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住宅ローンコラム 知っておきたい!住宅ローンテクニック

知っトク!過去最低金利をマークしたフラット35に関する5つのギモン

2019年08月07日

過去最低金利をマークして、ますます注目されるフラット35。ラインナップも多く、やや複雑でわかりにくくなっているフラット35について、5つのギモンを取り上げてみました。住宅ローンを借りる人もすでに借りている人もぜひご一読ください。

【目次】
ギモン1・フラット35の金利はどう決まる?長期金利も影響するの?
ギモン2・子育て世代等は金利引下げがダブルで受けられるってホント?
ギモン3・「ダブルフラット」や「フラット35パッケージ」ってどう使う?
ギモン4・「金利引継特約付きフラット35」って何ですか?
ギモン5・フラット35・フラット20は借換えにも利用できるってホント?

ギモン1
フラット35の金利はどう決まる?長期金利も影響するの?

フラット35は、民間金融機関と住宅金融支援機構が提携して提供している全期間固定の住宅ローンです(「証券化」というしくみを使って投資家から資金調達を行っています)。保証料は不要で、繰上返済手数料も無料といった機構が定めた商品概要は共通ですが、金利や融資手数料などは金融機関で異なります。

省エネルギー性、耐震性など質の高い住宅の取得を取得する場合には、金利を一定期間引き下げるフラット35Sも利用できます。フラット35リノベ、フラット35子育て支援型・地域活性化型をはじめラインナップも多彩です。

図表1 期間で見たラインナップ
フラット35 民間金融機関と住宅金融支援機構が提携して提供する最長35年の全期間固定金利住宅ローン。 質の高い住宅を取得する場合、 借入金利を一定期間引き下げる制度(フラット35S)を利用できる。
フラット20 フラット35で、15年以上20年以下の借入期間を選択したもの。
フラット50 長期優良住宅を対象とした最長50年の全期間固定金利住宅ローン。

このフラット35ですが、2019年8月に最多金利1.17%(融資率9割以下、借入期間21年以上、新機構団信付)と過去最低をマーク。フラット20でも同1.11%と同じく過去最低。かつて、4%台の住宅ローンを利用していた身としては、うらやましい限りです。

ギモンにあるフラット35の金利の決まり方ですが、やや複雑です。フラット35は「証券化」という仕組みを利用して資金調達を行っています。そのため、金融機関が貸出したフラット35の債権は住宅金融支援機構が買い取り、これを担保に機構MBS(資産担保証券)を販売しています。

機構MBSの金利自体は、長期金利(新発10年国債利回り)をベースに計算されています(毎月20日前後)。さらに、住宅金融支援機構や金融機関のコストや利益分の金利がプラスされた形で各金融機関のフラット35の金利が決定します。一般の固定金利同様、フラット35の金利も長期金利の影響を大きく受けているといえます。

ギモン2
子育て世代等は金利引下げがダブルで受けられるかも?

フラット35子育て支援型・地域活性化型とは、子育て支援や地域活性化について積極的に取組む自治体と住宅金融支援機構が連携し、住宅取得に対する自治体の補助金交付などとセットでフラット35の金利を、当初5年間0.25%引き下げる制度です。住宅金融支援機構と協定を締結し、連携する自治体に限ります。フラット35子育て支援型・地域活性化型を利用するには、自治体から「利用対象証明書」の交付を受ける必要があります。

連携自治体⇒コチラで確認を

図表2 フラット35子育て支援型・地域活性化型
金利引下げ期間引下げ幅備考
フラット35子育て支援型 当初5年 ▲0.25% 2020年3月31日までの申込受付分に適用。ただし、予算金額に達する見込みとなった場合は、受付終了。
フラット35地域活性化型

このフラット35子育て支援型・地域活性化型は、物件の条件が合えばフラット35Sとの併用が可能です。また、中古住宅を購入して性能向上リフォームを行う場合や、住宅事業者により性能向上リフォームが行われた中古住宅を購入する場合は、フラット35リノベを併用することもできます。

併用した時の金利引下げ期間や引下げ幅は図表3の通りです。効果をわかり易くするため、総返済額で比較したものも加えてあります。借入額3,000万円、借入期間35年、元利均等返済、ボーナス返済なし、借入金利年1.25%と仮定して試算してみたところ、一般のフラット35を利用した場合(約3,706万円)に比べ、フラット35子育て支援型・地域活性化型であれば軽減は約39万円のところ、フラット35S(金利Aプラン)併用で約110万円、フラット35リノベ(金利Aプラン)併用で約166万円。なかなか大きいものがあります。

期限や予算がありますが、そろそろマイホームをと思ったときは、連携自治体かどうかを確認してみるといいですね。

図表3 金利引き下げの効果
条件引下げ期間引下げ幅総返済額*軽減額(フラット35比)
フラット35子育て支援型・地域活性化型 当初5年 ▲0.25% 約3,667万円 約39万円
フラット35子育て支援型
フラット35地域活性化型
× フラット35S(金利Aプラン) 当初5年 ▲0.5% 約3,596万円 約110万円
6年目~10年目 ▲0.25%
フラット35S(金利Bプラン) 当初5年 ▲0.5% 約3,629万円 約77万円
フラット35リノベ(金利Aプラン) 当初12年 ▲0.5% 約3,540万円 約166万円
フラット35リノベ(金利Bプラン) 当初7年 ▲0.5% 約3,601万円 約105万円
参考:フラット35 約3,706万円
*借入額3,000万円、借入期間35年、元利均等返済、ボーナス返済なし、借入金利年1.25%で試算

ギモン3
「ダブルフラット」や「フラット35パッケージ」ってどう使う?

