不動産投資を始めるにあたって、手取り収入の目標を立てると、おのずと探すべき物件の条件も見えてきます。毎月の金額目標を「5万円/25万円/50万円/100万円」に設定、それぞれどうすれば実現できるかを考えてみましょう。
目次
レバレッジをきかせた不動産投資なら、「月100万円」の副収入をサラリーマンでも!
仮に、手持ち資金が1,000万円あるとして、金利0.1%以下の定期預金では、1年後でも1万円に達しません。平均2%程度の配当利回りが期待できる株に投資した場合は、1年で20万円。月々100万円の配当を得るには、約6億円の株式が必要な計算となり、かなりハードルが高いでしょう。
しかし、不動産投資なら、不可能ではありません。それは融資を利用したレバレッジ(てこ)で、より大きな投資ができるからです。
銀行は、株式や債券などの投資資金には融資しません。しかし、不動産投資に対しては、年収の10~20倍の融資が可能なことも(年収や資産背景などの属性による)。これを元手に投資して大きなリターンを得るわけです。
もちろん、いきなり「月100万円」は現実的ではありません。今回は40歳前後から不動産投資をスタートする場合のロードマップを描いてみましょう。
手取り40~50万円までは3~5年で到達
次に挙げる例は、どんな物件を買えば、目標の手取り金額(※)に達するかを示したものです。融資条件、物件の構造や規模などによって数値は変わりますので、あくまでも目安とお考えください。
※所得税等の税金はその他の所得によって左右されるため、税引き前キャッシュフローで表示。
【1】目標手取り月5万円
物件:中古ワンルームマンション
物件価格:諸費用込みで1,000万円
不動産投資ローン:ゼロ(全額現金で購入)
表面利回り:7~8%
→手取り月5万円(年間60万円)
ちょっとした副収入を目的にしているなら、これでゴールです。ただ、より大きな収入を目指す場合は、手持ち資金をすべて購入資金に投入したり、せっかく増えた手取り収入を小遣いとして使ってしまうのは避けましょう。
また、サラリーマンの場合、新築ワンルームを全額融資(不動産投資ローン)で購入してしまうと、手取り収入が限りなくゼロに近いかマイナスになるケースがほとんどですので、注意してください。
【2】目標手取り月20~25万円
a) 物件:新築アパート
購入者年収:800万円
物件価格:8,000万円
不動産投資ローン:8,000万円(フルローン)
表面利回り:8%
→手取り月20万円(年間240万円)
売りアパートの物件例はこちら≫≫
b) 物件:中古一棟マンション
購入者年収:1,000万円
物件価格:1億2,000万円
不動産投資ローン:1億2,000万円(フルローン)
表面利回り:7%
→手取り月25万円(年間300万円)
1億円以下中古一棟マンションの物件例はこちら≫≫
上場企業のサラリーマンで、年収が700~800万円以上あれば、最初から一棟モノを購入することが可能です。
【3】目標手取り月40~50万円
上記【2】のパターンで、数年後にさらにもう1棟、物件を購入すれば月40~50万円の収入も実現できます。
短期間で、さらに8,000万円~1億円以上も融資を受けられるのかと疑問に思うかもしれませんが、1棟目を購入した後、2~3年に渡って不動産投資ローン返済を続ければ、借入元金はかなり減って担保余力が生まれます。また、手取り収入を貯蓄していくと、金融資産も着実に増えるでしょう。その結果、銀行の評価がよくなります。賃料収入が安定して入っていれば、サラリーマンの年収と合わせて考慮され、個人属性も高まります。
このようにして「手取り月40~50万円」、物件価格で2~3億円、物件数でいえば2~3棟目までは、比較的スムーズに進められるでしょう。
ところが、サラリーマン大家さんには「年収の壁」があります。これは、金融機関が個人投資家に設定している1人当りの与信枠のことで、だいたい「年収の30倍」または「3億円」くらいといわれています。この壁を超えなければ、「月100万円」には到達できません。
では、どうすればいいのでしょうか?
「出口戦略」と「法人化」で年収の壁を突破する
金融機関の与信の上限「年収の壁」を突破するためのキーワードは「出口戦略」と「法人化」です。
≪方法1≫出口戦略を組み合わせて手元資金を持つ
購入した2~3棟のうち、所有期間が5年を超えた物件1棟を売却して資金を作る方法です。個人の場合、不動産の所有期間が5年を超えて、譲渡税率が5年以下の約半分になるタイミングを活かすわけです。
売却する物件が値上がりしていなくても大丈夫です。保有していた5年間の返済によって不動産投資ローン残高が減っているので、売却して不動産投資ローンを精算した後に、手元資金が残ります。※譲渡所得税がかかる場合があります。
また、手取り収入も使っていなければ、かなり貯まっているでしょう。これらを合わせて潤沢な資金を提示すれば、銀行の融資枠を拡大することができるはずです。それによって、より大型で高収益な物件を購入することができ、手取り収入を増やすスピードを上げることができるでしょう。
≪方法2≫資産管理法人の活用
「年収の壁」を越える2つ目の方法は「法人化」です。
たとえば、1棟目を購入する時点で「資産管理会社」を設立。その会社が賃貸住宅をサブリース(一括借り上げ)する形にして手数料を支払い、会社は少なくとも3年以上は黒字決算を続けます。
銀行は過去3年間の決算書をチェックして会社の評価をするので、法人(会社)に対するプロパー融資(外部機関による信用保証を受けない融資)が受けられる可能性が高まるでしょう。
こうした手法を組み合わせることによって、サラリーマン大家の「年収の壁」を乗り越え、「手取り月100万円」の達成が夢ではなくなります。
家賃以外のプラスアルファ収入で手取りを増やすアイデア
手取り収入を増やす方法は、物件を購入して総資産を増やすことだけではありません。以下にポイントを列挙します。
■物件選び
・「減価償却費」の高い建物を購入する →現金収支には影響せず、課税所得の圧縮に効果。
建物の構造別では、鉄筋コンクリートのマンションよりも、耐用年数の短い木造アパートのほうが減価償却費は高くなる。
・「維持管理経費」の低い物件を購入する →保守点検、補修費などの現金の出費を抑え、手取りが増加。3階建て以上の高層マンションより、2階建て以下の木造アパートのほうが有利。
ただし、融資面や出口戦略ではアパートよりマンションのほうが有利になります。詳しくは、「メリットを比較! アパートVS一棟マンション」をご覧ください。
■プラスアルファの収益
遊休スペースで収入を得ることによって、利回りのアップを可能にします。
・敷地内のわずかな余ったコーナーを活かす
バイク駐車場(月極)、移動販売者への時間貸しなど。
・貸し看板、看板広告で収入を得る
分譲マンションの広告、各種商店の看板広告などを設置。
・太陽光発電で売電収入を得る
機器が値下がり傾向にある太陽光発電を設置して、売電収入を得る。
いろいろなアイデアを駆使して、「手取り月100万円」達成のスピードアップにつなげてみてください。