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住宅ローンコラム FP菱田雅生が伝授!住宅ローン、賢く利用するためのコツ

頭金が貯まるまで待つべき、それとも今すぐ動くべき?

2020年05月08日

「マイホームを買いたい」とか「マイホームを建てたい」という気持ちが芽生えた際に頭に浮かぶのは、頭金がきちんと貯まるまで待つか、一刻も早く住宅ローンを組んで買ってしまうか、ということではないでしょうか。実は、待ったほうがいい人と、急いだほうがいい人がいます。今回は、その違いをわかりやすく解説します

頭金が貯まるまで待ったほうがいい人とは

以下のいずれかに当てはまる人は、急がずに待ったほうがいいです。

(1)貯金がほとんどない人
(2)自分の家計をきちんと把握できていない人
(3)結婚したばかりの人
(4)子どもが生まれる可能性のある人
(5)教育資金や老後資金の準備も考慮した安全な資金計画を立てられていない人

(1)貯金がほとんどない人

貯金ができない家計の状態の人がマイホームを買うというのは、おすすめできません。最低でも1、2年は計画を立てて貯蓄のできる家計にしていくことが重要です。毎年コンスタントに貯蓄ができるような家計になってから、安全なマイホーム取得の資金計画を立てるようにしましょう。

(2)自分の家計をきちんと把握できていない人

必ずしも毎日きちんと家計簿をつけていなければダメというわけではありませんが、最低でも年間ベースでの収入と支出、そして貯蓄の状況は把握しておくことが重要です。把握することで、安心して返済していける金額がどの程度かを見積もることができ、将来のための貯蓄とのバランスがとれた返済計画を立てやすくなるでしょう。

まずは1年間を通して家計簿をつけてみましょう。無料の家計簿アプリなどを使って、支出の状況をチェックしてみてください。頭金の積立計画も立てて、実行してみましょう。家計簿をつけるだけでも、多少は無駄な出費を減らす効果が期待できます。マイホーム購入後の家計を予想するためにも現状の家計を把握することはとても重要です。

なお、(1)か(2)に当てはまる人で、例外的に急いでもいい人は、現在、高額の家賃を支払っていて、マイホームを買ったほうが明らかに住居費の負担が軽くなり、きちんと貯蓄ができる家計になるということが確実な場合です。60歳や65歳までに返済が終わるような安全な資金計画で、かつ教育資金や老後資金の貯蓄も問題なくできるようなケースが該当します。

(3)結婚したばかりの人

新しいマイホームで新婚生活を始めることに憧れる人もいるかもしれませんが、結婚後の家計がどうなるかは、実際に生活を始めてみないとわかりづらいものです。何年間も一緒に暮らしていて、結婚後の家計の把握も予想できているカップルであれば大丈夫かもしれませんが、そうではない場合は、家計が安定するまで1、2年は待ったほうがよいでしょう。

家計が安定するまでに貯蓄計画をきちんと立てて、実行できるかどうかを確認することも重要です。結婚後の最初1、2年の間はとても大切です。夫婦で話し合いながら、何にどのくらいお金を使い、どのように貯金をしていくのかを決めていきましょう。マイホームの資金計画を立てるのはそれからです。安心できる返済計画を立てるためにも、家計簿をきちんとつけてチェックしていくようにしましょう。

(4)子どもが生まれる可能性のある人

(3)と同様ですが、子どもが生まれた後の家計は、子どもが生まれてみないと正確にはわかりづらいでしょう。特に共働きの場合は、育児休業やその後の職場復帰は、必ずしも想定通りにいくかどうかがわかりません。職場復帰できない可能性もゼロではないでしょう。

簡単に言うと、ライフプランの変化の可能性がある場合は待った方が良いという判断もあり得るということです。それまでの間は、妻の収入は全額を貯金に回すなど、頭金をしっかりと貯め、ライフプランの変化があっても対応できるような家計にしておくのがベターでしょう。