住宅ローンを組む際には、ライフプランに合わせて返す目的で、あえて住宅ローンを2本にして借りる方法があります。あるいは、リスクを分散させる目的で、全期間固定金利と変動金利を組み合わせる借り方もあります。フラット35でも、ダブルフラットやフラット35パッケージを活用して同様のことが可能です。

<ダブルフラット>
ダブルフラットは、将来の返済負担を軽減することを主な目的として、借入期間の異なるフラット35を2つ組み合わせて利用するものです。例えば、フラット20+フラット35です。

一例ですが、Aさんが35歳で家を買う場合、1本は20年で終わるように組んでおけば、55歳以降は住宅ローン返済額が減ります。子供が大学生で教育費がピークになる時期に住宅ローン返済額が軽減される時期が重なれば、家計が助かります。また、老後資金作りのラストスパートの時期でもあり、教育費と並行して資産形成に励む必要があります。

なお、ダブルフラットを利用する場合、それぞれの借入れごとに融資手数料や印紙税、登記費用などがかかり割高になる点は頭に置いておきましょう。

<フラット35パッケージ>
フラット35パッケージとは、長期固定金利型のフラット35と変動金利型や固定金利期間選択型の住宅ローンを組み合わせて借りることができる商品です。フラット35を申し込む金融機関で、組み合わせるローンも同時に申込みます。商品名は取扱金融機関で異なるほか、金融機関によっては扱っていない場合もあります。

固定金利のフラット35と低金利の変動金利型や固定金利期間選択型の住宅ローンを組み合わせることで、将来の金利変動リスクを軽減できます。

なお、ダブルフラット同様、借入れごとに融資手数料や印紙税、登記費用などがかかり割高になる点は頭に置いておきましょう。

ギモン4
「金利引継特約付きフラット35」って何ですか?

近年増えたラインナップの1つが、「金利引継ぎ特約付きフラット35」。当初は「債務承継型ローン(アシューマブルローン)」という名称でした。個人的には、超低金利の今ならもっと注目されてもおかしくないと思うのですが、さほど知られていない印象があります。

「金利引継ぎ特約付きフラット35」を利用してマイホームを購入し、住宅ローンの返済中に住宅を売却することになった場合に、売却する相手にフラット35の債務をそっくり同条件で引き継ぐことができる住宅ローンです(図表1)。より低金利になっていた場合、金利は引き継がない選択もできます。

住宅購入者からすれば、一部ではあっても低金利の住宅ローン付きで購入できるメリットがあり、売主側も、低金利の住宅ローン付きであることをアピールポイントにできます。不足分は、新規で住宅ローンを借りなくてはいけませんが、もしも金利が上がっていたら、低金利で借りられるのは、購入者側からすればメリットです。

売却する可能性があるなら、長期優良住宅を購入・建築する際に「金利引継ぎ特約付きフラット35」を選択すると、将来の布石になるかもしれません。

図表4 金利引継ぎ特約付きフラット35

(住宅金融支援機構サイトより)

「金利引継ぎ特約付きフラット35」の借入対象となる住宅は、長期優良住宅の認定を受けた住宅に限ります。そのため、受付期間内であれば、フラット35S(金利Aプラン)の対象となります。対象住宅が中古でフラット35リノベの技術基準等に適合する場合は、フラット35リノベ(金利Aプラン)も活用できます。

ただし、利用できるのは新規借入時のみで、借換えには利用できません。引き継げるのは1回だけです。また、取り扱っているのは一部の金融機関のみです。

ギモン5
フラット35・フラット20は借換えにも利用できるってホント?

金利に動きが出てきたことで、借換えを検討する人もいることでしょう。実は、固定金利への借換えを考える際に、フラット35・フラット20も候補になることをご存知でしょうか?

しかも、フラット35以外の住宅ローン→フラット35・フラット20への借換えだけでなく、フラット35→フラット35・フラット20への借換えも可能です。昔借りたままのフラット35を見直して、フラット35やフラット20に借換えることもできるのです。

金利変動リスクを取らずに、借換えメリットがあるなら借換えを検討したいという人は、検討してみる余地はあります。

借換融資の場合、フラット35Sへの借換えは利用できませんが、諸費用込みでこれだけの金利差があるなら、すぐにも借換えをすべきです。今借りている住宅ローン確認し、借換えたらどうなるか試算してみることかから始めてみましょう。

おわりに

フラット35はほかにもさまざまなラインナップがあります。物件やエリアをはじめ条件に合わなければ利用することはできませんが、固定金利派の方は、住宅ローン選びをする際にはフラット35をしっかり押さえておきたいものですね。

執筆者:豊田 真弓(とよだ まゆみ)

ファイナンシャルプランナー、住宅ローンアドバイザー
FPラウンジ ばっくすてーじ代表。経済誌・女性誌等のライターを経て94年よりFPとして独立。「家計の永続性」をテーマに、個人相談や講演・研修、雑誌や新聞、サイトへの寄稿、監修などを行う。「住宅ローン賢い人はこう借りる」(PHP研究所)、「50代家計見直し術」(実務教育出版)など著書多数。座右の銘は「今日も未来もハッピーに」。

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