不動産投資コラム

区分マンション投資は儲からない?失敗してしまう理由や成功のポイントまで解説

区分マンション投資で失敗しないためには?

不動産投資の入り口として、「まずは区分マンション(ワンルームなど)から」というケースは少なくありません。そこで今回は、区分物件のメリット・デメリットについて、一棟アパートや一棟マンションなどと比較しながら紹介します。

区分マンション投資とは

区分マンション投資とは、一室単位でマンションを所有して他人に賃貸し家賃収入を得る不動産投資の手法をいいます。アパートなどを一棟購入したり建築したりするには大変な費用がかかりますが、区分マンション投資であれば一室から購入できるので、比較的ハードルが低い投資方法です。
会社員がはじめて不動産投資を行う際にも区分マンション投資から始める方が多数となっています。

ワンルームとファミリータイプ、それぞれの特徴は?

区分マンション投資は「ワンルームタイプへの投資」と「ファミリータイプへの投資」の2種類に分けられます。
区分マンションというとワンルーム(1R)や1Kなどの単身者向けが中心と思われがちですが、実際には2LDK以上のファミリータイプを投資対象にするケースも少なくありません。1R・1Kタイプとファミリータイプのそれぞれの特徴をまとめておきましょう。

<1R・1Kタイプの場合>
1R・1Kの場合は、実需層が購入する可能性は低いため、売主や買主は投資目的の方が大半になり、投資対象として魅力的か否か(収益を出せるか否か)が重要になります。部屋の借主は基本的に居住目的の単身者ですが、マンスリーマンションなどとして活用することによって、通常の賃料相場より高収益を得られる可能性もあります。

<ファミリータイプの場合>
ファミリータイプは自ら居住する実需層にも売却できる可能性があるため、仮に収益性が低い物件でも、1R・1Kと比較すると売却しやすい傾向にあります。実需層の事を考えると、立地だけでなく、設備仕様やグレードも重視して物件を選ぶことが重要でしょう。

関連記事:
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区分マンション投資のメリット

区分マンション投資には以下のようなメリットがあります。

1.自己資金が少なくて済む

まず、マンションを一室単位で取得すれば投資を始められるので、自己資金が少なくて済む点です。少額で購入できるので融資もとりつけやすいでしょう。

2.管理の手間がかかりにくい

また、マンションの管理は管理会社に任せられるので、所有者に管理の手間がかかりにくい点が挙げられます。会社員が副業で不動産投資を行うときにも向いているといえるでしょう。

3.複数所有するとリスクを分散しやすい

区分マンションを1室しか所有していなければ、その部屋が空き室になってしまったときに家賃収入がゼロになってしまいます。一棟物件の場合も、地震や台風、火災などの災害をはじめ、エリア相場の影響を受けるなどのリスクがあります。ただし区分マンションを複数戸持っていれば1室が空き室になっても他の物件に入居者がいる状態を保ちやすいのでいくらかの収入は入ってきますし、所有エリアを分散させることでリスク分散することができます。
このように、複数の物件を所有すると空き室リスクを抑えやすいのもメリットといえるでしょう。

4.団体信用生命保険に入って保険代わりにできる

区分マンションを現金購入すると高額な自己資金が必要になるので、多くの方はローンを利用します。その場合、団体信用生命保険に加入するケースがよくあります。
団体信用生命保険へ加入していたら、本人が死亡したり重度障害となったりしたときに保険会社がローンを完済してくれます。
何かあったときにも遺された家族にマンションが残るので安心感があります。
団体信用生命保険に加入しておけば生命保険に加入する必要がないので、保険代を浮かせられるメリットもあるでしょう。

5.売却が比較的容易

一棟もののアパートやマンションをまるごと売却するとなると、購入者を選びますしなかなか容易ではありません。
一方、区分マンションであれば価格も安く一般の会社員でも手を出しやすいので、買い手候補がたくさんいます。
何らかの理由で現金化したくなった場合、売却が比較的容易な点も、区分マンション投資のメリットといえるでしょう。

