この記事では、一棟マンションの価格相場に加え、購入時に必要な自己資金の目安や不動産投資ローンの仕組み、諸費用の内訳をわかりやすく解説します。一棟マンションの購入を検討している方が、自分の予算に合った物件を具体的にイメージできる内容になっています。
また、購入前に知っておきたい注意点や、購入後の賃貸経営を成功させるためのポイントも詳しく紹介。一棟マンションの購入を迷っている方にとって、役立つ知識が得られる記事となっていますので、ぜひ最後までお読みください。
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目次
一棟マンションの価格相場

一棟マンションの価格相場は、エリアによって大きく異なります。ここでは、東京を中心とした各エリアの価格相場を詳しく見ていきましょう。
エリア | 価格相場(2022年度時点) | 備考 |
---|---|---|
都心5区(千代田区・港区・中央区・渋谷区・新宿区) | 約4億円 | 2020年度は約4.5億円(10億円超の新築物件等の売出増加が要因) |
城南(品川区・世田谷区・目黒区・大田区) | 約3.5億円 | 2017年度は約3億円を下回る |
城西(練馬区・中野区・杉並区) | 2億円台後半 | |
城東(葛飾区・江戸川区・江東区・荒川区・足立区・台東区・墨田区) | 2億円台後半 | |
城北(文京区・豊島区・北区・板橋区) | 約3億円 | 文京区(春日・茗荷谷)で7億円超の売出増加が影響 |
東京23区以外 | 約2.5億円 | 以前は約2億円で推移。八王子市・日野市などで築30年超、延床面積1000m2超の売出増加が要因 |
横浜・川崎 | 約2.5億円 | |
神奈川その他 | 約2億円 | |
埼玉 | 約2.5億円 | |
千葉 | 2億円台前半 |
このように、一棟マンションの価格相場はエリアによって大きく異なり、特に都心部や城南エリアで高額化の傾向が見られます。投資を検討する際には、エリアごとの価格動向をしっかりと把握することが重要です。
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一棟マンションの購入に必要な資金はいくら?

一棟マンション投資を考えている皆さんが、まず気になるのは「結局、いくら必要なの?」ということではないでしょうか。ここでは、自己資金の目安、投資戦略、そして見落としがちな諸費用について解説します。
● 自己資金の目安
● 不動産投資ローン
● 購入にかかる諸費用
自己資金の目安
一棟マンションを購入する際、一般的に物件価格の10~20%程度の自己資金が必要だと言われています。例えば、1億円の物件であれば、1,000万~2,000万円が自己資金の目安です。
自己資金の割合は、投資効率やリスク管理に大きく影響します。ここでは、自己資金に余裕がある場合と、自己資金を抑えて投資を始める場合のメリット・デメリットを見ていきましょう。
・自己資金に余裕がある場合
自己資金を多めに準備すると、金融機関からの借入金額を減らせるため、毎月の返済負担が軽くなります。月々のキャッシュフローに余裕があれば、空室が出ても経営への影響を抑えることが可能です。
【メリット】
●ローン返済額を抑えられ、キャッシュフローに余裕が生まれる
特に、不動産投資が初めての方は、いきなり高額なローンを組むよりも、まずは安定した運営を重視するのが賢明です。
・自己資金を抑えて投資を始める場合
手元資金が限られていても、不動産投資ローンを活用すれば、自己資金以上の物件を購入できます。これは「レバレッジ効果」と呼ばれ、自己資金以上の投資ができるというメリットがあります。
ただし、次の3点には注意が必要です。
【デメリット】
●ローン返済の月々の負担が大きくなり、家賃収入が減少すると資金繰りが悪化するリスクが高まる
●自己資金が少ないと、融資条件が厳しくなり金融機関の審査が通りにくいケースがある
●借入金額が大きいため、総額で支払う利息が高額になる
自己資金が少ないなかで、収益性の高い高額物件を購入し、過度にレバレッジをかけると、ローン返済の負担はさらに重くなります。計画通りの家賃収入を得られなければ、資金繰りが急速に悪化し、経営破綻のリスクも高まります。
特に初心者の場合は、自己資金の範囲内で無理のない投資から始め、経験を積みながら徐々に投資規模を拡大していく戦略が堅実です。
不動産投資や資金調達のコツについて詳しく知りたい方は、下記の記事もご覧ください。
頭金ゼロでも買える?不動産投資の資金調達のコツを教えます!
