不動産サイト nomu.com > 住宅ローントップ > 住宅ローン奮闘記 > 第7話 備えあれば憂いなし! マイホームオーナーに必要な保険とは?
健太と美咲の住宅ローン奮闘記目指せ!マイホーム・オーナー
住宅ローンの審査も終わり、あとは売買契約書に判を押すだけという段階に来た 野村夫妻のマイホーム購入奮闘記。
いよいよ明日は最終契約日という夜のこと、 リビングでテレビを観ていた健太が、 “マリッジブルー”の新婦のような、大きなため息をつきました。
大きな買い物を目前にして、またいろいろと不安が募ってきたようです――。
世帯年収 | 約800万円 |
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住まい | 賃貸アパート(2LDK) |
子ども | なし |
車 | あり |
貯蓄額 | 約500万円 |
- ……はあ(ため息)
- あら、どうしたの? ため息なんかついちゃって。
- うーん……マイホームが手に入るのはいいんだけど、ちゃんと住宅ローンを返済できるかなとか、買った後でもし火事になったらどうしようとか、なんだか考えてたらいろいろ不安になってきちゃってさ……。
- もう、心配性なんだから(苦笑)。住宅ローンはちゃんと返済計画を立てて検討したでしょ? 火事の心配は、火災保険に入るからある程度は大丈夫よ。
- 火災保険は諸費用の項目の中にも入っていたよね? つまり、住宅ローンを借りる場合は強制加入っていうこと?
- そうよ、ほとんどの金融機関は火災保険の加入を義務付けているわ。金融機関からすれば、万一火事が起きても火災保険があれば、返済してもらえる可能性が高くなるからでしょうね。
- あー、そういうことか。けど、残りの住宅ローンを一括で返したら、僕たちの手元には保険金がほとんど残らないなんて場合もありそうだよね。
- ほんとね、家財も全部ダメになっちゃうだろうし、当面の臨時出費も大きそうだわ。もしかしてケンくん、壊れた家具やテレビに対しても、保険金は出ると思ってる?
- え? 当然もらえるんじゃないの!?
- 火災保険は、「建物」と、その中にある家具や電化製品みたいな「家財」とは、別々の契約になるの。だから、もし「建物」だけの契約だったら、テレビが燃えてしまった場合は保険金はもらえないということになるのよ。
- うわあ、そうなんだ。火災保険に入っていれば火事で損害を受けたものは全部補償されるのかと思ったよ。
- やっぱり、勘違いしていたようね。住宅ローンを組むためには、「建物」を補償してくれる火災保険に入ればいんだけど、本当に必要な補償をつけておかなくちゃ意味ないわ。万一のとき、立ち直れるだけの保険金がなかったら困ることになるもの。
- 火災保険の契約って、思ってたよりずっと重要な気がしてきたよ。パンフレットの細かいとこまで、しっかり読んでみるね。
- じゃ、もうひとつ質問。ある日、大きな地震が来て台所から出火してしまいました。この場合の損害は、火災保険で補償されるでしょうか?
- 火事なんだから、当然補償されるに決まってるじゃない。
- ブー、不正解です。地震が原因で起きた火災は、通常の火災保険では補償されないのよ。
- ええ!? じゃあ、どうすればいいの?
- 地震が原因の火事や建物の損壊などは、地震保険じゃないと補償されないのよ。地震で家が壊れちゃったときも住宅ローンは残るし、できたら加入しておいたほうがいいわね。地震保険は火災保険とセットでないと加入できないから、火災保険の契約のとき、合わせて申し込むこと、覚えておいてね!