オフィス・店舗などのビル系区分物件とレジデンス物件の比較

投資用の区分物件はマンション(居住用)だけではありません。オフィスや店舗などのビル系(事業者向け)の区分物件もあります。流通市場に出ている物件数がやや少ないことが難点ですが、バリエーションは増えつつあります。

収益性の点では、マンションよりもオフィスや店舗のほうが高いケースが多いでしょう。住宅系の賃料水準は、多少景気が上向いてもすぐに上がることはなく、また値上げ可能な幅も大きくありません。

それに対して、オフィスや店舗の賃料は、好景気になって企業の業績が改善すれば、賃料の値上げが期待できます。周辺の開発整備によって賃料相場がアップすることもあります。そのようにして収益性が高まれば、売却価格の上昇にもつながります。ただし、景気が悪くなった際の賃料値下げもあり得ます。

オフィスや店舗を選ぶ際に注意したいのは、ビル内での所在階数です。基本的には、道路に面した1階フロアが有望です。地下や、2~3階以上の"空中店舗"はテナントが付きにくいといわれています。景気の影響、また、立地やグレードの良し悪しによる影響は、住宅系よりもオフィスや店舗のほうが大きいといえ、投資難易度は高いといえます。

表1.レジデンスとビルの違い
レジデンス(マンション) ビル(オフィス・店舗)
賃料 変動が少なく安定 変動率が大きい
大きく下落しにくいが、伸びしろ(上昇期待)は少ない 下落する可能性もあるが、上昇も見込める
景気変動の影響 小さい。賃貸需要が底堅い 景気による変動が大きい
融資 利用しやすい 融資審査が厳しい
立地・グレード 多少左右される 大きく左右される

区分マンション投資のデメリット

区分マンション投資には以下のようなデメリットもあります。

1.利回りが低め

1つは全般的に利回りが高くなりにくいことです。購入費用に対する賃料相場が低めになるからです。
一棟アパートと比べると区分マンション投資の利回りは低めといわざるをえないでしょう。
かといって、区分マンションで高い利回りを得ようとすると、築古物件や田舎の物件などリスクの高いものを選ばざるを得なくなります。

2.1室しかない場合、空き室リスクが高くなる

区分マンションを1室のみ所有する場合、その1室が空き室になると収入がゼロになってしまいます。1室しか所有しない場合の空き室リスクが高いのもデメリットといえるでしょう。

3.リフォームを自由にできない

区分マンションの場合、傷んだ部分があっても所有者の判断で自由にリフォームできないケースがよくあります。マンションの室内については所有者の判断で変えられますが、共有部分やマンション全体に適用されるシステムは勝手に変更できないからです。
たとえば共有部分の廊下や階段部分をもっとおしゃれにしたいと思っても、そういったことは単独の判断ではできません。

区分マンション投資は儲からない?

区分マンション投資は儲からない、やめておくべきといわれることもあります。
実際はどうなのでしょうか?
確かに区分マンション投資で儲からないケースはあります。なぜ失敗してしまうのか、理由をみてみましょう。

1.初心者が多く、物件選びを間違える

まず、初心者が区分マンション投資に参入するケースが多いという点があります。その場合、必要な知識も持たないまま適当に投資してしまう方が多数みられます。知識がなく事前調査もずさんなまま投資をしたら、当然失敗しやすいでしょう。初心者が多く物件選びを間違えてしまうのが儲からないといわれる理由の1つ目です。

2.シミュレーションをせずに投資する

不動産投資で利益を得るには、購入前の利回りのシミュレーションが極めて重要です。このステップを飛ばして不動産会社の提示する表面利回りや想定利回りのみで判断し、物件を購入してしまうと、投資に失敗するリスクが高まります。

3.投資効率が高いのは、「区分」より「一棟」

実際、投資効率が高いのは区分マンションより一棟アパートであり、アパート経営の方が区分マンション投資より儲かるという調査結果もあります。
表2は、区分マンションと一棟マンションの表面利回りの推移を示しています(投資物件情報サイト「ノムコム・プロ」掲載物件の利回り推移)。一般的に、一棟マンションに比べて、区分マンションのほうが利回りは低くなります。利回りが低いということは、つまり収益性が低いということです。