少額の不動産投資とは?4つの種類とメリット・デメリットを徹底解説
不動産投資ローン
不動産投資ローンの融資額は、借り手の年収や物件の収益性によって決まります。金融機関は、利回りが高く、空室率が低い物件を評価しやすい傾向にあります。
金利は住宅ローンよりも高く、金融機関の種類や金利タイプによって異なりますが、年2~4%程度が一般的です。金利が高い分、利息も含めた返済の総額が大きくなるため、物件選びの際は、この点を考慮することが大切です。
購入にかかる諸費用
不動産を購入する際は、物件価格以外にもさまざまな諸費用が発生します。諸費用は、物件価格の7〜10%程度かかります。
項目 | 費用 |
---|---|
仲介手数料 |
200万円以下 200万円以上400万円以下 400万円以上 |
印紙代 | 1~48万円(契約書に記載された金額に応じて決められる) |
登録免許税 |
所有権移転登記(土地・建物):2% 所有権保存登記(新築物件):0.4% 抵当権設定登記:0.4% |
不動産取得税 | 不動産の課税標準額 × 税率 |
ローン事務手数料 | 定額型:3~10万円程度 定率型:借入額の1~3%程度 |
ローン保証料 | 金利上乗せ型:金利に0.2~0.3%程度を上乗せした額 一括払い型:借入額の2~3%程度 |
司法書士報酬 | 5~15万円 |
火災保険料 | 区分マンションでは年間5~10万円(物件の種類によって異なる) |
地震保険料 | 東京都のイ構造 27,500円(建物の構造や地域によって異なる) |
固定資産税 | 課税標準額×税率1.4% |
都市計画税 | 土地または家屋の評価額×税率 |
マンション一棟買いは大きな投資ですが、事前に資金計画をしっかり立てることで、リスクを抑えながら安定した賃貸経営が可能になります。焦らず、ご自身に合った投資プランを見つけましょう。
不動産投資にかかる初期費用について詳しく知りたい方は、下記の記事もご覧ください。
不動産投資の初期費用はいくら?9つの項目・節約術を完全ガイド
一棟マンションの購入・運用で押さえておきたい重要ポイント

ここでは購入前、購入後、そして売却時まで、それぞれのステップで知っておくべきポイントをわかりやすく解説します。
● 購入前のチェックポイント
● 賃貸経営を成功させるためのポイント
● 売却時に覚えておきたいポイント
購入前のチェックポイント
一棟マンションの購入で失敗しないためには、徹底した事前調査と、将来を見据えた判断が不可欠です。特に、エリアの需要、物件の状況、資産価値の変動を確認し、適切な判断を行うことが大切です。
・エリアを慎重に選定する
物件の立地条件は、賃貸需要に大きく影響します。下記のポイントを参考に、慎重にエリアを選定しましょう。
チェックポイント | 詳細 |
---|---|
駅からの距離 | 最寄り駅から徒歩10分以内の物件は、通勤や通学に便利なため、安定した需要が見込めます。ただし、地方では駅からの距離だけでなく、車移動の利便性も考慮する必要があります。 |
周辺の家賃相場の推移 | エリア選定においては、最寄り駅からの距離だけでなく、周辺エリアの家賃相場の推移にも着目しましょう。新築、築浅、築古物件それぞれで、過去の家賃の動きを確認し、将来の賃料水準や売却価格を予測するうえでの参考にしてください。 |
商業施設の有無 | 大型商業施設や商店街などが近隣に所在するエリアは、生活利便性が高く、幅広い層からの賃貸需要が期待できます。 |
再開発エリア | 再開発が進行中のエリアは、将来的な賃貸需要の増加や資産価値の向上が期待できるため、注目すべきポイントです。 |
人口推移 | 人口が減少傾向にあるエリアでは、将来的に空室リスクが高まる可能性があります。過去の人口推移や、今後の都市開発計画を確認しておきましょう。 |
・物件の状態と修繕履歴を確認する
建物の状態と修繕履歴は、将来の維持費を予測するうえで非常に重要です。次のポイントを確認し、リスクを把握しましょう。
チェックポイント | 詳細 |
---|---|
