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住宅ローンコラム 知っておきたい!住宅ローンテクニック

住宅ローンやってはいけないNG集3<その他>

2017年07月03日

昨年、好評だった住宅ローンやってはいけないNG集1<借入時編>住宅ローンやってはいけないNG集2<返済中編>の続編として、どちらにも入らなかったNG集を取り上げます。まさかこんなNGはないだろうと思いきや、実際に目にすることもあるのでご注意ください!

住宅ローンの仮審査がおりた後の転職はNG!?

金融機関から住宅ローンを借入れる際には、最低勤続年数が定められています。通常は2~3年ですが、中には1年程度のところもあります。その一方で、最近は転職も珍しくなく、不用意に転職をした結果、希望していた住宅ローンが借りられないケースも見られます。

住宅ローンを借りる際、まずは「仮審査」を受けます。これは、正式な審査ではなく、あくまでも「借りられそうかどうか」を確認するためのものです。仮審査を受けた時点で、販売業者などから「住宅ローンは大丈夫ですよ。」「審査は通りそうですよ。」などと言われ、ひと安心するかもしれません。しかし、住宅ローン契約を結ぶのは本審査の後なのです。

実はこのとき、審査要件の中には、勤続年数なども含まれているのですが、そうとは知らずに同時に進めていた転職がその直後に決まった、などという例もあります。そのため、家も職場も新しくなって新スタート!などと思っていたら、仮審査が通っていた金融機関なのに本審査が通らなかったという事態にも...。

最近は、勤続年数が住宅ローンを借りる際の要件にあるという知識も広まって知られつつあるので、こういった「うっかり」も減ったように思いますが、住宅ローンを借りる際には直前の転職は原則、NGです。

「原則」と書いたのは、「フラット35」には勤続年数の制限がないためです。仮審査後などにうっかり転職をしてしまったときや、勤続年数で住宅ローンの借入れが心配なときなどは「フラット35」を優先的に候補にして検討する手はあります。

「共働きだから必ず2人で住宅ローン控除を分ける」はNG

共働き夫婦で、1人だと住宅ローン控除による税金が還付しきれない場合に、夫婦2人で住宅ローン控除を受けることはよくあります。そのために2人で住宅ローンを組む場合のほか、収入合算をして住宅ローンを借り、それが「連帯債務」となる場合に住宅ローン控除を分けることができます。

参照:夫婦2人で住宅ローンを組むメリットと注意点(https://www.nomu.com/loan/column/toyoda/20160803.html)

しかし、だからといって、単純に「共働きは2人で住宅ローン控除を分けた方がおトク」と考えていいかというと、そうとはいえません。NGの場合もあります。

ありがちなのは、あまり深く考えずに住宅ローン控除を夫婦で折半し、その後、子供が生まれて妻が仕事を辞めたため、分けたことが逆に非効率になるというケースです。特に、妻が育児などで仕事を辞める可能性がある場合は、初めから夫1人で住宅ローン控除を利用できるような借り方にする選択もあるでしょう。産休・育休中は所得も低くなり(育休中は当初半年は所得の67%、その後半年は50%にダウン)、住宅ローン控除で戻る税金がかなり少なくなる可能性もあります。じっくり検討が必要です。

健康状態を気にせずに住宅ローンを検討するのはNG

住宅ローンは、原則として健康でないと借りられないのをご存知でしょうか。民間金融機関の住宅ローンのほとんどには、借入れ要件として、「団体信用生命保険に加入できること」という項目があります。団体信用生命保険とは、借入れた人が高度障害や亡くなった場合に支払われる保険金で住宅ローン残高を完済するためのものです。最近ではがんや三大疾病、その他所定の八疾病などで所定の状態になったときにも払込が免除される団信もあります。これにより、万一のことがあっても遺族に負債を残さずに済みます。

しかし、この団信、健康状態が良好でないと加入できません。そのため、持病があって団信に入れないことで、希望する住宅ローンを借りられない場合もあります。最近は、ワイド団信といって、持病があっても入れる団信もありますが、金利に+0.3%程度上乗せになるなどコストがかかります。
「フラット35」や一部の民間金融機関の住宅ローンに団信が任意になっているものもあるので、それを検討する手もあります。

持病がある、健康状態が心配というときは、まずは今の健康状態で借りられるかどうかから考えてみましょう。まずは団信付きで申し込んでみて、住宅ローンが借りられないときにワイド団信付きにするのか、団信なしでいくのかを考えます。団信なしでも、一般の保険に高額で入っているなどでリスクがカバーできるのであれば、問題はないでしょう。

住宅ローンの借換えも、やれば金利の節約になるのは知っていても「面倒だから」と先送りしていると、健康状態によっては有利な借換えができなくなる可能性もあります。健康なうちに実施しておいた方がいいでしょう。

借換える予定なら収入合算をした妻の離職はNG

借換えをしようと金融機関を訪れて相談をしたところ、返済負担率の問題で借りられないケースがまれにあります。

返済負担率とは、年間の住宅ローンの返済額を年収で割ったもので、住宅ローンが年収のどれくらいを締めるのかをみるものです。年収によって25~35%など金融機関や住宅ローンによって決められています。この縛りは借換えの際にも影響します。そのため、年収が極端に下がったりしたときには、借換えができない場合が出てくるのです。

年収が下がるケースの1つが、収入合算をして借りたのに、妻が育児・介護などで仕事を辞めた場合です。収入合算で借りていたことをすっかり忘れて借換えようと相談をしたところ、返済負担率によって借換えができないケースも。

そのため、収入合算をして借りた場合、借換える予定が少しでもあるなら、妻が仕事を辞めるのはNGです。あるいは、辞める前に借り換えを済ませてしまいましょう。


今回は4つのNGを取り上げました。住宅ローンは借りた後は放置しがちですが、こうしたNGに陥らないよう、記憶の片隅に置いておくといいでしょう。住宅ローンは、返し終えるまで付き合わなくてはならないのです。できるだけ「しまった!」という事態は避け、ほどよい距離感で付き合っていきましょう。

参照コラム
住宅ローンやってはいけないNG集1<借入時編>
住宅ローンやってはいけないNG集2<返済中編>

執筆者:豊田 真弓(とよだ まゆみ)

ファイナンシャルプランナー、住宅ローンアドバイザー
FPラウンジ ばっくすてーじ代表。経済誌・女性誌等のライターを経て94年よりFPとして独立。「家計の永続性」をテーマに、個人相談や講演・研修、雑誌や新聞、サイトへの寄稿、監修などを行う。「住宅ローン賢い人はこう借りる」(PHP研究所)、「50代家計見直し術」(実務教育出版)など著書多数。座右の銘は「今日も未来もハッピーに」。

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