表2.区分マンションと一棟マンションの表面利回りの推移

例えば、総額500万円・表面利回り10%の中古ワンルームマンションを現金で購入したとします。想定家賃収入は、年間50万円です。出ていくお金は、建物の管理費・修繕費が12万円(1ヵ月1万円)、固定資産税が年間5万円、家賃収納代行などのために賃貸管理会社に2万円前後支払うとして、年間維持費が19万円ほどとなります。税引き前の手取りは31万円で利回りは6%程度となります。

さらに、所得税と住民税を合わせて30%の税金を払うと、手残りは年間22万円となり、月々2万円に達しません。投下資金500万円を回収するのに20年以上かかります。

しかも、これは入居者が居続けることが前提です。仮に1~2年ごとに入居者の入れ替えが発生すると、その度に原状回復費用、募集費用などがかかります。部屋が埋まるまでの賃料収入はゼロですから、2~3ヵ月の空室期間があると、費用を合わせて家賃5~6ヵ月分のマイナスです。ほとんど手残りがないか、赤字に転落する恐れがあります。現金で購入してもこの収支ですから、不動産投資ローンを利用すると採算的にはかなり厳しいといえるでしょう。

ただ区分マンション投資で利益を得られないわけではありません。
きちんと物件を選定して事前のシミュレーションも行った上で購入し、区分マンションで利益を得ている人はたくさんいます。

区分マンション投資で成功するポイント

区分マンション投資を成功させるには、以下のような点がポイントになります。

1.物件選びが重要

まずは物件選びが最重要です。
利回りだけにとらわれず、空き室リスクが低いことや出口戦略を立てやすいことなどを見据えて優良な物件を選びましょう。
例えば東京であれば、23区内で最寄り駅からは徒歩10分以内、地域に見合った一般的な間取りになっているものがおすすめです。
こういった物件であれば空き室リスクが低くなりますし価値の低下も起こりにくいので区分マンション投資に成功しやすくなります。

2.不動産会社によっても左右される

不動産投資で投資家のパートナーとなるのが不動産会社です。初心者でも親切にサポートしてくれて良好な物件を紹介してくれる不動産会社に相談すれば、成功する可能性が大きく高まるでしょう。実績が豊富で信頼できる不動産会社に相談してみてください。

3.節税対策で物件を選ばない

不動産投資を行うと節税対策にもなるといわれますが、節税対策のためだけに不動産投資をするのはおすすめではありません。不動産投資の目的はあくまで「儲けること」です。節税になるということは赤字にする、ということなので、あまり節税を意識しすぎると本末転倒になってしまいます。

そもそも不動産投資で失敗する人はどんな人なのか、失敗例や不動産投資で成功率を上げる秘訣が知りたい方は以下の記事もご覧ください。
不動産投資で『失敗する人』とは失敗例10選&失敗回避の方法を紹介|ノムコム・プロ
不動産投資の成功率を上げる秘訣とは?|ノムコム・プロ

まとめ

区分マンションは、価格が低く投資を始めやすい半面、空室リスクと投資効率では分が悪いといえます。一棟は、元手や借り入れが大きくなりますが、投資効率・空室リスクについて区分よりも優れているケースが多数です。どちらにも、メリットとデメリットがあり、どちらがよいかは、「投資」に対する考え方によっても判断が分かれるところでもあります。区分マンション投資を行う際には、物件選びや不動産会社の選定に注意して事前のシミュレーションを綿密に行いましょう。そうすれば、成功する可能性が大きく高まります。

宮澤 大樹
宮澤 大樹

宮澤 大樹野村不動産ソリューションズ株式会社 プライベートコンサルティング営業部

1998年から不動産業界に携わり、首都圏のマンション販売・投資用マンションの販売を経験。 その後、2005年より主に一棟マンション・ビル等の投資事業用不動産を中心とした仲介業務に従事。

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