2人目や3人目の子どもが生まれる可能性がある人も同様のことが言えるでしょう。すでに子どもがいる場合はそれほど大きな家計の変化は起きにくいかもしれませんが、子どもが増える分だけ教育費の準備に回すべきお金が増えます。それらをきちんと考慮できていない場合は、待ったほうが安全でしょう。

(5)教育資金や老後資金の準備も考慮した安全な資金計画を立てられていない人

住宅資金にお金をかけ過ぎれば、必ず教育資金や老後資金など、その他の資金準備にしわ寄せがいくことになります。教育資金や老後資金にどの程度のお金を回すのか、それがある程度わかったうえで住宅資金に回すお金を考えていくほうが、より安全な資金計画を立てることができるでしょう。

「マイホームの取得」だけをを目標とするのではなく、マイホームを取得したあとの「ゆとりのある生活」を目標にしたほうが、安全安心なマイホーム取得につながるでしょう。住宅ローンも、「いくら借りられるか」で考えるのではなく、「いくらなら返せるか」を考えるのが安全安心につながります。

急いだほうがいい人とは

では、一刻も早く住宅ローンを組んで買ったほうがいい人とはどのような人かというと、(1)~(5)のいずれにも当てはまらない人です。貯金もそこそこあって、家計の把握ができていて、今後のライフプランの変化要素もなく、教育資金や老後資金の準備も考慮した安全な資金計画が立てられているのであれば、急いでも問題ありません。お金を貯めていく時間や、その間の家賃負担がもったいないです。

もちろん、頭金をたくさん貯めることができれば、借入金額を少なくすることができるので、トータルの住居費負担を軽くすることができます。例えば、諸経費込みで4,000万円の物件を買う場合、頭金を含めたトータルの返済額を比較すると下表のようになります。

借入金利1.5%(全期間固定)、返済期間25年、元利均等返済ボーナス返済なしで計算

頭金 借入金額 毎月返済額 総返済額 頭金+総返済額
0円 4,000万円 159,974円 4,799万円 4,799万円
100万円 3,900万円 155,975円 4,679万円 4,779万円
500万円 3,500万円 139,977円 4,199万円 4,699万円
1,000万円 3,000万円 119,980円 3,599万円 4,599万円
2,000万円 2,000万円 79,987円 2,400万円 4,400万円

やはり、頭金を多く入れたほうがトータルの住居費負担は軽くなります。しかし、この試算例で言えば、これから頑張って頭金を100万円増やしたとしても、トータルで20万円くらいしか負担は軽くなりません。頭金を100万円増やすのに1年かかる場合、その1年間の家賃負担は簡単に20万円を超えてしまうのではないでしょうか。

だからこそ、教育や老後も考慮した安全な資金計画が立てられるのであれば、頭金を貯めていく時間がもったいないので、一刻も早く住宅ローンを組んで買ったほうがいいと考えられます。

くれぐれも、誰もが急いだほうがいいというわけではないのでご注意ください。今回は、マイホームを買うことが確定している人で、待ったほうがいい人と急いたほうがいい人との違いをまとめました。いづれにしても慎重に検討を重ねるようにしましょう。

なお、超低金利や住宅ローン減税の拡充、不動産価格の上昇などといった外部要因を理由に、待つか急ぐかを考えるのはあまりおすすめできません。外部環境がどのように変化するのかは、誰にも正確には予測ができないからです。マイホーム取得のタイミングは、自分と家族のライフプランと家計の状態から判断するようにしましょう。

執筆者:菱田雅生(ひしだまさお)

ファイナンシャル・プランナー(CFP、1級FP技能士)、1級DCプランナー、住宅ローンアドバイザー

1969年東京生まれ。早稲田大学法学部卒業後、山一證券に入社し支店営業を経験。山一證券自主廃業後、独立系FPに。以後20年以上にわたり、資産運用や住宅ローンを中心とした相談、執筆、講師業に従事。2000年以降の講演回数は4,000回を突破!(2020年2月現在)。近著には「お金を貯めていくときに大切なことがズバリわかる本」(すばる舎リンケージ)がある。

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