ファイナンシャル・プランナー's アドバイス! 火災保険・地震保険に加入するポイント ●補償対象は「建物」と「家財」に分かれている ●加入時の注意点は? そのため、火災・風災・水災・盗難・家財など、幅広い補償がパッケージ化されたものもあり、このような商品は補償を細かく選ぶ手間はありませんが、建物の構造や、立地条件、生活環境などによっても必要な補償は異なります。 例えば、マンションだから水災の心配は無いので水災の補償は外すなど、必要な補償だけを選び加入すれば、保険料を抑えることもできます。 火災保険で補償される主な損害
また、マンションなどの共同住宅では、階下の部屋に水漏れで損害を与えてしまうというようなトラブルも想定されます。 このような他人への賠償に備えるには「個人賠償責任補償」といった特約を付けておくと良いでしょう。個人賠償責任補償は、自動車保険など他の保険契約に付いている場合もありますので、重複しないよう確認してみましょう。 ・契約は「再調達価額」で。保険金額の過不足に注意 反対に、保険料を節約しようと保険金額を低く設定すれば、支払われる保険金が損害額に満たないケースも出てきます。万一の場合に十分な補償が受けられるよう、適正な保険金額を設定しましょう。 ・長期契約ほど保険料は割安に ・地震等に備えるには地震保険が必要 損害保険会社で取り扱っている地震保険は、政府と民間損害保険会社が共同で運営するものなので、保険料や補償内容はどの保険会社であっても一律です(※)。なお、保険料は構造と所在地によって異なります。 地震保険は必ず火災保険とセットで契約します。保険金額は、火災保険の保険金額の30〜50%の範囲内で、建物は5,000万円、家財は1,000万円が限度、保険期間は最長で5年です。 ※ 共済の地震保険は民間損害保険会社の地震保険とは異なるため、各共済ごとに保障内容が異なります。 |
- 火事や地震の損害に対する備え方はわかったけど、他に心配なことといえば、たとえば病気やケガで長期間仕事を休んだり、働けなくなってしまった場合だよね。普通の医療保険では住宅ローンの費用まではとてもカバーできないし。そういうときでも住宅ローンは返済し続けないといけないわけでしょ?
- 厳しいけれど、万一収入がなくなったとしても住宅ローンの返済は待ってもらえないわ。返済できなくなれば家を手放さざるをえないというケースもあるわよね。
- 怖いなあ。僕たちの身にそういうことが絶対に起きないとは言いきれないし……そういうリスクに備える保険もあるのかな?
- 安心して、「就業不能保険」や「所得補償保険」という保険があるわ。
- へぇー、そんな保険があるんだ。良さそうだけど、もうちょっと、詳しく教えてよ。
- 就業不能保険や所得補償保険は、病気やケガで働けない状態が続いたら、毎月の生活費をお給料のようにサポートしてくれる保険なの。毎月の給付金額や、いつまで保障してほしいかは、毎月の住宅ローンの返済額や、ほかの生活費に合わせて、わたしたちの希望に合わせて選べるのよ。
- 毎月どのくらいの給付金があれば足りるかな? そういえば、健康保険からもらえるお金もあったよね? たしか、「傷病なんとか金」……。
- そう!「傷病手当金」ね。わたしたちのようなサラリーマンは、健康保険からお給料の約6割の額がもらえるの。それだけだと不足する分を目安に保険金額を決めることになるわね。そうそう、医療保険とかからもらえるお金も忘れずに加味しないと……。
- なるほど。でも自営業の人はもっとタイヘンそうだね。
- そうね。けど、わたしたちだって、最長1年半しか傷病手当金はもらえないのよ。住宅ローンの返済をカバーするという目的なら、保障期間の長いタイプにしておいたほうがよさそうね。
図1 所得補償保険の利用例(会社員の場合)
- ありがとう、よくわかったよ。しかし、本当に美咲ちゃんはいろいろなことを知ってるねー。
- マイホームは大きな“買い物”だし、少しでも出費を抑えたいから必死に勉強しているのよ(笑) 保険もいろいろ入っておけば安心だけど、むやみに入っても、保険料ばかり増えてしまったら本末転倒ですもんね。
- たしかにそうだ。まずは本当に必要な保険かどうかを考えないと。
- あくまでも家計とのバランスが大切ね。まあ、とにかく健康であることが一番の“保険”よね。不摂生をしないように、お互い気をつけましょうね!
- はーい!
今回の教訓 |
火災保険は「建物」「家財」は原則別契約。契約時に補償内容をしっかり確認しよう! 万一のときの保険だけど、掛けすぎは禁物!家計とバランスを考えて! |