住宅ローンコラム 高田先生に聞く!住宅購入マネー事情

シングル女性の住宅ローン編

2007年08月24日

最近では、シングル女性の住宅購入もとても増えてきました。
シングル女性の場合、扶養家族もないのでローンの支払いにも心配はない、自己資金もしっかり準備しているという方が多いのも一つの特徴です。このような状況なら、マンション購入は何も問題がなさそうですが、将来が確定していない、というのが心の不安になっている方が少なくありません。また、女性でも住宅ローンは借りられるのかと心配している方もいらっしゃるでしょう。
購入するマンションや、住宅ローンの選択は、今後のライフプランがどう変化していくかが一番のポイントです。ただし、どう変化するかと聞かれても「結婚するかもしれないし、しないかもしれないし。結婚したら仕事を続けられるとは限らないし・・・」と、今のご自身の希望や意志だけでは判断しきれないものですね。このように将来が見えない場合には、どのようなローンを組んでおけばいいのでしょうか?

シングル女性の資金計画のポイント

借入可能額はどのくらい?

みなみさんは、毎月どのくらいの住宅ローンを支払えるでしょうか?
ボーナス時の貯蓄(40万円×2回)は今後の生活のために、今までどおり続けていきたいところです。
そこで、住宅ローンは、月々の支払いのみと考えると、現在の家賃+住宅財形=19万円。
ただし、住宅購入後は、管理費・修繕積立金、そして固定資産税もかかりますので、これらの合計が1ヶ月あたり3万円として考えておきます。
そうすると、住宅ローンの支払いに充てられる額は16万円程度と考えられます。
毎月16万円で、定年までの27年間で計算してみると、借入額可能な額は次のようになります。

シングル女性に向く金利タイプは?

シングル女性は、働き手が一人であるため、働けなくなった場合や、転職などのことも考えると、できれば、1年分の生活費くらいの貯蓄は常に手元に置いておきたいところです。
したがって、上記のように試算した借入可能額に近い場合には、あまり繰上返済もできず、返済が長期間にわたると考えられます。
今後の金利上昇リスクを考えると、長期固定金利型が安心だといえるでしょう。
一方、借入可能額よりも、借入額が少なくて済む場合には、それだけ余裕があるので短期での返済も可能になってきます。短期返済であれば将来金利が上昇するリスクも小さくなります。
借入額2,400万円の場合、長期固定金利型よりも金利の低い10年固定を利用し、毎月約16万円程度の返済額にすると、16年で返済が完了します。このように、返済期間が短かければ、将来金利が上昇しても返済額は思ったほどはアップしませんので、10年固定などを利用するのも一つの選択肢となってきます。

将来賃貸に出す可能性がある場合の注意点

シングル女性の場合、もし結婚してそのマンションに住み続けることができなくなったら、その後どのように対処するかも考えておくべきです。
賃貸することが一つの対処法ですが、その場合、次のようなリスクが考えられます。
1.賃料でローン支払いをカバーできるか
自分自身は仕事を辞めて収入がなくなってしまうとすると、賃料でローン返済をカバーしなくてはなりません。そのためには、賃貸の相場も知っておく必要があります。その上で、賃料収入の範囲内で住宅ローンと管理費・修繕積立金・固定資産税が支払えるような住宅ローンの返済額に抑えておくべきでしょう。
2.借り換えができないかもしれない
賃貸に出した後、金利上昇などの理由により借り換えをしたいと思っても、自分自身が住む住宅ではなくなっているため、住宅ローンでの借り換えはできなくなる可能性があります。このような可能性を考えると、金利リスクは負わないほうが安心です。
3.いつも賃料が入ってくるとは限らない
賃貸した場合でも、ローンは毎月必ず返済しなくてはなりませんが、空室で賃料が入ってこない期間もありえます。そのような場合に対応できるよう、貯蓄もある程度確保しておかなくてはなりません。

リスクに備える返済方法は?

金利を払うのはもったいないので、なるべくローンは短く組みたい、繰上返済をどんどん行ってさっさとローンは返済してしまいたい、と考える人が少なくありません。
シングル女性の場合、余裕資金が多いので特にこの傾向が強いように思います。
ところが、上記のように将来賃貸に出した場合のリスクを考えると、どんどん返済してしまうことが得策とは限りません。次のような点に注意して返済プランを立てましょう。
1.金利上昇リスクは取らない
→長期固定金利型や、固定期間の長いローンを選択
2.毎月返済額は少なめにする
→返済期間を長めにし、繰上返済で期間をコントロール
<返済例>全期間固定金利型 金利3.3% 借入金額3,400万円の場合
  • 毎月返済額を抑えるため、返済期間を35年とする
  • 3年に一度、110万円ずつ繰上返済
4年に一度の繰上返済は、本来であれば返済できる毎月の額、16万円との差額です。
このように返済プランを立てると、住み続けた場合でも当初の目標だった60歳で完済できます。無理に繰上返済をしていないので、貯蓄も順調に増えているはずです。また、長期固定にすることにより、途中での返済額アップもありません。
将来のライフプランが定まっていない時は、ライフプランが変わった場合のリスクを考え、どのように転じても対策が取れるような返済プランにしておくことが最も重要なことといえます。

女性専用の住宅ローンも登場

女性でも住宅ローンの借り入れはできるのか、と心配している人も少なくありません。ところが、一般的には、女性は家計や貯蓄の管理が優れていて、住宅ローンの返済能力も高いと評価されているようです。このため、金融機関によっては、女性専用の住宅ローンを取り扱っているところもあります。その内容はさまざまですが、女性が利用しやすいように特典を付けていることが多いようです。
例えば、りそな銀行の女性向け住宅ローン『凛 lin』では、ローン保証料無料、繰上返済手数料無料(ただし、100万円以上の場合)となっており、諸費用面でのお得感があります。ローン保証料は、3,000万円、35年返済の場合、通常約60万円かかります。初期費用として、これだけの金額が不要であれば、頭金に回すことができ、その分借り入れを少なくすることもできますね。また、病気やケガなどで休業してしまった場合に利用できる返済支援保険も付いており、返済中の安心感も高まります。
最近では働き方もさまざまとなり、契約社員や派遣社員の方も多くいらっしゃいますね。通常の住宅ローンでは、借り入れしにくいのが実情ですが、女性専用ローンでは、正社員以外の方でも借入可能としているものが多くなっており、最低年収も低めになっていますので、借り入れできる可能性は以前よりも高くなってきているといえます。
借りられるかどうか心配という場合でも、まずは、金融機関に相談に行ってみましょう。気に入った物件があった時に、購入するチャンスを逃さないよう、しっかりとした資金計画を立てておきましょう。

執筆者:高田 晶子(たかだ あきこ)

株式会社マネーライフナビ取締役。
ファイナンシャルプランナー(一級FP技能士)、宅地建物取引主任者、信託銀行不動産部勤務、 不動産コンサルティング会社を経て、1996年にFPとして独立、2010年より現職。 家計全般、保険の見直し、住宅購入など個人向け相談を中心に、 執筆、マネーセミナー、マネーコンテンツの制作等を行う。

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