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住宅ローンコラム 高田先生に聞く!住宅購入マネー事情

繰上返済はまとめて行う?マメに行う?

2009年11月25日

繰上返済手数料を含めるとどちらがお得?

金額は少なくても繰上返済は早めに、マメに行った方が効果的なのですが、注意しなくてはならないのが繰上返済手数料。
繰上返済を行う際にかかる手数料は、無料~5万円程度とさまざまです。同一の金融機関でも、金利タイプや、繰上返済額、店頭で行うかネットで手続きするか、などによっても手数料が異なります。
もし、1回2万1,000円の手数料がかかるとすると、5回行えば10万5,000円、1回だと2万1,000円で、8万4,000円の差があり、この分繰上返済効果の差は縮まります。
なお、繰上返済額が少ないと手数料も安くなる場合があり、毎回30万円の場合、1回の手数料を5,250円とすると、5回で2万6,250円です。まとめて150万円の場合には、2万1,000円かかるとすれば、手数料はほとんど変わらなくなります。ただし、例えば80万円と70万円というように分割して行えば、手数料は5,250円が2回で1万500円。このように、金額によって手数料が変わる場合には、分割して繰上返済した方が手数料の節約になることもあります。
基本的には、マメに行う方が効率的でしょう。ただし、繰上返済手数料がかかるローンで、毎月行うというように回数がとても多くなると効果が薄れる場合もありますので、手数料がかかる場合には、1年に1度など、ある程度はまとめて行った方がよいでしょう。

将来金利が変わるものは注意が必要

繰上返済には2つの方法があります。期間短縮型と返済額軽減型です。この2つを比べると、同じ時期に同じ金額の繰上返済であれば、期間短縮型の方が利息軽減額は大きくなります。さらに、時期は早いほど良さそうなので、毎年1回などマメに行うというのが、最も効率的に思えます。
数字上は確かに効率的なのですが、将来金利が変わるタイプの住宅ローンは、注意が必要です。
例:5年固定の住宅ローン、借入額3,000万円、35年返済、当初金利2.5%、
 元利均等返済、ボーナス返済なし
 当初5年間、毎年100万円の繰上返済を期間短縮型で行う場合
上記の例は、5年後に金利が1.5%上昇し、返済額が見直された例です。繰上返済をしているので、元金は減り、総返済額を減らす効果はあるのですが、期間も短くなってしまっているため、6年目からの返済額は約12.4万円と約1.7万円アップしてしまいます。この返済額になっても支払えるのであれば問題ありませんが、もし、返済が厳しいようだと、繰上返済をしたために貯蓄額も少なくなっている、その上で返済額がアップしてしまうと家計はとてもきつくなってしまうでしょう。
それでは、毎年の繰上返済をせずに、500万円を貯蓄しておき、金利アップ時に返済額軽減型で繰上返済を行うと、どうなるでしょうか?
この場合、金利が4%になっても、毎月返済額は105,715円とほぼ同じ水準に保つことができます。 もし、あまり金利が上昇していないようであれば、この時点で期間短縮型で繰上返済を行えばよいのです。つまり、返済額が見直される時点で、繰上返済用の資金を持っていることで、その時点での状況に合わせて対応が可能になるのです。
早め早めに繰上返済をしてもかまいませんが、金利見直し時に調整するための資金は、手元に残しておくことが金利上昇リスクへの準備となります。

執筆者:高田 晶子(たかだ あきこ)

株式会社マネーライフナビ取締役。
ファイナンシャルプランナー(一級FP技能士)、宅地建物取引主任者、信託銀行不動産部勤務、 不動産コンサルティング会社を経て、1996年にFPとして独立、2010年より現職。 家計全般、保険の見直し、住宅購入など個人向け相談を中心に、 執筆、マネーセミナー、マネーコンテンツの制作等を行う。

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