの金額を支払えるという場合には、返済期間を長くとり、将来繰上返済で期間を縮めることにより、多くのローンを借り入れることが可能となります。
ただし、当然のことながら返済期間はできるだけ長くすれば良いというわけではありません。プラン1で最長の35年返済にすれば2,900万円借り入れしても毎月の返済額は10万6,808円。しかし、この場合、繰上返済を行っても定年時に600万円以上のローンが残ってしまい、老後生活資金に影響を及ぼしかねません。
山内さんの場合、定年までに完済するためには、2,500万円程度の借り入れが安全といえ、自己資金2,000万円をプラスした4,500万円程度の物件が妥当な予算となるでしょう。
ただし、当然のことながら返済期間はできるだけ長くすれば良いというわけではありません。プラン1で最長の35年返済にすれば2,900万円借り入れしても毎月の返済額は10万6,808円。しかし、この場合、繰上返済を行っても定年時に600万円以上のローンが残ってしまい、老後生活資金に影響を及ぼしかねません。
山内さんの場合、定年までに完済するためには、2,500万円程度の借り入れが安全といえ、自己資金2,000万円をプラスした4,500万円程度の物件が妥当な予算となるでしょう。
返済期間を本来の完済目的の時期より長くした場合には、まず将来確実に繰上返済ができることが条件です。将来は収入がアップするだろうから、その分で繰上返済を、というような希望的な見通しは危険です。
その上で、目標の完済時期にキッチリ支払いが終わるような金額に留めるよう、綿密な資金計画を立てる必要があります。
その上で、目標の完済時期にキッチリ支払いが終わるような金額に留めるよう、綿密な資金計画を立てる必要があります。
執筆者:高田 晶子(たかだ あきこ)
株式会社マネーライフナビ取締役。
ファイナンシャルプランナー(一級FP技能士)、宅地建物取引主任者、信託銀行不動産部勤務、 不動産コンサルティング会社を経て、1996年にFPとして独立、2010年より現職。 家計全般、保険の見直し、住宅購入など個人向け相談を中心に、 執筆、マネーセミナー、マネーコンテンツの制作等を行う。
連載バックナンバー高田先生に聞く!住宅購入マネー事情
- 2014/05/07
- 2014/04/02
- 2014/03/05
- 2014/02/05
- 2014/01/08
本コラムは、執筆者の知識や経験に基づいた解説を中心に、分かりやすい情報を提供するよう努めております。掲載内容については執筆時点の税制や法律に基づいて記載しているもので、弊社が保証するものではございません。
住宅ローン新着コラム
-
毎月の返済額、返済総額、借り換え、賃貸とマイホームの比較、
繰上げ返済額をシミュレート。
住宅ローンの知識
提供:イー・ローン
2024年11月05日 現在
提供:イー・ローン