築年数 | 築15~20年の物件は、価格が落ち着いている傾向が見られます。ただし、エリアの特性、物件の管理状態、市場動向、大規模修繕の実施時期などによって、大きく異なります。 |
修繕履歴 | 過去の修繕工事が適切に実施されているかを確認し、将来発生し得る修繕費用を予測しましょう。 |
管理状況 | 購入前に、管理組合の運営状況や修繕計画を詳細に確認し、修繕積立金が適切に管理されているかを確認することが大切です。 |
構造 | 一般的に、RC(鉄筋コンクリート)造やSRC(鉄骨鉄筋コンクリート)造の建物は、木造に比べて耐久性が高く、法定耐用年数も長いため、長期的な資産価値の維持が期待できます。ただし、建築コストや固定資産税、修繕費用は高額になる傾向があるため、注意が必要です。 |
・資産価値の変動を予測する
資産価値を長期的に維持するためには、将来的な需要動向を見据えた物件選びが大切です。そのためには、エリアの将来性、物件の個別要素、および周辺競合物件の状況などを総合的に評価することが不可欠です。
チェックポイント | 詳細 |
---|---|
エリアの将来性 | 近隣の再開発計画や商業施設の進出情報などを調査し、エリアの将来性を確認しましょう。 |
相場から乖離した価格の物件 | 相場より大幅に安い物件には、需要の低下や修繕積立金の不足など、隠れたリスクが存在するおそれがあります。 |
賃貸経営を成功させるためのポイント
購入後は、安定した賃貸経営を実現することが目標となります。ここでは、リスク管理と収益性確保の観点から、重要なポイントを解説します。
・空室リスクを減らす
空室は、家賃収入の減少に直結し、ローン返済にも影響を与えかねません。エリアの賃貸需要を的確にとらえ、競合物件との差別化を図ることが重要です。
チェックポイント | 詳細 |
---|---|
ターゲット層に合わせた設備 | ペット飼育可、家具家電付き、無料Wi-Fiなど、ターゲット層に合わせた設備を導入し、競合物件との差別化を図りましょう。 |
適正な家賃設定 | 周辺の家賃相場を調査し、適正な家賃を設定することが重要です。 |
効果的な募集活動 | 広告掲載やSNS活用など、効果的な募集活動を行い、早期の入居者確保を目指しましょう。 |
・維持管理費を把握する
共用部分や設備の維持管理には、定期的な費用が発生します。突発的な大規模修繕が発生した場合、経営を圧迫する要因にもなりかねません。
チェックポイント | 詳細 |
---|---|
計画的な修繕積立金の積み立て | 将来の大規模修繕に備え、修繕積立金を計画的に積み立てておくことが重要です。 |
定期メンテナンスの実施 | 定期的なメンテナンスを実施することで、設備の故障や劣化を早期に発見し、建物の良好な状態を長く保ちましょう。 |
・自然災害のリスクに備える
地震や火災などの自然災害は、賃貸経営に甚大な影響を及ぼす恐れがあります。
チェックポイント | 詳細 |
---|---|
将来的な災害リスクの考慮 | 地形図やハザードマップ、過去の災害事例などから、将来的に物件がどのようなリスクにどの程度の確率で晒される可能性があるのか、慎重に確認しましょう。 |
耐震性の確認と補強工事の検討 | 物件の耐震性を確認し、必要に応じて補強工事を検討しましょう。 |
保険加入によるリスクヘッジ | 一棟マンションは区分所有に比べ建物全体の価値が非常に大きく、巨大な損失リスクを防ぐために火災保険や地震保険への加入を強く推奨します。なお、地震保険は単体での加入はできず、火災保険とセットで加入が必要です。 |
防災計画の策定と周知 | 災害発生時の対応手順などを定めた防災計画を策定し、入居者へ周知徹底を図ることが重要です。 |
売却時に覚えておきたいポイント
一棟買いは売買価格が高額なため、購入後に物件が値上がりすると大きなキャピタルゲインも狙えます。ただし、将来、物件を売却する際には、下記の点に注意が必要です。
● 一棟買いは売却に時間がかかる場合がある
● 売却時に税金が発生する
・一棟買いは売却に時間がかかる場合がある
一棟マンションは区分所有物件と比較して購入を検討する層が限られるため、売却に時間がかかることがあります。特に地方物件や収益性の低い物件では、買い手を見つけるのが難しくなる可能性があります。
