子育てファミリーのための
「お金」のレッスン
学校では教えてくれない「お金の基本」や、毎日忙しい子育て世代にこそ知ってほしい「お金の使い道」をレクチャーします!
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子育てファミリーのための
「お金」のレッスン
学校では教えてくれない「お金の基本」や、毎日忙しい子育て世代にこそ知ってほしい「お金の使い道」をレクチャーします!
2015.09.14vol.9
最近は、結婚・出産後も働き続ける女性が増えて、小さいお子さんがいながらも、共働きのご家庭も多くなりました。
そんなご家庭にとっては、日々、「おじいちゃん・おばあちゃんの助け」は大きいことでしょう。保育園の送迎や急な病気など、祖父母の出番はたくさんありそうです。
そして、住宅の購入を検討されるご家庭においても、おじいちゃん・おばあちゃんの力は大きいです。祖父母からの資金援助が決め手になる制度があったり、二世帯住宅の場合は、精神的なメリットに加え、経済的なメリットも大きいです。今回は、二世代にわたる住宅購入について考えてみましょう。
平成27年の税制改正で、新たに、住宅資金における贈与税の非課税枠が拡大されました。父母や祖父母といった直系尊属からもらった住まいのお金は、一定の要件をみたすと、税金がかかりません。
平成27年12月31日まで、省エネ住宅など一定基準を満たす住宅の場合 1,500 万円まで、一般の住宅の場合 1,000 万円までが非課税です。それ以降、図表のように、毎年少しずつ非課税枠は変わりますが、平成31年6月末日までこの制度は続きます。
年間110万円の基礎控除と併用できる制度なため、平成27年は、合計すると1,610万円(一般の住宅の場合には1,110万円)まで贈与税がかからず、贈与が受けられます。非課税枠が大きいので、贈与を受ける側にとって有難いで制度ですが、贈与する側にとっても、相続対策が必要な場合、財産を減らす有効な方法です。
住宅取得等資金の贈与税の非課税(消費税8%時)
ただし、もし利用される場合は、次の注意点を忘れずに確認してください。
1)直系卑属であること。
妻の両親が、妻に贈与するなら無税ですが、夫に贈与する場合にはあてはまりません。もちろん、夫の両親が、夫に贈与するなら該当します。ただし、言い換えれば、受贈者それぞれ1,500万円ずつ(省エネの場合で一定基準を満たす住宅)非課税になり、ご夫婦では3,000万円+基礎控除220万円(=2人分)を非課税にすることが可能です。
2)確定申告が必要なこと。
贈与を受けた年の翌年3月15日までに確定申告が必要です。税金がかからないからといって、何もしなくても良い訳ではありませんので、後から、贈与税の追徴を受けたりしないよう注意しましょう。
3)適用を受けるためには条件を満たすこと。
省エネ等住宅の場合、その基準を満たしているか、また、一般の住宅においても住宅の登記簿上の床面積が50m2以上240m2以下で、2分の1以上居住用に使われているかといった細かな条件が定められており、条件を満たす必要があります。
贈与税の非課税制度の話をすると、「うちは、おじいちゃん・おばあちゃん自身の老後生活があるから、とてもお金なんてもらえないわ」とおっしゃる方もいます。
そんな場合は、お金をもらうのではなく、借りることがあります。今、低金利時代とはいえ、銀行から借りる金利と預ける金利では差があります。そのため銀行から住宅ローンを借りるつもりの一部を親から借りることを検討される方がいらっしゃいます。
ただし、お金の「借りる」と「もらう」は、まったく別のものに注意。たとえそれが親からもらう場合であっても、税金の世界では贈与とみなされ、後から「贈与税」が発生しないようすることがポイントです。
そのために、
1) 「もらったのではなく、借りている」証拠として契約書(借用書)を作成すること。
2) しっかり返済計画を作成し、実行すること。
借りる利息や期間が現実的でなければ、贈与とみなされるかもしれません。
また、「出世払い」や「あるとき払い」ではなく、銀行振り込みで返済するのがベストでしょう。
次に、資金援助だけでなく、実際に一緒に住む二世帯住宅を建てる場合を考えてみましょう。
二世帯住宅を建てる経済的なメリットとして、不動産取得税や固定資産税といった税金の軽減額において、2戸分の適用を受けられることがあります。
親の土地に、2世帯住宅を建てたとしましょう。親が亡くなって、子どもが相続する場合、同居をしているならば、親の土地の評価額が下がり、相続税対策にもなります。
これが「小規模宅地等の特例」という制度です。適用になると、相続時の土地の評価は80%の減額。
つまり、5000万円の土地の評価額ならば、80%減額され1000万円に!
この制度の利用ができれば相続税対策が必要ないご家庭も多いかもしれません。
いいことづめに感じられる二世帯住宅ですが、注意したいのは、間取りと登記のしかたです。二世帯住宅の登記の仕方には、「区分登記」「単独登記」「共有登記」があります。
区分登記するためには、親と子でそれぞれ別の住宅として2戸と言えるよう、構造上・機能上、独立性を確保する必要があります。完全分離型の間取りにして「区分登記」をすると、不動産取得税や固定資産税等で2戸分の軽減額が認められやすいです。
ただし、一方で、相続税対策としては、区分登記ですと、小規模宅地等の評価額の特例が受けられません。税負担の軽減を重視するのか、相続税対策が必要なのかを注意して二世帯住宅を建てましょう。
いずれにしても、住宅という大きな買い物。これを機に、理想の住まいづくりに向けて、家族みなさんで「マネー会議」をしてみましょう。