・売却時に税金が発生する
不動産売却によって利益が生じた(購入時の価格より高額で売却できた)場合、譲渡所得税などの税金が発生します。税額は、所有期間や物件の種類などによって異なりますので、事前に確認しておきましょう。
また、確定申告の際には、所得税と併せて2037年までの売却においては復興特別所得税(基準所得税額の2.1%)も申告・納付が必要です。
譲渡所得税の種類(所有期間) | 税率 |
---|---|
短期譲渡取得税(5年以下) | 39.63%(所得税30%・住民税9%・復興特別所得税0.63%) |
長期譲渡取得税(5年以上) | 20.315%(所得税15%・住民税5%・復興特別所得税0.315%) |
一棟マンション購入の流れ

一棟マンションの購入は、大きな決断です。ここでは、購入までの流れを3つのステップに分けて解説します。
1. 準備と情報収集
2. 物件選定と購入申し込み
3. 決済と物件引き渡し
ステップ1.準備と情報収集
まず始めに、投資目的を明確にしましょう。
【チェックポイント】
● キャピタルゲイン(売却益)を狙うのか
● インカムゲイン(家賃収入)を重視するのか
投資目的が定まったら、資金計画を立てます。自己資金と融資額を具体的に検討し、無理のない返済計画を考えましょう。
情報収集は、不動産投資サイトで物件情報を検索したり、不動産会社に問い合わせたりすることから始めます。野村不動産ソリューションズの投資用・事業用不動産サイト「ノムコム・プロ」では、価格や利回りといったさまざまな条件から目的の物件を探せます。ぜひチェックしてみてください。
関心のある物件が見つかったら、収支シミュレーションを行いましょう。家賃収入、経費、ローン返済額などを試算し、キャッシュフローや投資指標(表面利回り、実質利回りなど)を確認します。
なお野村不動産ソリューションズでは、不動産投資に関する豊富な実績をもとに、物件選びから収支計画のアドバイスまで、幅広くサポートを提供しています。立地や物件の選定、資金計画についてお悩みの方は、ぜひご相談ください。
ステップ2.物件選定と購入申し込み
購入したい物件が決まったら、買付証明書を仲介会社に提出します。買付証明書とは、物件購入の意思表示をするための書類で、購入希望価格や引渡し希望時期などを記載します。金額交渉もこの段階で行うことが通例です。
そして買付証明書の提出と並行し、金融機関に融資の事前審査(仮審査)を申し込みます。
事前審査を通過したら、重要事項説明を受けます。この際、法令上の制限、契約内容、リスクなどの説明を受けるため、不明点は必ず確認しましょう。
売主と買主の双方が合意に至れば、売買契約の締結です。契約書の内容を十分に確認し、問題がなければ署名・捺印を行い、手付金を支払います。
ステップ3.決済と物件引き渡し
売買契約締結後は、金融機関に融資の本審査を申し込みます。事前審査を通過していても、本審査で承認されない場合もあるため、注意が必要です。
融資が承認されたら、金融機関とローン契約を締結し、決済(残代金の支払い)に進みます。決済手続きが完了すると融資が実行され、物件の引き渡し、そして所有権移転登記を行います。
今回は、一棟マンション購入の流れを3つのステップに絞って紹介しました。さらに詳しい不動産投資の流れを知りたい方は、下記の記事をご覧ください。
【9ステップ】不動産投資の正しい始め方を初心者向けに完全ガイド
一棟マンション情報をチェックして理想の物件を見つけよう!

一棟マンションを購入するには、自己資金として物件価格の10~20%を目安に準備し、不動産投資ローンを上手に活用することで、より多くの選択肢から物件を検討できます。
購入前には、エリアの需要や資産価値の変動を調査し、長期的に収益が得られる物件を選びましょう。
購入後の運営では、空室を減らす工夫や自然災害に備える対策が求められます。将来の売却を考える場合、売却に時間がかかる可能性や税金負担を見越して準備を進めることで、安心して運用を続けられます。
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